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2020年11月の記事一覧

男と女

男と女

君が掴んでくれたこの手を
振りほどいたのは、僕の方だ。

「大丈夫、頑張ろうよ。ね、一緒にさ。」

そう言って、君が僕の手を握った時。
とてつもなく、惨めな気持ちになったんだ。

大人気ない。男らしくもない。おチョコよりも小さい人の器だと、僕自身が思う。

八つ当たりだった。優しさに甘えた。

「人生、順風満帆なお前には分からないよ。」

そう言った時に、視界の隅で見えてしまった君の目を、僕は一生

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ある女の日常

ある女の日常

天気の良い朝に
窓を開けて深呼吸をする

寒さに振るえ、慌てて窓を締める

憧れの生活には程遠い
振り返りホコリの溜まった本棚に
軽く絶望する

お気に入りのシャツは
生乾きのままぶら下がっている

朝の星座占いは1位
気分がいい

時計を見ると、すでに家を出る30分前である

バタバタと顔を洗い歯を磨く
2番手の洋服を選び
せかせかとワンパターンなメイクをする

メイクに10分ってかけすぎじゃな

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いつもの話

いつもの話

冷たい空気を頬に感じながら
「寒くなったね」
と笑う君と歩く朝
「今日は鍋にしよう」
と小走りに進む君の背中に
「朝から晩飯の話かよ」
と小さくつぶやいて僕は
「キムチ鍋な」
といつもと同じ答えを返した

モーニングコーヒー

モーニングコーヒー

目が覚めて
寂しいなんて思うのは
君がもうここに居ない
それだけが現実だからだ
朝のコーヒーの淹れ方がわからなくて
古いインスタントコーヒーの
苦味だけで目を覚ます
今日からこれが
ぼくの日常だ

ねぇ、君

ねぇ、君

ねえ、君
僕が君を想う日が
どれほどあるか知っているかい?

水を飲むよりも多く
息を吸うよりも多く

君を想う
僕の日常を

ねえ、君
どうやって伝えたら良いのだろか