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日本の政党学生部 総まとめ〈一覧〉

※2024年4月3日更新

「政党学生部」
をご存知だろうか。

政党学生部とは、政党にある学生組織のことで、党員や党を応援するユース世代(高校生や大学生、大学院生など)が所属している。

この政党学生部の活動が今、近年類をみないほど盛り上がっているのだ。

自民党では、2022年に全国の都道府県連に散らばっていた学生部を取りまとめる全国協議会が設立され、立憲民主党では、活動休止状態だった「りっけんユース」が活動を再開、日本維新の会や国民民主党の学生部は、党本部顔負けの組織体制が構築され、着々とその勢力を全国に拡大させている。更に、学生部のないれいわ新選組や社会民主党などの政党でも、「若者勝手連」という若者主体の外部応援団体がつくられている。

私は、とある別の企画の一環で、2022年から2023年にかけて、全政党の学生部や学生党員らを取材。2023年3月に初めて行われた「民主主義ユースフェスティバル」でも、実行委員だった私は、政党学生部との連絡担当スタッフとして彼らと接した。

しかし、日本の選挙に立候補できる年齢は、最低でも25歳。多くの部員たちにその権利はない。それでも彼らは日本の政治をより良くするために、そして自分が推す政党を全力で突き上げるために、日々活動している。

とある政党の地方議員は言う。「学生部の子たち、私なんかより全然政治に詳しい。いま彼らを国会に送り込んでも普通に活躍すると思う。彼らに被選挙権、場合によっては選挙権すらないのはおかしい」と。

これは、取材を基に、全国政政党の学生部や学生組織の概要をまとめた、日本で一番詳しい学生部図鑑である。
(詳しいインタビューなどは、またいずれ別の形で発表する予定です。その時が来たらSNSなどで告知します)

自由民主党学生部(自由民主党)

・現在は、33都道府県連(14の県にない)に学生部が存在し、各県連によって活動内容は異なる。
・活動の一例として、定例会・青年局主催のイベントへの参加、勉強会、街頭演説、議会見学、自衛隊基地視察、議員インターンシップ、政策プレゼンコンテスト準備、BBQ、花見など
・年に一度、東京の党本部で、学生部全国協議会総会・学生部全国研修会・都道府県連対抗政策プレゼンコンテストが開催される。

<部員数> 249名
<男女比> 男:200人、女:49人(8:2)
<管轄> 自由民主党青年局
<入部条件> 大学生、党籍や国籍は問わない(京都府連の例)、入部後は入党の必要あり(中央執行委員会 東京都連の例)
<入部方法> 自民党青年局HP、もしくは各都道府県連学生部SNSから
<沿革>
1956年1月 ‥‥ 党直轄組織として創立
1967年11月 ‥‥ 各都道府県連に移行(東京都連が初)
2022年5月 ‥‥ 学生部全国協議会設立(初代会長:根本雄作 東京都連委員長)、ブロック幹事制導入
<幹部>
会長:石原 拓海(京都府連学生部長)
副会長:藤森 悠希(富山県連学生部長)
副会長:小坂 すず(島根県連学生部長)

りっけんユース(立憲民主党)

・最大野党である立憲民主党の学生部は、「りっけんユース」という名称で、「探究コース」という講師を呼んだ勉強会や部員同士の交流会などをそれぞれ月に1回開催している。
・活動は、対面・オンラインを併用して行っている。

<部員数>
 約89名
<男女比> 男7:女3
<管轄> 立憲民主党青年局
<入部条件> 16~25歳、党籍は不要
<入部方法> ホームページの申し込みフォームから
<沿革>
前身の旧民主党時代にも学生部組織は存在した記録がある。
2018年頃 ‥‥ 創設(旧体制)
2020年9月 ‥‥ 創設(現体制)、その後活動休止
2023年1月 ‥‥ 活動再開
<幹部>
代表:大山 倫輝
副代表:匿名

公明党

・公明党には学生部組織は存在しない。
・党本部にある学生局という組織が、全国の学生党員や党員の子息を取りまとめており、「Qカレ」という懇親会や、オンラインで行う政治学習会などのイベントを開催している。また、街頭アンケートを行うメンバーもいる。
・最大の支持母体「創価学会」にも学生部は存在している。

<部員数> ―
<男女比> ―
<管轄> 公明党青年委員会学生局
<参加条件> 党員になること、または親が党員であること
<参加方法> 党ホームページの「ご意見・ご要望」のフォームで、参加希望の旨を伝えること
<沿革> 
<幹部>
代表:―
副代表:―

日本維新の会学生部(日本維新の会)

