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転職考察記

 九割以上の日本人はこう悩んでいるのではないでしょうか。
今の仕事、辞めたいなあ
なんのために働いているんだろう
この仕事を一生、続けなくちゃいけないのかな?

 卒業を迎える多くの学生も「来年からは、働くなくちゃいけないのか」と考える人が多いのではないでしょうか。
 そこまで嫌でなくとも「大変だろうけど、頑張ろう」という人がほとんどでしょう。
 少なくとも「来年からいよいよ働けるぞ! ワクワク!なんて人、めったにいません

やりたい仕事のヴィジョン

 今の仕事に不満を感じつつ、やってみたい仕事のヴィジョンがある人も多いのではないでしょうか。
 例えば田舎に移住して農業を始める喫茶店を始めると言ったものです。面白い漫画を描いてデビューするなんて夢もあるかもしれません。今の子どもたちにはYouTuberが一番人気です。
 漠然と、いつか起業がしたい、自営業者になりたいと思う人もいるでしょう。

 しかし、アイデアがあったとして、どうすればそれを実現できるのでしょう。どうすれば、収益を黒字にもっていけるのでしょう。

 例えば塾の開業は、初期費用が少ないと言われています(とは言え数百万円かかります)。小さなテナントを借りて、内装工事をして、必要な備品や教材を取り揃えます。

 いざ、開業した時、どんな能力が必要でしょうか。
 分かりやすい授業でしょうか、子どもたちや親御さんへの丁寧な対応でしょうか、親身な進路相談でしょうか。
 いや、そもそもお客さんがいないと、経営が成り立ちませんいざ、開業してみて、お客さんがいっぱいになると言うヴィジョンがわかないのです

営業力

 塾を開業して、お客さんが来ないとしたらどうでしょう。テナント代で、月々大赤字を垂れ流すことになります。
 必死に営業(PR、マーケティング)をするでしょう
 ホームページやブログを作る。
 仲介サイトに登録する。
 チラシを刷って色々なところに掲示する。
 友人・知人のツテを頼ってでも、子どもを紹介してもらう。
 ただ、多くの人は営業のイロハを知りません。最初は苦労するでしょう。

 いきなり開業せず、一度、雇われの塾講師を経験してから独立を目指す道もあります。

 塾のように需要も供給も多い仕事ならそれでも良いです。塾を求める親御さんは多いですし(子どもではなく)、駅前には多くの塾が乱立し、塾講師の求人はいくらでもあります。

 しかし、やってみたい仕事のヴィジョン、夢という物は、突拍子もない仕事であったり、狭き門であったりするでしょう。

 そんな時、どうすればその道を目指せるでしょう。
 そう、営業です。営業こそ、全ての道に通じる能力だったのです。特に、一から起業をしたベンチャー企業の営業が良いでしょう。

そんなに熱意はなくても

 だれしも「こんな形で働けたら良いのにな」というアイデアを閃くことがあると思います。

 そのアイデアは、いやいや仕事をするのではなく、少しでもやってみようと言う気持ちから生まれた閃きです。
 ですが、多くの人はそのアイデアを馬鹿な考えだと捨てて、挑戦をしません。

 その大きな理由は、成功するイメージ無しに、がむしゃらに始めてみるほどの熱意はないからです。

 挑戦する人と、しない人の違い。
 一つは、フットワークが軽いか重いかです。
 思いついた事を、失敗してもいいからパッと行動できる人、失敗をイメージして行動が出来ない人。
 こと、起業する、自営業を目指すことに関しては、腰が重くなる人が圧倒的に多いでしょう。

 もう一つは、がむしゃらにやってみるだけの熱意が湧くかどうか。これも、そこまでの熱意が湧く人は多くはいません。

 さらに、脳科学の一説では、脳は夢や目標を思い描くだけで満足してしまい(致命的なバグ)、中々行動には移さないと考えられています。

 確かに、夢を妄想している時は楽しくて満足した気分になってしまいますし、年始に決めた目標ほど達成できなかったりします。

 だからこその営業への転職です。アイデアを閃いたとき、多くの場合「でも、うまくいかないだろうな」「大変だろうな」「そもそもどうやったら依頼を受けられるんだ?」と考えてすぐに諦めてしまいます。
 しかし、営業を経験しておけば、宣伝や集客方法もイメージ出来るかもしれません。それは夢の実現へ近づきます。

ベンチャーを目指す理由

 やりたい仕事や夢を追い求めたり、起業や自営業を目指すのであれば、大企業ではなくベンチャー企業を志すのが良いです。中小企業であっても古くからある会社より新しい会社のほうが良いでしょう。

