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ジャンル映画の分析、映画批評、映画研究 イニャリトゥ/クリストファー・ノーラン/ジム・…

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ジャンル映画の分析、映画批評、映画研究 イニャリトゥ/クリストファー・ノーラン/ジム・ジャームッシュ/ヴィルヌーヴ/クロエ・ジャオ/デ・パルマ/清水崇/是枝裕和/ポン・ジュノ/ジョーダン・ピール/アリ・アスター/コーエン兄弟/黒沢清/黒澤明/溝口健二/小津安二郎etc...が至高

記事一覧

『牛首村』『呪怨』で知られる清水崇監督の作家性とは?

 日本の映画監督で最も作家性の強い監督の1人である清水崇監督は、『呪怨』(01)シリーズで名実共に日本を代表する映画作家の一人だ。  意外と知られていないことだが、…

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2年前
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コロナ禍におけるトレンド“日常系恋愛映画”とは?

 2022年2月11日に公開された『ちょっと思い出しただけ』(22)は間違いなく今年のベストに入る恋愛映画の傑作であった。  本作は松居大悟監督が長年タッグを組んでいるバ…

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2年前
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スピルバーグ監督の「最高傑作」と言われる理由 映画『ウエスト・サイド・ストーリー』(21)

 1957年にブロードウェイで上演された『ウエスト・サイド・ストーリー』は大ヒットを記録。4年後の1961年にはロバート・ワイズ監督で映画化された『ウエスト・サイド物語…

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2年前
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三木聡監督ワールドとは何か?『大怪獣のあとしまつ』(22)に見る作家性とオワコン

 庵野秀明が監督した東宝の『シン・ゴジラ』(16)は「もし本当にゴジラが今の日本に現れたら?」というシリアスな視点を従来の伝統的な怪獣映画に取り込み、怪獣映画の興…

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2年前
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映画『最後の決闘裁判』(21) 羅生門アプローチのその先へ

●羅生門アプローチ  強姦事件の「真実」を神に委ねるために決闘裁判が行われていた。事件の真相をミステリーとし、3人の視点で(3章に分けて)強姦事件に至るまでの経緯…

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2年前
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映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(22)のアクション構造

本作はマルチバースを利用したサプライズに富みながらも、アクション・シークエンスが緻密に構成されていた。 筆者は従来のアクションとは違う計算され尽くしたアクション…

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2年前
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映画『アルプススタンドのはしの方』(20)に見る新世代の青春群像劇

兵庫県立東播磨高等学校の演劇部が全国高等学校演劇大会(17)で最優秀賞を受賞した同名舞台劇の映画化。 甲子園に出場する野球部の応援として駆り出された生徒たち。熱心…

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2年前
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『牛首村』『呪怨』で知られる清水崇監督の作家性とは?

『牛首村』『呪怨』で知られる清水崇監督の作家性とは?

 日本の映画監督で最も作家性の強い監督の1人である清水崇監督は、『呪怨』(01)シリーズで名実共に日本を代表する映画作家の一人だ。
 意外と知られていないことだが、ハリウッドでセルフリメイクした『THE JUON /呪怨』(04)は日本人監督作品で初となる全米興行収入ランキング2週連続1位(初週1位というのは同日公開を見極めて公開日を設定すれば、以外と簡単に取れてしまうが、2週連続1位は大ヒット

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コロナ禍におけるトレンド“日常系恋愛映画”とは?

コロナ禍におけるトレンド“日常系恋愛映画”とは?

 2022年2月11日に公開された『ちょっと思い出しただけ』(22)は間違いなく今年のベストに入る恋愛映画の傑作であった。
 本作は松居大悟監督が長年タッグを組んでいるバンド「クリープハイプ」の尾崎世界観の楽曲『ナイト・オン・ザ・プラネット』にインスパイアされて製作された作品である。
 元カレの誕生日、7月26日。コロナ禍で仕事も生活も様変わりした東京。偶然見かけた元カレ(池松壮亮)を見つめて、彼

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スピルバーグ監督の「最高傑作」と言われる理由 映画『ウエスト・サイド・ストーリー』(21)

スピルバーグ監督の「最高傑作」と言われる理由 映画『ウエスト・サイド・ストーリー』(21)

 1957年にブロードウェイで上演された『ウエスト・サイド・ストーリー』は大ヒットを記録。4年後の1961年にはロバート・ワイズ監督で映画化された『ウエスト・サイド物語』はその年のアカデミー賞を10部門受賞した。それから60年。いつかミュージカル映画を撮りたいと熱望していたスティーブン・スピルバーグ監督は子供の頃から夢見ていた『ウエスト・サイド・ストーリー』の映画化を希望し、各権利会社に訴えかけ実

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三木聡監督ワールドとは何か?『大怪獣のあとしまつ』(22)に見る作家性とオワコン

三木聡監督ワールドとは何か?『大怪獣のあとしまつ』(22)に見る作家性とオワコン

 庵野秀明が監督した東宝の『シン・ゴジラ』(16)は「もし本当にゴジラが今の日本に現れたら?」というシリアスな視点を従来の伝統的な怪獣映画に取り込み、怪獣映画の興行収入を大きく塗り替えることに成功した。『シン・ゴジラ』は日本の怪獣映画における一つの到達点と言っても過言ではないだろう。
 そして2022年5月13日には庵野秀明監督の最新作『シン・ウルトラマン』の公開が控えている。そのわずか三ヶ月前に

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映画『最後の決闘裁判』(21) 羅生門アプローチのその先へ

映画『最後の決闘裁判』(21) 羅生門アプローチのその先へ

●羅生門アプローチ
 強姦事件の「真実」を神に委ねるために決闘裁判が行われていた。事件の真相をミステリーとし、3人の視点で(3章に分けて)強姦事件に至るまでの経緯が描かれていく。
第一章:被害女性の夫カルージュ(マット・デイモン)の視点。
第二章:加害者カのル・グリ(アダム・ドライバー)の視点。
第三章:被害女性マルグリット(ジョディ・カマー)の視点。
 しかし、各々が見ている「真実」は異なってい

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映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(22)のアクション構造

映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(22)のアクション構造

本作はマルチバースを利用したサプライズに富みながらも、アクション・シークエンスが緻密に構成されていた。
筆者は従来のアクションとは違う計算され尽くしたアクション構造に酔いしれてしまったわけだが、何がこれまでのアクションと違うのか?

●「サプライズに富んだ矢継ぎ早のアクション」×「奥行構図の追いかけっこ」
ドクター・オクトパスが登場するハイウェイシーン。
オクトパスが4本のアームで人を乗せた車を軽

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映画『アルプススタンドのはしの方』(20)に見る新世代の青春群像劇

映画『アルプススタンドのはしの方』(20)に見る新世代の青春群像劇

兵庫県立東播磨高等学校の演劇部が全国高等学校演劇大会(17)で最優秀賞を受賞した同名舞台劇の映画化。
甲子園に出場する野球部の応援として駆り出された生徒たち。熱心に応援する同級生を横目に、人気のないアルプススタンドのはしの方で「野球部ってだけでなんか偉そうだよね」と興味なさそうに眺めるだけの演劇部女子高生二人が座っている。そこには彼女たちと同じように、応援する生徒たちとは違う目線で試合を見つめる元

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