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優しく包み込みこまれ、心が解放される。闇の中に煌めく光を見出すような読書体験。 本「悲しみの秘儀」★5

「悲嘆、孤独、死者をみつめ、光を紡ぎ出す26編」(帯より) 
「もしあなたが今、このうえなく大切な何かを失って、暗闇のなかにいるとしたら、この本をおすすめしたい――(解説・俵万智) 」

2019年(単行本2015年)若松英輔
解説・俵万智。装丁と文中の作品・沖潤子(刺繍作家)

以前、旅中に立ち寄った素敵な本屋で、何気なく購入した。旅の高揚感と相まって、この本の美しく優しい文章に抱かれ、心地よい時を過ごせた。しかし、あまりに心がほぐれてしまって、泊った宿に忘れてきてしまった。

まだ途中までしか読んでなかったので、今回また購入して読んだ。やはり、優しい。優しく包み込み、心が解放されるかのような、深遠で美しい文章。闇の中に煌めく光を見出すような読書体験となった。

26編あるが、1編7ページ程で、短くコンパクトながら濃厚。それぞれに素敵な引用を伴い言葉が紡がれていく。その引用元のブックリストが巻末にあるので、それらの本も読んでみたいと思わせられる。

人が語ろうとするのは、伝えたい何かがあるからであるよりも、言葉では伝えきれないことが、胸にあるのを感じているからだろう。言葉にならないことで全身が満たされたとき人は、言葉との関係をもっと深めるのではないだろうか。

全編通して美文が続いていくので、ときめきっぱなし。引用される人たちも多様で、世界が広がる。宮沢賢治、リルケ、越知保夫、ソクラテス、ブッシュ孝子、神谷美恵子、小林秀雄、岩崎航、原民喜、などなど。

悲しみは、「かなし」であり、「かなし」でもあると。逃れようのない悲しみも、恐れる必要はない。むしろ、それを積極的に味わおうと思えた。その経験からでしか気づけないこともあるんだろうから。

誰かを愛しむことは、いつも悲しみを育むことになる。
生きるとは、自らの心の中に一輪の悲しみの花を育てることなのかもしれない。

久しぶりに、手元に置いておこうかなーと思った一冊でした^^


★\(^^)/☆

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