 古くからある会社は、営業の仕方も確立されています。何十年も仕事をしてきて、お客さんからも取引先からも信頼がありますし、ネームバリューもあります。
 大企業の場合は、会社ぐるみでの取引も多いです。新規顧客の獲得ではなく、すでに顧客がいるのです。

 私たちが仕事を起こそうと思ったら、どうしないといけないですか?
 全くの無名で! 実績0で! 顧客も0で! 信頼関係なんて全くない!
 そんな状態で顧客を獲得しないといけません(無理ゲー)

 起業をしている人たち、ベンチャー企業の方々は、0からその挑戦をした人達です。そのノウハウを知りに行きましょう。

 頭が柔軟な方が多いです。こうしなきゃいけないと言う、凝り固まった思考の人は、そもそも起業しません。

 なにより、なぜ彼らが会社を立ち上げたか。「雇われで仕事をしても楽しくない」「好きでもない仕事をしていたくない」「どうせ働くなら楽しい仕事をしてみたい」そういう思いもあるはずです。
 私たちに先んじて、やりたい仕事や夢に向かって行動を起こしたのがベンチャー企業なのです。

一生その仕事なんてできない

 昔は終身雇用が当たり前の時代でした。
 今でも企業の多くは、労働者に長期の労働を求めます。会社としては、新卒や未経験の新人に、先輩が指導をして仕事を覚えてもらいます。仕事を覚えさせた中堅社員が辞めてしまったら会社としては損な訳です。

 ですが、損得勘定で考え過ぎではないでしょうか。確かに新人は、教えてもらうことも多いですが、一年も経てばしっかりと成果を上げ始めます
 私の場合、社員2000人の会社で、一年間に純利益100億円出していました。一番過酷な部署に配属され、遅くまで残業をしていました。
 ですが、その利益は社員に還元されることなく、不景気が来た時の会社の体力として、内部留保として貯められ、私が六年働き辞めるころには内部留保は600億円に達していました。
 辞めた身からすると、2000人で600億円の純利益を出したので「3000万円、私に払わんかい」「給料も高くないのに、なにが仕事を教えてやったじゃ」と思います。大してホワイトでもないんだから、いっそ潰れた方が社員のためです。

 話がそれました
 楽しい天職には中々、出会えません
 であれば「今の仕事、辞めたいなあ」「なんのために働いているんだろう」「この仕事を一生、続けなくちゃいけないのかな?」と考えるのは至極真っ当でございます。

 企業が理不尽と不合理を押し付ける以上、こちらも退職や転職を考えるのは当たり前です。

 ですが、新卒にしろ中途にしろ、採用面接の場では「是非、御社に入らせて下さい!」「一生勤めるつもりです!」と言わなければ落とされます。
 これはまさに、企業と労働者のライアーゲームです。企業は労働者に大嘘を言いますし、逆もまたしかりです。

 間違って「三年後には進路を見返します」なんて言おうものなら、入れてくれる大企業はないかもしれません。

 今は楽しいと思える仕事も、数年後、数十年後には飽きていたり、楽しさより苦しさが勝るようになるかもしれません。
 永遠に変わらないものなんてないのです。

 初めて付き合った異性と結婚するパターンは少ないです。結婚生活が上手くいかず、離婚する夫婦もいます。
 なのに企業だけが、十代後半~二十代前半の若者を捕まえて一生、私の会社で働いてね♡♡♡ お給料? 大卒? う~ん22万円♡♡♡」と要求してくるのです。メンヘラいや、バケモノです

 ところが面白い体験談があります。
 私が営業を志すことを閃いたのはつい最近で、少し前はハウスメーカーを中心に面接を受けていました。
 創業したての若いハウスメーカーさんの面接に行くと、まさにベンチャー企業と言ったような、若くエネルギッシュな社長が現れました。

 話の流れで、正直に「今は営業を目指していて、住宅は第二候補です」と、営業を目指すに至った理由を話しました。
 そして「住宅ですと、元々、長くても三年と考えていて、そんな理由で募集するのも良くないとは思うのですが」と伝えました。
 するとどうしたことか「三年、いいねえ! 逆にいいんじゃない!」と好印象で、三年でももし良かったら、と言うニュアンスの話をして頂きました。

 ベンチャー企業の求人には良く「独立・起業を応援します」と言った文言があります。
 自身も苦労して独立をしたからこそ、自分の会社に無理に縛り付けようとは思わず、やりたい事があるなら応援すると言う気持ちがあるのでしょう。
 それが本当だったというエピソードです。

意外と弱い技術職 実は強い総合職

 私は大学では電気電子工学という学問を学びました。これがめっぽう就職に強く、新卒の際は、産業系ならどんな企業からも引っ張りだこという状態でした。
 そこから建築系の会社に入りました。建物であっても、照明やインターネットなど、電気が関係する設備があるので必要とされました。

