株式会社リストラ

 株式会社リストラの歴史は古い。金剛組ほどではないが、江戸時代初期、徳川の資料にその名は多く見られる。
 初めの名前は『栗鼠虎』。動物の輸入に関する商売をしていた。リスやトラが珍しかったから付けられたのだろう。
 ただ、丑寅とか、もっと分かりやすく言えば馬鹿とか、そんな言葉を連想させてしまうことから、明治に入ってカタカナに名を改めたわけである。
 維新後は本社を東京に移し、新政府の元で動物園などへの外来種の輸入や、その飼育や繁殖に携わった。
 そんな由緒正しい会社が、何故退職勧告の請負会社になってしまったのか。
 もちろん名前だ。
 提携先に「お宅、リストラなんて名前の会社と取引しているんですか?ちょっとこちらに紹介してくれませんか」なんて声がかかることがよくあった。
 とくに、事情も分からない海外からの仕事が引っ切り無しに舞い込むようになった。
 今では名は体を表すという言葉の世界的な用例にもなっている。

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