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2022年12月の記事一覧

poem 旅人

poem 旅人

森のはずれの
静かな泉

そのほとり

旅人がひとり
座っている

私はどこへ
向かっているのか

旅の目的も
忘れてしまった

森のはずれの
静かな泉

そのほとり

旅人は
旅した道を
振り返る

生きた証を
探すように

森のはずれの
静かな泉

そのほとり

旅人はふと
ある風景を
思い出す

あの山辺の
村の灯り

炉端にはぜる
細かな火の粉

煮込んだ鍋の
汁の味

体に流れた
温かさ

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poem 愛

poem 愛

特別なんて
何もない

でもそれが
特別なんだ

誰もがひとり
自分を生きる

どこかで
誰かと関わりながら

求める必要
なんてない

世界は愛で
満ち満ちている

poem 波の唄

poem 波の唄

寄せては返す
この波を

私はずっと
聴いている

何度も何度も
繰り返し

私に寄せて
私を包む

いつしかそれは
私を染めて

深い海へと
連れていく

小さな波が
私を撫でる

私の中の
青い世界

海を宿した
ひとかけら

poem ひとりごと

poem ひとりごと

あのさ

確かにそう言ったけどさ、
これ、全部持ってくの?

こんなにたくさん
ボク、持てないよ

ひとつでいいんだ
大切なもの

あるでしょ
ひとつ
大切なもの

ボクはそれで
充分なんだ

そんな顔しないでさ

ボクも分かるよ
全部大事だってこと

でもね

ひとつだけなんだ
ボクが持って行けるのは

ひとつだけ
ボクがとびきり
喜ぶもので

大事なもので
大好きなもの

ここまでいったら

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poem Night Garden

poem Night Garden

Hey, listen…
Can you hear singing insects?
We are in the Night garden

星の瞬き
夜の庭

Hey, listen…
Can you hear whispers of leaves?

月の明かり
夜の庭

We are in the Night garden

夜のしじまの
物語

poem 夕暮れの道

poem 夕暮れの道

日が暮れて
風が凪ぐ
蝉時雨

野辺のこの道
歩く私は
誰そ彼

遠くの山波
深い影

今日一日を
引き連れて

静かに深く
沈んでく

真っ赤な夕日の
最後の雫

橙色の
最後の雫

一体誰が
こんなにも

美しいと
教えたろう

今日一日を
引き連れて

静かに深く
沈んでく

真っ赤な夕日の
最後の雫

橙色の
最後の雫

ただ荘厳な
一雫

poem 空

poem 空

おーい、空
そこからボクが、見えるかい

おーい、空
そこから未来が、見えるかい

おーい、空
澄ましてないで、教えてくれよ

小さなボクの大きな世界
高い空から見える景色を

ほんの少しだけ、見せておくれよ
おーい、空

poem 青

poem 青

青い音
景色が煙る
葉に雫

私も
世界も
濡れている

poem 道の先

poem 道の先

坑道を
手探りしながら
進んでく

暗く細い
この道を

歯を食いしばり
進んでく

この先にしか
無いものを

私は
確かに
知っている

もがいて
耐えて
耐え抜いて

それは突然
訪れる

眩しい光
甘い匂い

肌が空気を感じてる

つかえたものを
吐き出すように
声を出す

胸いっぱいに
息を吸う

あぁ、これが
私の世界…

通り過ぎた道の先

どこまでも
真白き世界が
広がっている

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poem 風

poem 風

風が ゴーゴー 吹いている

変えたいのだ
この風は

風が ビョウビョウ 吹いている

変えたいのだ
この風は

まだまだ足りない
もっと吹け

火照りすぎたこの軀
冷たく冷まして欲しいのだ

風よ
吹け 吹け
もっと 吹け

岩を砕いて地を洗い
根こそぎ彼方へ
飛ばしてしまえ

風よ
吹け 吹け
もっと 吹け

剥がれた地表に雨が降る

どうか深い地の底へ
刺々しさを埋めてくれ

次の朝日

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poem 春告鳥

poem 春告鳥

木立の中で
鶯が鳴く

私は知っている
あの若い木の葉が
私の聲を聴いているのを

木立の中で
鶯が鳴く

私は知っている
萌え出した土が
私の聲を聴いているのを

鶯は鳴く

世界が目醒めるその時に
樹々の隙間に見える空
薄い花弁のひとひらに

鶯は鳴く

届く限りの春待つ世界へ

poem 通り道

poem 通り道

もうすぐここを
風が通るよ

さわ さわ
ざわ ざわ

向こうの木々の葉を揺らし
風が ヒューッ と
吹き抜けて行く

もうすぐここを
雨が通るよ

パラ パラ
バラ バラ

乾いたて白んだ地面を濡らし
雨が ザーッ と
通り抜けてく

シーンとしたあと
どこからか

ピチ ピチ
チュン チュン

声がする

もう大丈夫と
鳥たちが

ホッとしたよに
歌い出す

poem 種を蒔く

poem 種を蒔く

自分の中に
種を蒔く

ゆっくり芽を出す
種を蒔く

急がなくていいんだよ
時間をかけて
出ておいで

今日一日を
大切に

今しかできない
ことをして

時間をかけて
出ておいで

朝日が昇り
日が沈む

誰も見てない
静かな夜も

種は根を張り
伸びている

自分を信じて
待ってごらん

自分の種は
その花が

開く時を
知っているから

poem 今日という日が

poem 今日という日が

今日という日が幸せだから
明日もきっと幸せだ

夢が叶うことじゃない
大切なのは…

今日という日が幸せだから
明日もきっと、幸せだ

上手くいくことだけじゃない
大切なのは…

腹立たしさも
悲しみも

生きているから
感じられるんだ

夕暮れの空
影帽子

誰かの笑顔
道端の花