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猫になりきれない日々
このところは、お粥やそれに近いものを食べて生活している。旅先で、地元の醸造所やその商品の取扱いがあるちょっとしたお店に立ち寄り、詳しいことはよくわからないけれどもおいしそうに見える味噌を選んで買うささやかな楽しみを得てから、それ以前よりもお味噌汁に関心が湧くようになった。何度か購入してみて、お店によって違いはあることはわかってきたが、成分や作り方の細かな違いは、まだよくわからない。だから、これは
もっとみる気がつく音、見えるもの
カラスの声がうるさいね、と声をかけられるまで、わたしの耳には自身の手元から発する音しか聞こえていなかった。言われてみれば、近くはないけれど確かに何羽かの鳴き声がする。考えごとに耽る中で、閉め切った窓の向こうに耳を澄ますのは、なかなか難しい。数日前に、玄関を出てすぐ蝉の声に気がついたのは、ほかに何も気を取られるものがなかったからだろう。蝉というと蒸し暑い空気が記憶に紐づけられているが、そのときは日
もっとみる生活の一部を記録する
クリーニングから、冬物の衣類が戻ってきた。祖父から譲り受けたカシミアのセーターが、畳まれることを拒むようにとろけて、肌にまとわりついた部分が暑い。ぬるくなった水出し紅茶が、汗ばんだ体に沁みる。茶葉のストックも、残りが少なくなってきた。
壁掛け時計の電池が切れていた。生活の拠点を置く部屋でこういったことが起こると、朝目が覚めたとき、スマホで時間を確認する習慣がない身としては、時間がずれたまま過
いつもどおりの生活に
このところ残業続きであるにも関わらず、職場を出るときの空がまだ明るい。なんだか、1日に使える時間がたくさん残っているような気がして、つい寄り道をしたくなる。眠りに就く時間帯も少し遅くなってしまい、しかし寝るために出かける時間を遅らせることは難しいからとにかく出勤。時差ボケもなかなか直らず、ぼんやり過ごしているうちに定時を迎えて、また残業。そろそろこの生活リズムに終止符を打ちたい。
傘の柄から