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しんだもの


墓に手を合わせる。
骨が埋まっている。

仏壇に手を合わせる。
位牌が置いてある。


その日の出来事を報告する。
会いに行くまで見ていてくれと願う。

その日の出来事を報告する。
会いに行くまで見ていてくれと願う。


死んだらどこへゆくのか。
どこへもゆかずに消えるのか。

生きている人間は何も知らないから、
皺と皺を擦り合わせてそこにいると思い込む。


墓にもいれば
仏壇にもいる

食卓の空いた席にも
枕元にも


ハハ、死んだのに苦労をかけるな。
やっとの休暇だろうにあちらこちらへ働かせてすまない。

そうでもしないと生きていられないと思うのだ。
追いかけてしまいそうになる己を こうして生かしているのだ。



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