りな

自伝で書いていけたらと思います。

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最近の記事

大学生活

大学生になった莉沙は 張り切って勉強をした。 精神医学に対しては、特に熱心で 冬になると、また肺炎を起こすのではと心配したが 体調管理も行き届いている様子だった。 あの頃、気にしていたこと。 勉強に対しては若干、過集中気味で はじめると食事や睡眠を忘れてしまうこと。 でも、それは 声をかければ切り替えることができた。 もっと気になったのは 見た目を気にしないこと。 莉沙は、指摘しなければビックリするような格好で登校する。 制服があるうちは良かったが 大学生になって初めて、

    • 高校生活

      莉沙は、16歳だけど 新一年生として高校に通い始めた。 最初こそ「年上なの?!」と興味を持たれたらしいが 莉沙本人が、あっけらかんと 自身のASDを話すと 「へぇ〜」と、それ以上突っ込むことはなかったらしい。本人談なので、そんなに簡単に理解してもらえるものなのか?分からなかったけれども。 でもきっと、良い学校だったんだろう。 莉沙の障害表明も年齢差も あまり気にしてない様子であった。 莉沙が友だちを連れて帰って来ることもあった。 一緒に勉強したあと、流行りのアイドルやお店

      • 二度目の高校入学

        あかりの入院は莉沙と同じく長期戦となり いくら、特別児童扶養手当があり 自立支援医療受給者証があっても 入院費は高く だんだんと療育には通えなくなり 家計はひっ迫していた。 現職のパートに加えて、かけもちでパートをして 私はほとんどの日々を働いて 病棟へ行き家事をして 夜は泥のように眠った。 だけど、私は幸せだと日々思った。 どんなに忙しく疲れていても 子ども達が生きていること。 私が健康で働けること。 あかりが一時外泊で3人で食卓を囲むときなどは、特に幸せで このまま続

        • 大きな傷跡

          支援学校には妊娠を伝えた。 先生方はもちろん驚いたけれど あかりが○○先生からされた。と言ってるんです。と言った途端 なんだか、態度がよそよそしくなった。 証拠がある訳ではない。 もともと、あかりには 男女問わず馴れ馴れしいところがあった。 まるで、あかりに落ち度があるように。 教育委員会も 自閉症の子どもの話を100%信じるのか?と 冷たく吐き捨てる。 なぜ。 こんなつらい思いをして そしてまた傷つけられなければないないのか。 支援学校は退学した。 フリースクールに少し

        大学生活

          発達障害の妊娠

          線の細い莉沙とは対照的に 白くてふっくらとした体型のあかりが 以前にも増して ふっくらし過ぎではないのかと ふと、思った。 あまり運動をする方ではないけれど かと言って、最近は むしろ食が細くて気になっていたくらいだ。 「ゲロでそーー」と 食べない日もあり、風邪かな?と 内科受診をしなければとも 思っていた。 何となくイヤな予感がする。 「あかり。今日はママとお風呂に入ろう」 誘うと、無邪気に 「わーい!!ママとお風呂ーー!」 と飛び跳ねる。 そして、浴室であかりの裸を見

          発達障害の妊娠

          莉沙の思惑

          中学を卒業した莉沙は 最終の受験で滑り込んだ私立高校に通った。 全く、本人の希望とは違う 地域では「名前を書けば誰でも入れる」 というような学校だった。 だから、とても心配した。 投げやりになったのか。 将来の夢は捨ててしまったのか。 もちろん。 この子が生きていてくれるだけで充分。 という思いはある。 ただ 莉沙が、どういう気持ちで この高校に入学したのか。 私は莉沙にも尋ねたけれど 「お金かかってごめん、ママ」と 別の答えが返ってくるだけだった。 入学式には出席した

          莉沙の思惑

          障害理解

          莉沙は肺炎を起こしていた。 あと少しでも遅れていたら 命は助からなかった。 いや。 処置が続く今も、まだ油断はできないと 医師から告げられた。 「あんた!何やっちょんね!」 翌朝、病院の廊下に響き渡る大声で、ものすごい剣幕の母が歩いてくる。 そのすぐ後ろを小走りに 「お母さん!病院じゃけ、静かにせんね!」 妹が続く。 「お母さん。どがしたん?なんでここにおるん?」 故郷で喫茶店だかカラオケ喫茶だかを始めたらしい母が、今ここにいることに驚いて 思わず、故郷の方言で返す。

          障害理解

          目をあけて!

          夜中、トイレから戻った私は もう3時だというのに、莉沙の部屋の灯りが漏れてることに気づいた。 いくらなんでも睡眠はちゃんととらないと。 と、小言を言う為に部屋に入って 私はその光景に驚いた。 ベットに横たわる莉沙の周り、机、じゅうたん。 あらゆる場所に 血が点々と飛び散っているのだ。 その、真っ赤な血とは対照に 莉沙は真っ白な顔で目をつぶり ただ、とても息が荒く浅く途切れるように。 そう。 死んでしまう!と私は叫び声をあげながら莉沙を揺すったのだ。 「莉沙!莉沙!」 どん

          目をあけて!

