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poem 春告鳥

木立の中で
鶯が鳴く

私は知っている
あの若い木の葉が
私の聲を聴いているのを

木立の中で
鶯が鳴く

私は知っている
萌え出した土が
私の聲を聴いているのを

鶯は鳴く

世界が目醒めるその時に
樹々の隙間に見える空
薄い花弁のひとひらに

鶯は鳴く

届く限りの春待つ世界へ

ことばはこころ。枝先の葉や花は移り変わってゆくけれど、その幹は空へ向かい、その根は大地に深く伸びてゆく。水が巡り風が吹く。陰と光の中で様々ないのちが共に生き始める。移ろいと安らぎのことばの世界。その記録。