#ショートショート
リストラジュリエット
世界的な映画監督がうちの部に指導にきた。海外テレビの企画だった。
ロミオとジュリエット。事前の台本にジュリエットがいない。
まさかないわけはあるまい。我々はジュリエット抜きで練習していた。一応役は準備した。私だ。
監督が来た。恰幅の良い茶色の顎髭を蓄えた男。印象で一番近いのはサンタクロースだ。
「じゃあ、始めて」
一通りやる。もちろんジュリエットはいない。
5日が過ぎた。
「あの、ジ
マッチに教えられたこと
マッチを冷蔵庫にしまったのは祖父ではなかった。旅行中の彼にはどうやったって無理だ。
では一体誰が。
「誰でもいいじゃない」
娘が言った。
「だけど、マッチに足が生えたわけでもあるまい」
と、息子。
言うなり娘に頭を殴られる。生意気言うなということだ。
「いずれにせよ名乗り出ないということは、なにか言えない事情があるか…」
「ただ単に間違えただけかも」
と、妻が私の言葉をさえぎってそう言
コロコロ変わる名探偵
いったいなんだってそんな名前がついたのだろう。
私はそれまで血を吐くような、骨を削るような努力でこの席を勝ち取ったというのに。
ああ嫌だ。
でも行かねばならない。
最近発見された星、『コロコロ変わる名探偵』に本格的な調査が入る。どうやらこれ、日本人がつけた名前のようだ。なんか資源が豊富なのだそうだ。
私はその先遣隊に選ばれた。
思うだけで恥ずかしい。だってテレビで「今からコロコロ変わ
アナログバイリンガル
ゲームに育成や人間関係など複雑な社会の仕組みが取り込まれ久しい。
反面それを楽しむ我々はボタン一つ、選択肢一つで子供のように泣き笑い、国会や職場でさえ小学校の休み時間のような様相を見せ始める。
その二つの現象に目を付けた研究者がいた。
ゲーム世界がより現実的になればなるほど、それを楽しむ人は幼稚に単純に、初期ファミコンのような脳内世界になるのではないか。
逆にゲームをつまらないものにすれ