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医療情報

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#動脈硬化

急性冠症候群におけるhealed plaque

急性冠症候群におけるhealed plaque

急性冠症候群は血栓閉塞を引き起こすplaque ruptureやplaque erosionによる動脈硬化性プラークの変化によって生じます。

しかしこれらの変化はプラーク量や血栓の量が少ないと無症状の内に生じていることがあります。

無症状でのプラークの修復および安定化は、層状構造で特徴づけられるhealed plaqueの形成につながります。

この修復過程では3型コラーゲンが徐々に1型コラー

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季節ごとの冠動脈プラーク性状

季節ごとの冠動脈プラーク性状

冬にplaque ruptureが多く、夏にplaque erosionが多い

詳細な機序は不明ですが、急性冠症候群はその発症に季節性の変化を経験します。

冬に急性冠症候群の発症および死亡率が高いことが多くの研究で報告されていますが、一方で暑さもまた急性冠症候群のリスクを増加させることも報告されています。

季節性の変化は大気圧や風速、日照時間などの複雑な交絡があるかもしれませんが、ほとんどの

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果物・野菜が冠動脈疾患リスク低下

果物・野菜が冠動脈疾患リスク低下

果物や野菜の摂取が冠動脈疾患リスク低下

冠動脈疾患は先進国および開発途上国のいずれにおいても重要な疾患であり、予防が必要です。

冠動脈疾患の主な原因として不適切な食事があります。

食品の内、果物や野菜は総カロリーを大幅に増加することなく、微量栄養素や食物繊維を多く補給することができ注目が高されています。

これまでに観察研究で果物や野菜の摂取と冠動脈疾患との関連性が報告されています。

しか

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タバコと心臓病: まだ禁煙してないの?

タバコと心臓病: まだ禁煙してないの?

喫煙と心血管疾患による死亡率との関連性が確認

喫煙は冠動脈疾患の危険因子として確立しています。

もはや常識となっていますが、ここで改めて日本でのエビデンスを確認したいと思います。

この研究では、日本人男女約95,000人を対象とし、10年間のコホート研究で、喫煙状況および禁煙後の時間と心血管疾患による死亡率との関連を評価しました。

 

方法調査は1988~1990年に開始され、日本全国の

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スタチンによるプラーク安定化のメカニズム:JACC

スタチンによるプラーク安定化のメカニズム:JACC

スタチンは冠動脈疾患再発抑制に重要な薬剤となっていますが、プラーク安定化の詳細なメカニズムは十分に解明されていませんでした。

この研究では、OCTを用いて、冠動脈動脈硬化性プラークの線維性被膜に対するアトルバスタチン20mg/日投与とアトルバスタチン5mg/日投与の脂質低下療法の効果が評価されました。

不安定狭心症で未治療の脂質異常症がある70症例をアトルバスタチン20mg/日またはアトルバス

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