・日本維新の会学生部には、関東・関西・中部・九州(休止中)・広域の5つの支部が存在しており、近いうちに中国四国支部も設立予定。
・2022年の参議院議員選挙では、学生部として「若者維新八策」を党本部へ政策提言し、一部は実際に選挙公約として掲載された。
・オンラインがメインで、議員との会談、懇親会、部員内会議、イベント、勉強会などをそれぞれ月1~2回程度開催。街頭演説も実施。
・政策課、広報課、総務課などの組織が確立されており、部員主体の運営のシステム化も進んでいる。

<部員数> 約90名
<男女比> 男7:女3(関西では6:4くらい)
<管轄> 日本維新の会学生局
<参加条件> 高校生以上、25歳以下の学生または30歳以下の大学院生
<参加方法> ホームページのLINE QRコードから
<沿革> 
2016年7月 ‥‥ 創設
<幹部>
代表:ゆずポン酢(活動名)X:@gohigh_ishin
副代表:Frank Aramoto(活動名)X:@1548_3_17
関東学生部代表:Frank Aramoto
関西学生部代表:のーちゃん(活動名)X:@non_n06n
中部学生部代表:ゆずポン酢

国民民主党学生部(国民民主党)

・国民民主党学生部は、公表されているなかでは、自民党学生部の次に部員数の多い学生部で、北海道、東北、北信越、関東、東海、関西、中国、四国、九州、沖縄に支部が存在しているほか、本部組織として、事務局、企画局、広報局、政策局、人事局が存在している。
・活動内容は、候補者や議員との勉強会、イベント開催、選挙ボランティア、議員インターン、政策提言、SNS発信など
・活動頻度は、オンラインで月1回以上、関西・福岡・九州・東海・東京はオフラインの活動もある。

<部員数> 約220名
<男女比> 男8:女2
<管轄> 国民民主党青年局
<参加条件> 16歳(15歳の高1可)~30歳(役員は学生、代表は25歳以下)、他党の党員・サポーターではないこと、党籍は不要
<参加方法> 公式Twitter・InstagramにDM、もしくはHPの公式LINEから
<沿革> 
2021年8月 ‥‥ 旧メンバー5名+新メンバー6名の11名で創設(初代代表:鈴木拓理)
<幹部>
代表:井之口 満耶 X:@1n_maa8
共同代表:鈴木 拓理 X:@TAKURI_suzuki03
代表代行:さいとう(活動名) X: @saitohyt8810
代表代行:いとう(活動名) X:@ito_kokumin
副代表:有馬 葵(活動名) X:@Arima_DPFP
副代表 / 政策局長:佐藤 / ぴろ(活動名)X:@piro8231
広報局長:松下日花里  X:@hikari_pf

日本共産党

・日本共産党には、学生部組織は存在しない代わりに、全国の地域や大学に多くの大学支部・学生支部(最低3人以上で設立可能)を抱えている。支部の総数など、詳細は非公表。
・主な活動内容としては、日本共産党主催のイベントなどへの参加、署名活動、ビラ配りなど。2022年夏には駅前や大学前でウクライナ侵攻に抗議するメッセージを募集、ロシア大使館に提出した(都内の某私立大学支部の例)
・大学支部・学生支部とは別に、日本共産党をアドバイザーにもつ若者団体として「日本民主青年同盟」(民青)が存在し、こちらの活動と並行して党員活動を行っているメンバーも多い。民青には、15歳~30歳まで全国約1万人のメンバーが加盟しており、あくまでも外部団体のため、入るのに党籍は必要ない。

<学生党員数> 非公表
<男女比> 非公表
<管轄> 日本共産党青年・学生委員会
<参加条件> 党員2名の推薦をうけて、入党費300円をそえて申し込んだ18歳以上の日本国民
<参加方法> 地域の支部や地区委員会に連絡する
<沿革> 
1922年 ‥‥ 創設当初から学生党員は存在していたが弾圧も激しく詳細な記録は残っていない
1946年9月 ‥‥ 東京大学学生細胞(現在の支部)が活動を開始。日本で最初に公然と活動を開始した日本共産党の学生支部。その後、各大学や地域に支部が設立された
<幹部>
代表:―
副代表:―
※日本民主青年同盟(民青)の委員長は、西川龍平

れいわ新選組若者勝手連(れいわ新選組)

・れいわ新選組には党公式の学生部が存在せず、代わりに「勝手連」という「れいわ新選組を勝手に応援する若者の連絡網」を称する非公式の団体が存在する。
・北海道から沖縄まで全国から参加し、最年少6歳、最年長50代。積極的に応援、活動している人から、普段は他の党を応援しているがLINEグループだけ入っているという人まで、メンバーの層は幅広い。
・主な活動内容は、ポスティングやポスター貼り、チラシ配り、不定期での街宣活動など。

<メンバー数> 161名
<男女比> 男7:女3
<管轄> なし
<参加条件> なし
<参加方法> TwitterにDM、もしくはホームページまで
<沿革> 
2019年7月20日 ‥‥ 5、6人程度で立ち上げ(初代代表:増岡そうたa.k.aかもめん(活動名))
<幹部>
代表:秋吉 すみれ(活動名)X:@S_meme_X_Ais2eV
副代表:―