          生きるという幸せ

          初めて。 診断名を教えてもらった時の 主治医の説明を覚えてる。 「興味があることは集中できるけれど ないことに関しては全くヤル気スイッチが入らない」 ドラえもんが出てくるCMをいつも思い出す。 ♪ヤル気スイッチ君のはどこにあるんだろ〜?教えてあげるよ!君だけのヤル気スイッチ! 本当に。 教えてほしいと切に思った。 噴水は何時間でも夢中で見れるのに 子供向けのテレビはまるで観ない。 時計や数は覚えるのに 興味がそれるとすぐ教室を抜け出す。 そんな莉沙を もう、仕方がない

          生きるという幸せ

          将来の夢

          中学2年生も莉沙は病棟で過ごした。 一時外泊をあまりしたがらなくなり 面会の回数も減った。 電話も手短かに用件(差し入れして欲しいもの)だけ言うと、一方的に切れる。 主治医から、精神薬の調整もでき 本人の気持ちも落ち着いてきたので そろそろ退院を促しているのだけれど 莉沙が、そのたびにムッとして わざと暴れたり奇声をあげて イヤだという気持ちをアピールするそうで 主治医も、それはそれで とても幼い表現方法なので 本人が退院したいという気持ちを待ちながら 気持ちを言葉で伝える

          将来の夢

          入院生活

          すぐに退院すると思った入院は 春になっても続いていた。 半年以上が過ぎて 病棟内でお花見をした。 夜中に星を見に連れて行ってくれた。 仲良くなった友だちと騒ぎすぎて、看護師さんに怒られたけど、笑いが止まらなかった。 どれも、年頃らしい微笑ましいエピソードではあるが 「精神科病棟」での出来事。 これが、外の世界であったら どんなに嬉しいだろうと思いつつ。 それでも、莉沙の明るい報告はやはり 嬉しかった。 少しずつ減薬を始めた頃から 莉沙の問題行動が目立ち始めた。 他害、自

          入院生活

          入院直後の様子

          「ママ!帰りたい!おうちに帰りたい!」 当時まだスマホが発売されたばかり。キッズ携帯は持っている子はいたが 莉沙は持っていなかったし。 持っていたとしても、病棟では使えなかっただろう。 この、ご時世テレフォンカードで公衆電話から叫ぶように私の携帯にかかる電話は 私の心を打ちのめした。 我が子を精神科病棟にぶち込む母親。 そんなフレーズが脳裏をよぎる。 莉沙は電話越しに泣いている。 叫んでいる。 1人ではないだろう。 必ず、看護師さんか主治医がそばについている。 その事

          入院直後の様子

          精神科入院

          私が経験した入院は 2人の娘たちの帝王切開と 高校生の時の肺炎くらいだ。 病院に入院する。ということ、そのものに不慣れなまま 私は莉沙の着替えやタオル、洗面道具など準備をする。 そして、入院当日。 私の思っていた入院とは、全く違うことを思い知らされる。 ベルト、ひも靴、ゲームの充電の為のコード。 ひも状の物は全て持ち込み禁止だった。 驚いたのは、プラスチックのS字フックや 手鏡すら、ダメだということ。 フックや手鏡で一体どうやって自傷行為をするというのだ。 それでも病院側と

          精神科入院

          二次障害

          ドォーーーン!! ドォーーーーーン!! 壁を蹴る音がする。 ここは小さなアパートだ。 先日は大きな穴を開けてしまったが、当の本人は悪びれもせずケロリとしていた。 今日はどうか物を壊さないでほしい。 祈るような私の気持ちは届かず 「ガチャン」と派手な音がする。 ドアの取っ手が壊れた音だった。 莉沙は、中学入学後とても荒れた。 もともと、環境の変化に弱く 小学校時代も新学期は荒れるが その比ではなかった。 予告もした。 先生方もできる限りの支援をしてくださってると思う。

          二次障害

          前を向いて歩いてゆく

          中学生になる頃。 同じように、移行支援会議を行った。 小学校のときは、まだ障害について知識がなく 診断名もついたばかり。 オロオロと部外者のような参加だったが 今回は、莉沙本人の 自閉症の特性を伝えることができた。 アンバランスさを持っています。 普段この子は大人びた口調で話しますが、実際の本人は同じ年頃の子よりも幼いです。 理解はある程度できても感情のコントロールが難しく、分かっているのに怠けているように見えたり、ワガママに見えるかもしれません。 二次障害があり 強迫観

          前を向いて歩いてゆく

          自閉症思春期

          思春期に入り、徐々に莉沙の様子は変化した。 生意気だとか、洒落気づいてとか いう世間の思春期ではなく。   それは、自閉症特有の思春期だった。 音や匂いに一段と過敏になり 目に見えないものを「気持ち悪い」と何度も拭うような強迫観念が現れ 色んなことができなくなった。 外食は、特に難しかった。 音や匂い、清潔かどうか分からない そういう場所で食事をすると 吐いてしまうようになった。 外食だけでなく、遊園地やショッピングモール。小さい頃はあんなに好きだった場所が 真っ青になっ

          自閉症思春期