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唄 / 詩

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解離性同一性障害、多重人格者です。 紬さんウタさんによる言葉を綴っています。
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#DID

坂の上のいろは
未だ鮮やかに血の色

坂の上のきみは
未だ愕然と朱に染まる

震える手
吹き出す赤
固まる心臓
凍える声

囚われの白
悲鳴と悲鳴
沸き出す慟哭
ブラックアウト

背負うならばそら
カラカラと墜ちゆく

血に染まる空を見ていた
地に伏す自分を観ていた

きみのそら

あなたに逢えてどれだけか、私が幸せを享受しているか

あなたに出逢えたことどれだけか、神様にキスを贈りたいか

雨が降るようなキスを降らす

あなたに逢えてどれほどに、私が当たり前のように哀しいか

あなたに出逢えたことどれほどに、私が神様を呪わしく想うか

あなたは知らない

肩に落ちた羽
砂塵に削られ行く色

赤い目の鬼
枯れない涙と

波と波の間の幸福
沈まない月は欠ける

月が見てる
僕を見てる

陽の光を見た
日向を影が覆いくる

宵闇の中 探る手には何も触れない

月が見てる
僕を見てる

それでも僕らは日向を探して歩く

君の匂いのする方へ

艶やかに溢れるそれは色を撒き
夏の夜の花火のように弾け咲く

彼岸花

かの色彩を
揺らめかせ 揺蕩わせ
褪せんとする
散り逝くその刻まで

葉も無きその詞
迷いなく逝くだろう

チリチリと火花散らし
燃え揺る黄金の色

その身の絶える時 ふわりゆらゆら

確かにそれは放たれる

振り撒く言伝てに
来よ見よと 虫が鳴く

あれにこれに
さざ波たつ心 不知火の言の葉

声なき声
眼なき涙

還ろうや かの人のもとへと
孵ろうや かの地から麓へと

跳立つには早すぎて
留まるには時もなし

さわさわと虫は鳴く

あの道を逝こうや 

時 幽かに震えれども

しとしとと 雨は降り来る

死と死とと 飴は降り来る

足音を鳴らし
影を落とし

夏の終わり 秋風が運ぶ

寒々しく
粛々と

帰らずの川 岸辺には船

じくじくと 雨に熔ける
じくじくと 飴は溶ける

枯れた地を 炙るため
渇れた喉を 潤すため

黄金の光 向こう岸

果て迄

花が咲くように 死は咲く

掬い手のように
摘む手のように

花が裂くように 死は裂く

救い手のように
積む手のように

見慣れた姿を眼の裏に
見知らぬ顔を目の前に

待つ手もあらば
迎え手もあらば

送ること
去ること
赦すこと

揺られ子らよと 天からの導は

続くみちては

消えてた顔が消えなくなって
網膜の裏 金色にひかる

この感情に名前を付ければ
きっと私は死んでしまう

手の震えは止まらないまま
嘔吐く 脳内が侵略される

死んでしまう 死んでしまう

止まらない衝動と
訳のわからない感情と

黒く塗り潰された何かと

死んでゆく
死なないで

燦々と降り積もる この世の叡知

光る粒
暗がりから顕る

津々と溢れ出る 空と大地を結ぶ糸

爪弾く
音となり波紋となる

歓びよ 謳え
無数の星ぼしから産まれる詩を

雨のごとく降れ
陽射しのごとく射せ

あられもない衝動よ
ここに至るまでの積雪を溶かせ

彼方からの声よ響け

ひとは ひとしずく
せに なをかける

しづく ものいい
なのることもなし

ひょうじょうに いずる
かけるは こころ

においたち かわもながるる

せにせを よるべ
つきあがる そらへ

旅人は見た 今生の空

浮世の通り路
幻夢の道標

足跡に花を散らし ひとよと すべる

そっと かいなに いだかれ ゆられよ
揺籠

哀しみも
怒りも
憤りも

子らよ

つぶさに語りかけ ふるえて還れ

ななし子のこころ
みなし子のうつつ

やすらかであれよと コウノトリが唱う

そっと かいなに いだかれ ゆられよ
Lullaby

ひとつぶ種を遺し 来る刻まで

山積みのがらくたを掘り起こしている

掘れども掘れどもがらくたばかりの山を
切り崩している

虚ろな眼
がらんどうの体

嘆く間にも雪崩は起き

雀がちゅんと鳴いた

立ち上がり 目を覚ませ
空を仰ぎ 骸を踏め

雷よ 薙ぎ払え
震えるこの手を穿ち

叫びよ喉を裂き 咲き狂え

真夏の夕べに狂い咲きの桜
咲けば散ること知っているか

絶望的に愚かな私は
底無し沼でも笑えるか

病窟で膝を抱える
いらぬ命なら焦がれ死にたい

しょうしんに身を委ね
転げ堕ちる先は。

夢であれたら知らぬ振り
欲をかくなら世迷いごと

振り子は揺れ
砂時計が鳴る

松毬薊の恋

時を止めて
この瞬間

ここにある空気
儚いいろは

孤独に堕ちた 爪先の先
ここだよと手招き 灯火が灯る

茂る棘の荊も 歩こうか 歩こうか

灯火が揺れる
たゆたう鼓動

小さく虹がかかった

言の葉越えて 心灯る
拙い声は 何処まで届くか

唄え

蛇も食べない 野茨の花