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村嵜千草
2021年9月22日 17:58
夕どきに母が耳鼻科へ行きました。耳の詰まりが気になるからと、出かけてゆきました。私は台所で母を見送りました。コンソメスープと、夏野菜のサラダを作りました。まだ母の帰りはありません。ひとりそそくさと食べることにいたしました。「おいしい〜!」我ながら腹も心も満たされる食事ができたと、私を褒めました。私の食事が終わるころ、母が帰ってきました。ぐったりとひどく疲れた様子でした。
2021年9月21日 17:43
ねえ 筒抜けだよ「当たり前だろう 万華鏡なんだから」万華鏡って、覗いたらどんな景色なの?「そりゃあ数えきれないほど満開の華やかな景色さ」へんなの こんなまっくらのこと 華やか、だなんて「ハハ、そりゃ覗き方が悪いんだ 天に向けて光を入れてご覧」テン「お空のことだよ お日さんののぼってるこの広ーい所さ」広ーくて、まっくらで、ヒカリがハイって、オヒサンのいる、テンね「
2021年9月19日 23:30
あなたの知らぬところでわたしは枕を濡らすあなたの知らぬ間(あいだ)にわたしの唇が弧を描くあなたのいない土の上でわたしは首をもたげるあなたの残したつめあとがわたしの喉をぎゅうっと絞るあなたの残したつめあとをわたしの指がそうっと辿るあなたの残したつめあとはひどく冷たい ひどく優しい
2021年9月18日 15:39
勉学に励み 埃と誇りを高く積む草花を摘み 嗅いで見つめて彩って体を彩り 顎を上げてコツコツ鳴らす音を生(な)らし 反吐も慈愛も空気に揺らす己(おの)が両手で彼奴を… 憤り沸き立つ大の字に身を投げ出して地に返り 無に帰す家の扉をくぐり 家族の笑顔と飯の匂いで腹を満たす肉を削ぎ筋を充し 線を描く只管な手と筆は繊維をすべり 残したいものがある誰も皆 ニンゲン誰も皆
2021年9月17日 22:24
神妙な面持ちと 固く握られた拳それから俯いて はい、はい、と頷くぼさぼさ頭僕はそれをじっと見てる さっきからずっと見てる僕には関係ないかもしれない父さんにもじいちゃんにも関係ないかもしれないでも
2021年9月17日 22:21
と、素直に言えない私をどうか見て見ぬふりをしてどうか放っておいていてどうか、話を聞いて 頷いて
2021年9月16日 09:38
歩いても 歩いても 歩いても辿り着けないところにあなたがいる考えても 考えても 考えてもあなたの大きなその荷物に手が届かない寄り添いたいと、思う気持ちが邪魔をするそばに居たいと、思うほどに離れゆくいつか やわかいそのこころを、少し覗かせてくれますか駄目ね わたしは 待ち切れずに また…気を悪くさせたらごめんなさいけれどあなたがすきなんだもの知りたいと 共感したいと詰
2021年9月15日 08:24
さよなら世界 ありがとわたし短いなんて知らないよ 十分すぎる長さだよおはよう世界 ありがとわたし眩しいだとか 気持ちいいだとか いったん忘れていいんだよ揺れるカーテン 温かいスープの匂いふわふわのタオル 汚れたぬいぐるみ イヤホンを外してごらんよ その雫を拭ってごらんよまた目が覚めた 今日もゆくのねありがと世界 さよならわたし溶けて溶けて溶けゆくの わたしは土で水でそれから
2021年9月14日 21:24
ばかやろう くそったれおまえなんか ( 任意のせりふ )このやろう ふざけんな今に見てろ ( 任意のせりふ )あれも それも なにもかもおまえは何にも知らないくせにこっちはな ( 任意のせりふ )こんなにも ( 任意のせりふ )ああーっ! 叫べ!鏡を持て!あほみたいに 嫌味たらしく 笑ってやれ!にーーーっ!※満足するまで繰り返す
2021年9月14日 13:19
今夜はスーパームーンなんだね、と君が言う来てごらん、綺麗だよ、と君が言う夜空を見上げる後ろ姿を涼やかな夜風になびく髪の毛を後ろ手に呼ぶその声を私は覚えていようきっとずっと覚えていようさみしい思い出にならぬよう皺の深く刻まれたころに、一緒に笑って話すようそっと秘密の願いを込めて君の手に熱を重ねる満天の星たちよ 大きな大きなまんまるよ口に出せぬ弱い私を 見ておいで
2021年9月14日 12:57
ただ静かに夜(よ)の更けるのを共にする時には庭の鈴虫が時には窓打つ雨音がまた時には 喉の渇きと腹の音(ね)がわたしの旅の友になる闇のなか寝息のすきまを静かに歩くああ この時でさえ無駄も無意味も起こさないそれを知っているわたしだから止(や)めずに歩くのだ歩けども歩けども闇は 深く鋭くて瞑れども瞑れども歩みを止(と)めてはくれなくてああ 光を恋いまた 闇を
2021年9月13日 20:55
墓に手を合わせる。骨が埋まっている。仏壇に手を合わせる。位牌が置いてある。その日の出来事を報告する。会いに行くまで見ていてくれと願う。その日の出来事を報告する。会いに行くまで見ていてくれと願う。死んだらどこへゆくのか。どこへもゆかずに消えるのか。生きている人間は何も知らないから、皺と皺を擦り合わせてそこにいると思い込む。墓にもいれば仏壇にもいる食卓の空いた
2021年9月13日 19:49
ぷっくりまあるいほっぺたにわらうと くしゃって 目がなくなっちゃう、かわいいかわいい なっちゃん。あまえんぼで、おともだちと ときどき けんかもして、ほいくえんの先生に しかられることもおおかったなっちゃん。ちょっぴり わがままで なき虫な 2さいのなっちゃん。なっちゃん、いま どうしてるかな。まい日 たのしいといいな。本とうは ガマンをして 上手に あまえられないで、お
2021年9月13日 19:45
さあやるぞ、と勇み足で庭へ出る我が子の具合を観察しそして根元に目をくれる懲りない奴等め 今日こそは軍手に穴の空くのも気に留めずぶちりぶちりと草を抜く我が子のためと草を抜くこれは私の仕事なのだ動けぬ我が子のためならば苦手な虫をも厭わない多少の雨にも濡れてやるそうしてときどきむなしくなってふと手を止めて座りこむ我が子のためと理由をつけて数多のいのちをむしりとる私