 新卒の時は思ったものです。
「文系よりも、理系の方が、圧倒的に就職に強い。真面目に実験や研究をやってきたから当然だ。だいたい文系のやる内容、あれは一体なんの役に立つんだ?」と。
(実は電気電子工学なんて難しすぎてつまらないと思っており、むしろ歴史や哲学が好きです)

 ところが転職活動をしてみて思ったのです。
「あれ? 六年間、建築系の技術者としてやってきたけど、建築業界以外だと技術者として求められてないんじゃね?」と。

 理系・技術系は専門性が高すぎて、別の技術系へキャリアチェンジしにくいのです。例えば建築系の私が、今さら自動車メーカーや、半導体メーカーに応募した所で、求められないのです。

 ところが文系・総合職だとあら不思議。例えば営業や人事の経験、これは建築系のゼネコンだろうと、自動車メーカーだろうと、半導体メーカーだろうと、どこでも前職の経験を活かせます

 自動車メーカーは、建物作りの専門家なんて必要としていません。ですが、どの企業も営業や人事と言った総合職を必要としています。
 これもまた、営業を志す理由です。

面接で聞くべきこと

 ベンチャー企業で営業を志すこと。私の仕事論として、一旦の結論を得ました。

 人それぞれの答えがあると思います。
 私は働くことに対して、本当に悩んで、五里霧中で迷いました。
 転職活動をし、色々な面接を受ける中で、考えを巡らせることでこの結論に至りましたが、途中経過があります。
 営業の前は、住宅づくりを志望していた話をしましょう。

 新卒の際、私は建築系の会社に入り、主にマンション作りに携わりました。漠然と、人の役に立つ仕事がしたい、人の住まいを支える仕事をしたいと思っていました。

 たしかに、その仕事は出来たことでしょう。ぴかぴか新築のマンションを買って、若い夫婦や、小さい子連れの家族が引越しをしに来ます。
 子どもたちは、大きくて綺麗なマンションを見て笑顔で歓声を上げることでしょう。
 全て想像です。私は六年間勤めて、ついぞお客さんの顔を見ることも、声を聞くこともありませんでした

 顔を合わせるのは、大手不動産会社のお偉いおじさんたち。彼らの要望を聞くことはありました。完璧な仕事ができて当然。丁寧な仕事をした時は、取引先や上司から、ほんの軽く褒められる事はありました。軽くです。何故なら仕事というのは、出来て当たり前のものだから
 逆に失敗をしようものなら、上司や関係各所から、何十分、時には何時間と責められます何故なら仕事というのは、出来て当たり前のものだから

 戸建ての住宅作りを考えたのは、そのためです。たまたま求人が目に止まったのですが、マンションでなく戸建てなら、お客さんの顔と声を直接知ることが出来ると思ったのです。
 失敗した時の辛さは同じだとしても、お客さんの喜ぶ顔や声が聞けるでしょう。丁寧な仕事をすれば、感謝もされることでしょう。

 最初に面接を受けた、ハウスメーカーの技術者の方に聞きました。「仕事は楽しいですか?」と。
 その方は、本心から「子どものころから、この仕事をするのが夢で、今はそんな仕事ができて毎日充実しています」と答えました。

 仕事を探すうえで、ヒントになるかと思い、エピソードを紹介しました。

 企業と言うのは死んでも「うちの仕事は、ぶっちゃけつまらないよ」などと話してくれるものではありません。
 例えば「大変なことも多いけど、やりがいもあるよ」と言う言葉。この言葉をどんな顔で言っているか、どんな声色、ニュアンスで言っているかも見抜くよう、お気をつけください。

営業の比重が小さい仕事

 最後に、営業の比重が小さい仕事について話します。

 田舎で農家暮らしは、意外と上手くいくかもしれません。
 農業は一次産業であり、物を生産する仕事です。先輩農家の方に、良くコミュニケーションを取り、新参者として謙虚に教えを乞い、教えてもらう代わりに手伝いを申し出れば、一人前の農家になれるでしょう。

 もちろん、営業が出来れば、安く買いたたかれず、高く買ってくれる人を見つけたり、仲介業者を挟まない販路を開拓できるかもしれません。
 ですが、よっぽどの値崩れをしない限り、売れなくて困ると言う事はありません。

 喫茶店の場合、コーヒーや軽食を調理しますが、農作物や工業品のように大量生産する仕事ではありません。サービス業の場合、営業の影響が大きいのではないでしょうか。

 需要の確立された物を生産する仕事は、独立しやすいかもしれません。
 喫茶店や塾を開いても、最初は中々、お客さんが確保できないと思います。ですが、お米を作って売るのに困るということはありません。


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