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世界放埓日記

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2017年4月の記事一覧

最近出会った、理解のできないもの一覧

・無添加を謳い文句にしてるのにお徳用パックとか販売してるシャンプー
(保存料入ってないよね?酸化しないの?)

・土日にブライダルフェア開催中の大聖堂
(日曜日って安息日じゃないの?)

・駅前に立ってる新興宗教の勧誘
あれ、ティッシュ配りのバイトとは違うんだね!無給なんだね!

・奇跡の一本松
母「奇跡の一本松って言うけどあれ、枯れてるから」
母の友人「あれ、木じゃないから。もはや樹脂だから」

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魔女は魔法を使わない

「この世で、私たちを無償で助けてくれる存在は、時間しかいないのよ」

私の母はそう言い切った。

ストーブの上にかけたやかんがしゅうしゅう、と音を立てている。

「スープだって、パンだって、時間をかければ魔法をかけなくても美味しくなるのよ」

歌うように彼女はそう続けた。

もうそろそろストーブを仕舞う時期だ。

朝露に濡れた庭の垣根の下から、地鳩の喉を鳴らす音が聴こえてくる。春なのだ。

私は戸

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不器用ブルジョワジー

音楽に国境は無いというけれど、本当だろうか。

私は西洋の音楽を専門的に学んできて、留学から帰国したところだ。

故郷で感じる季節の移ろいは、意識して封じてきた土着の民族の郷愁をいとも容易く解き放つ。

暖められた空気に乗って漂ってくる柔らかな土の香り。

トラクタの後ろに群がり、掘り起こされたミミズをついばむカラスたち。

用水路にどさどさと落ちる水。

やがて蛙の鳴き声も聴こえるようになる

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東京よもつひらさか往還

「『心の中の孤独を表現しました』なんて作品、自慰行為に等しいよね。恥ずかしくないのかしら」

彼女は勢いよく映画館の扉を開けた。美術学部のアニメーション上映会に行った夜だった。

「『私の心象風景』ってテーマ多すぎ。誰もあんたの心の中なんて興味ないってば」

私も彼女に相槌を打った。

渋谷の映画館を出ると、眼下に繁華街が広がっていた。街灯に照らされた人の群れは、冬の間の重たい衣を捨て、ふわふわと

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