教育無償化を実現する会

・国民民主党から前原誠司代表代行らが独立した政党で、通称「前原新党」。
・党事務局によると、学生部やユース組織は存在していない。
・国民民主党学生部の鈴木拓理代表によると、国民民主党学生部から教育無償化を実現する会に移籍した部員は現在までに一人もいないという。

<部員数> ―
<男女比> ―
<管轄> ―
<参加条件>  ―
<参加方法>  ―
<沿革>  ―
<幹部>  ―

社会民主党若者勝手連(社会民主党)

・社民党のユース組織に関しては非常に複雑だ。以前は「社民党ユース」という党公式のユース組織が存在しており、都道府県ごとに活動を展開していたが、2022年頃に事実上消滅した。
・現在は、れいわ新選組と同様、公式の学生部は存在していない代わりに非公式の勝手連が存在する。主体は、東京の「社民党若者勝手連TOKYO」。
・主な活動内容としては、街宣活動、青年会議の出席、年に2・3回映画上映会の開催、夏は原水爆禁止運動のデモ行進(個人の一例)。

<メンバー数> 非公開
<男女比> 非公開
<管轄> 社民党若者勝手連TOKYO
<参加条件> 年齢不問
<参加方法> XにDMを送る
<沿革>
2014年頃? ‥‥ 「社民ユース」設立
2022年 ‥‥ 「社民ユース」事実上消滅
2023年4月 ‥‥ 「社民党若者勝手連TOKYO」が発足
2023年9月 ‥‥ 「栃木県社会民主党若者勝手連」が発足
<幹部>
代表(事実上):お政治大学生(活動名)

みんなでつくる党

・NHKから国民を守る党、政治家女子48党という旧党名でも知られる、みんなでつくる党。旧体制(党代表:立花孝志)時代、一時はユース組織設立の話も出ていたそうだが、結局実現しなかった。
・浜田聡参議院議員の議員インターンとして活動する高校生は存在しているほか、現体制(党代表:大津綾香)では、18歳以上であればボランティアとしての活動も可能。

<部員数> ―
<男女比> ―
<管轄> ―
<参加条件> ボランティアに参加できるのは18歳以上の政策に賛同する日本国民。
<参加方法> ホームページの応募フォーム(みんつく党)、もしくはコールセンターまで(NHK党)
<沿革>  ―
<幹部>  ―

参政党東京都連青年部(参政党)

・結党間もない党であり、組織がまだきちんと確立していないため、青年部は形式上準備段階のサークル扱いとなっている。東京以外にも大阪などには青年部が存在しているとされているが、詳細は不明。
・青年部の活動内容は、月1で集まって、20代の地方議員の駅頭の手伝いや懇親会の実施、不定期での勉強会など。
・これとは別に、結党1年以内に大阪でスタートした「若者DIY」というプラットフォームも存在しており、LINEグループ上で各自が自由に活動している。
・2023年秋から、「参政党ユースプロジェクト」という全国のユースが参加するコミュニティが党公認で結成された。

<部員数> 約30名(学生8名程度、中高生もいる)
<男女比> 男7:女3
<管轄> 参政党東京都連
<参加条件> 要党籍、20代以下の日本国籍を有する者
<参加方法> 党の問い合わせメールから
<沿革> 
2022年12月 ‥‥青年部発足
<幹部> 不詳
※「若者DIY」発起人:北本まなと

〈番外編〉超党派若者活躍推進学生部員連盟

・一般社団法人日本若者協議会が企画し、設立された超党派の学生部による連盟組織。

<加盟数> 不詳
<男女比> 不詳
<管轄> 一般社団法人日本若者協議会(事務局)
<沿革> 
2023年3月 ‥‥発足
<幹部> 
幹事長:荒川陸
顧問:室橋祐貴

民主主義ユースフェスティバル2023で集まった各党のユース(上段左から国民民主党、立憲民主党、れいわ新選組、公明党、下段左から、日本共産党、日本維新の会、自由民主党、社会民主党)

※いずれの情報も、取材当時(2022年冬~2023年夏頃)のものです。一部更新しています。

取材:中村眞大、夏目花
執筆:中村眞大
取材協力:自由民主党青年局、自由民主党学生部、立憲民主党青年局、りっけんユース、公明党青年委員会学生局、日本維新の会学生部、国民民主党学生部、日本共産党青年・学生委員会、日本共産党某大学支部、れいわ新選組若者勝手連、教育無償化を実現する会事務局、NHK党事務局、みんなでつくる党、社会民主党、社民党若者勝手連TOKYO、参政党、参政党東京都連青年部、日本若者協議会



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