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心理ゲームを降りるとき

生涯を通じて心理ゲームに明け暮れる人は沢山います。

心理ゲームとは、自分がこういう事を言ったら、相手はこう返すだろう、
自分がこう動いたら、相手はこう出るだろう、といった、隠したり、探ったり、試したりするコミュニケーションです。

心理ゲームに没頭する人は、自分のコミュニケーションのクセに気がつきません。

いたってノーマルな在り方だと思っています。

しかし、その心理ゲームの根底には、疑いや、怒りや、恐れや、無価値感などのネガティブが横たわっています。

活き活きと、軽やかに、心理ゲームに勤しむ生き方をする人は居ません。

何故なら、心理ゲームは、ネガティブな世界のコミュニケーション術だからです。

勿論、私達が実社会で生きる上で、ネガティブな感情も、心理ゲームも、時に必要です。

隠しだてもするし、探りもします。

営業マンが、
「我が社の商品はS社より劣っていますので、S社の商品をお勧めします」と言ったなら、話にならないばかりか、会社への背信行為と受け取られても不思議はありません。

私達はネガティブを使い、ネガティブの恩恵も受けています。

しかし、ネガティブのパワーは、上記の様な商談の場であったり、ここ、と言う限られたシチュエーションで集中的に使われることが望ましい、と思っています。

ネガティブには、爆発的な力がありますし、耽美的な魔力にも似た魅力すらあります。

けれども、ネガティブの力は短期に発揮されるのが向いていて、
人生の様な長丁場をネガティブの力に頼って生き抜くことには、適していません。

商談は肩が凝ります。
湯船に気持ちよく浸かっている時とは、真逆の感覚です。

それは、ネガティブの力を使って、商談相手と腹の探り合いをするから、です。

ネガティブな感情は、
怒り、悲しみ、怖さ、寂しさ、罪悪感、無価値感、などなど沢山あります。

短期的に怒りをパワーに変えて、「あんなヤツに負けてたまるか」と頑張った甲斐あって、ライバルに勝利し、好成績をあげることなど珍しい話しでは無い、と思います。

短期的にはそうであっても、この感情を生涯持ち続けるのは、難しいですし、それは、苦しい人生になってしまいます。

人生の様な長丁場は、嬉しさや楽しさ、といったポジティブ感情が優位である方が健やかで豊かである気がします。


心理ゲームでは、疑い、探り、試し、ます。

機能不全家庭では、親は子供を、疑い、探り、試します。

機能不全家庭は、親が自分の無価値感から目を背ける為の仕組みです。

しかし、それは秘められています。
表向きは、子供の為、と言いながら、その実、子供を使って親が無価値感から目を逸らします。

決してオモテには出ない意図が秘められていて、その秘密の上に機能不全家庭は成り立っています。

子供は生まれた時から、その環境しか知らないので、それが当たり前だと思っていますが、

親が自分を道具として扱うことが余りにも辛くて、秘められた親の意図に気がつきそうになることもありますが、

気がついてしまったら、この家族は成り立たないので、子供は自分の中に、疑いを閉じ込めます。

そんな危うさをはらんだ不安定な家庭だから、親は子供を、疑い、探り、試します。

そんなコミュニケーションを、その子は人間関係のひな型にしてしまいます。

その子は、自分の感情を隠し、他者を疑い、探り、試す、心理ゲームを生きる人、になります。

学校でイジメられても、親しいから、みんながかまって来るんだ、と無理やり納得します。
納得しないと友達関係が成り立たないから、です。

恋人からDVを受けても、愛されているからだ、この人は私はが居なきゃダメになる、と無理に納得します。
そうしないと恋愛関係が破綻するから、です。


親は意図を隠していましたが、子供も親に対する疑念を隠しています。

双方が、隠し、疑い、試します。


そのコミュニケーションしか知らないから、その人は、自分では気がつかないうちに、自分の本心を隠し、辻褄合わせの理屈を並べて、それが真実だ、と言い張ります。

心理ゲームは双方向です。
片方がゲームから降りたら成り立ちません。

疑い、疑われ、探り、探られ、試し、試されます。

幼少期に充分な愛情を受けて育った人は、心理ゲームを仕掛ける人が不快です。

だから、心理ゲームを仕掛ける人の周りは、心理ゲームをする人ばかりが集まってしまいます。

その生き方が悪い訳ではありません。

しかし、先に述べた様に、

ネガティブは人生の長丁場を歩むとき、

余りにも、苦し過ぎる、と思うのです。

もしも、苦しさに気がついたなら、

ゲームを降りるときが、来たのかも知れません。


読んで頂いてありがとうございます。
感謝致します。


伴走者ノゾム






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