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思い出だけを胸に DIE WITH ZERO〈ゼロで死ね 〉

【読書記録】
昨年の今頃、Instagramなどでこの本を見かけた方も多いのではないかと思う。

自己啓発系統の本はほとんど読まないし、DIE WITH ZERO JP様から贈呈のお話を頂いたときは半信半疑…というか完全に怪しんで断る気満々であった。(ごめんなさい①)

夫に「なんかこの本くれるみたいなんだけど」と話すと「あぁ、これね。俺も読んでかなり影響を受けた本。面白いから一回読んでみたら?」と秒で勧められたので「そんなん言うなら読んでみようかしら」とお受けした。

読んでみてイマイチだったら「イマイチだった!」と正直に書くつもりだった。(ごめんなさい②)

でも、ピカイチの本だった。

❝人生でしなければならない一番大切な仕事は、思い出作りです。最後に残るのは、結局それだけなのですから。❞

これは、ドラマ「ダウントン・アビー」の執事カーソンの言葉だそうだ。

私事でしかも長話になるが、25〜6歳の時、死ぬほど働いていた。
当時は3交代勤務(日勤8:30~17:00、準夜勤16:30~00:30、深夜勤0:00~9:00)で、準夜・深夜合わせて多い時で月に20日間夜勤をし、日勤はわずか2〜3日だけだった。
(もう時効だろうから告白するが、明らかな労働基準法違反であるため、保健所監査用勤務表と本当の勤務表の2種類があった)

慢性的な看護師不足。
そのくせ手術やら夜中の緊急入院やらが多いところで、トイレに行けぬほど、水も飲めぬほど忙しく、毎日4〜5時間の残業は当たり前だった。

準夜の後の残業が終わって、朝方4時に帰宅。少し活動してから眠り、その日の23時にはまた出勤。
その間の19時間が実質勤務表上の〈休み〉にカウントされる。

寝て、起きて、食べて、働く。

丸一日しっかり休める〈休み〉はほとんどなかった。

そこで約2年間働いた。
よくやっていたな、と思う。

基本給はごく普通だったが、残業代と夜勤手当で、一般企業の部長並の稼ぎがあった。
お金を使う時間もなかったのだけれど。

まさにこの本の冒頭に登場する「アリとキリギリス」のアリのように働いていたわけだ。

そうなると、自分のことも患者さんのことも「人間」として見れなくなってしまう。
取り扱う「モノ」になってしまうのだ。

幸せとはなんぞや。
限界が近づいていた。

変なもので、ここまで自分を犠牲にしているのに、仕事を辞めることが「逃げる」ことのように感じてしまい、なかなか決断できない。
…が、期は突然訪れ、決断した。

「よし、韓国に行こう。」

その数年前から独学で韓国語を勉強していた私は、当時韓国人男性と遠距離で4年目の恋愛中であった。

仕事をスッパリと辞め、1年間向こうで暮らした。

世界各国から集まったいろんな年齢の人たちと、韓国語を共通語にして意思疎通できる喜び。
学校に通い、デートして、アルバイトも経験した。

件の彼とは、遠距離恋愛中はしなかった喧嘩をしょっちゅうして、「少し離れてるくらいがいいのかもしれないなぁ」なんて愚痴ったりもしたけど、近くにいるからこそ人間らしい付き合いができた。

それまでアリのように働いて得たお金は日々目減りし、アルバイトでもらえる金額は看護師時代に比べるとごく僅かなのにも拘らず、毎日が楽しかった。

アリからキリギリスになれた1年間。

韓国に行かなければ、その間働いた分+留学費用=7〜800万円以上はプラスになっていただろう。

でも、行ったからこそ得られたものがあった。
出会った人、言葉、びっくりするような経験。これは本当にプライスレスだと思う。

昨年から資産運用を始めた。
2年間のプータロー生活に終止符を打ち、再び自分で稼いだお金で楽しい思い出を作ることに精を出している。

新しいことを始めるのはワクワクする。
毎日いろんなワクワクをエネルギーにして生きていきたい!と思えた本。

読む機会を下さったこと、感謝しています。変な本だと疑って大変申し訳ございませんでした③


まずは、有名なアリとキリギリスのイソップ寓話から始めよう。

夏の間、勤勉なアリは冬の食料を蓄えるためにせっせと働いた。一方の気楽なバッタは、自由に遊んで過ごした。やがて冬が到来した。アリは生き残ることができたが、バッタには悲惨な現実が待っていた。

この寓話の教訓は、人生には働くべきときと遊んでもいいときがある、というものだ。もっともな話だ。
でも、ここで疑問は生じないだろうか? つまり、アリは“いつ”遊ぶことができるのだろう?ということである。それが、この本で提起したい問題だ。

私たちは、キリギリスの末路を知っている。そう、飢え死にだ。だが、アリはどうなったのか? 短い人生を奴隷のように働いて過ごし、そのまま死んでいくのだろうか?いつ、楽しい時を過すのか?

もちろん、誰もが生きるために働かなければならない。だが、ただ生きる以上のことをしたいとも望んでいる。

「本当の人生」を生きたいのだ。この本のテーマはそれだ。ただ生きるだけではなく、十分に生きる。経済的に豊かになるだけではなく、人生を豊かにするためにどうすればいいかを考える。そう、自分の人生を最大化するための一冊なのだ。

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