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ドラマ・シネマローグ

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日本のドラマ・映画を中心に感想と思ったこと考えたこと。
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2021年4月の記事一覧

映画「きみはいい子」 〜ぎゅっと抱きしめたい

映画「きみはいい子」 〜ぎゅっと抱きしめたい

映画「きみはいい子」を観た。
観ている間中、胸がヒリヒリ痛くて、感情が大きく揺さぶられた作品だった。
呉美保監督の作品は初めてだけど、観る者の心にダイレクトに語りかけてくるような、ドキュメンタリーを見ているようだった。

観終わったあと、息子を思わずぎゅーっと抱きしめた。
何~お母さんどうしたの~?と笑う息子。



小学校教師の岡野(高良健吾さん)は、まだ教師1年目という事もありどこか頼りない

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ドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」~別れても好きな人

ドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」~別れても好きな人

久しぶりの坂元ワールド全開のドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」。
賛否両論だった前作の連ドラ「anone」も私は嫌いじゃなかったけれど、「最高の離婚」のような軽妙さが漂う今作は、まだ2話目だけれど名作の予感。

とにかく登場人物たちの間を飛び交う会話が面白い。ブロッコリーで戦う元夫達、勝手に元夫会議を開き出す場面とか面白すぎる。元夫達は、このまま親友同士になってしまったりして。

摩訶不思議な魅力

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三浦春馬 映画「真夜中の五分前」~エトランゼ・異邦人

三浦春馬 映画「真夜中の五分前」~エトランゼ・異邦人

ずっと観たかった「真夜中の五分前」。やっと日本からDVDを送ってもらい観ることが出来た。本当は映画館で観たい作品だけれど、海外生活の身では難しいのでホームシアターで鑑賞。

上海〜静謐な映像美と音の世界ステンドグラスの窓から漏れる陽の光、壁に掛かる沢山の柱時計の影、間接照明だけの仄暗い室内、光と影の対比を捉えたような一つ一つの映像がとても美しい。
セピアがかったノスタルジックな色調のフィルムがヨー

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映画「永い言い訳」 大切なことは失ってから気づく

映画「永い言い訳」 大切なことは失ってから気づく

映画「永い言い訳」を観た。
西川美和監督の作品は、デビュー作の「蛇イチゴ」「ゆれる」「夢売るふたり」と観てきたけれど、今作も人間というものを深く鋭く追求する視点が冴えたオリジナル脚本だった。

幸夫と長年連れ添った妻・夏子の間には微妙な距離がある。
妻を見ようともせず不倫に走っていた幸夫は、事故で突然に夏子を失う。

プライドが高く自意識過剰で面倒くさい性格の作家(津村啓)・幸夫役を演じた本木雅弘

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