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高校生活

莉沙は、16歳だけど
新一年生として高校に通い始めた。
最初こそ「年上なの?!」と興味を持たれたらしいが
莉沙本人が、あっけらかんと
自身のASDを話すと
「へぇ〜」と、それ以上突っ込むことはなかったらしい。本人談なので、そんなに簡単に理解してもらえるものなのか?分からなかったけれども。

でもきっと、良い学校だったんだろう。
莉沙の障害表明も年齢差も
あまり気にしてない様子であった。

莉沙が友だちを連れて帰って来ることもあった。
一緒に勉強したあと、流行りのアイドルやお店についてキャーキャーと話す様子は
明らかに。
莉沙は浮いてはいた。
莉沙だけが、独特で幼くて察しが悪かった。
それを、友人が認め噛み砕いて説明してくれている姿に
嬉しくて涙が出た。

莉沙は、進学コースでひたすら勉強をして
友だちと遊び
高校3年間を通学した。
「医師になりたい」と医大を受験。
それも見事に合格した。

妹のあかりが入退院を繰り返しつつ支援学校に通うなか
莉沙は我が家の、エースだった。

そう。
高機能自閉症でIQが高めな子は
過集中という特性で
「勉強はできる」という子に育つ場合がある。
莉沙はまさにそうだった。
もともと、知りたがり屋で集中が高かった。

勉強ができる。
イコール、社会に適応できる。
とは、全く違うのだ。

もしも、それがイコールであるならば
莉沙は当然
医師か看護師か。
望む人生を手に入れていたはずだ。
働く。ということは
そういうこと。



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