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三角関係

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1,000文字フィクションのユニットマガジン。もりきち・もりきょん・ちょーのが織り成す、背中合わせの世界観。ちょっぴり不思議で、どこかヘンテコな三角関係をあなたへ。3人それぞれの… もっと読む
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#短編小説

涼しさのどくばり

涼しさのどくばり

僕はクラゲだ。

技術が進歩したからなのか、時代がこれまでの非常識に寛容になってきたのかは分からないけれど、僕たちは陸に上がるとヒトの姿を象ることができるようになった。

けれども、ひとつ厄介な事情がつきまとう。

それは、目には見えないけれど心は隠せないということ―――。

――――――――――

ヒトの暮らしを10日間続けてみた。
とてもぜいたくな生き物だなあと思った。

コンビニはいつだって

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願い事は突然に。

願い事は突然に。

タバコを咥えて歩きながら
コンビニで買った酒を片手に家まで歩く。
これを買いに外に出るのさえだるい。

財布の中身はもうない。

明日の酒を買う金が無いことに、
イライラしながら頭を掻き毟る。

「金、借りるか…」

別に今帰ってるのは
自分の家でも何でもない。
最近できた女の家だ。

金も最近はそいつから借りて生活してる。

今は仕事もしてない。
まぁでもあいつが稼いでるから
俺は別に働かなくて

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願いごとを叶えるのは、神様じゃなかった。

願いごとを叶えるのは、神様じゃなかった。

「ばあちゃんの八百屋、閉まっとったよ。」

じっとりとシャツに汗を滲ませながら家路についた僕は、母にそう告げた。

なんね、あんた聞いとらんと?と一瞬だけ怪訝そうな表情を見せたが、すぐに調理に戻る母。きょとんとしている僕を尻目に、こう続けた。

「ばあちゃん、先月死んだとよ。」

———————————————

ばあちゃんは僕が生まれるずっと前から1人で八百屋をきりもりしていて、近所の人もみんな

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仕方なくいいね。

仕方なくいいね。

2,3日前に遊びに行った時の写真が投稿に流れてきた。

キャプションには「このメンツしか勝たん♡」それに添えられたいくつかのハッシュタグ。
#jk #jkの素敵な思い出 #jk3

高校一年生の入学時、友達作りに困っていた私に彼女が声をかけてくれた。おかげで高校三年間はこのグループで色んな時間を過ごせた。

でも、正直な話、私はこの居場所が好きではない。

最初はそう思うことはなかったが、時間

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Cafe Memory.

Cafe Memory.

ママは、私の右手をぎゅっと握って離さない。

降りしきる雨に私をさらけ出さないようにと必死で守ってくれているけれど、ママが守っている私は、傘よりもアスファルトに近い。すれ違う大人たちが作り出す水沫に、何度も瞬いた。

どうして私は、こんな日にカフェに行くのだろう。

扉をくぐると、5つのカウンター席と4人掛けのテーブル席が2つ。

「ほら、ここに座ろう。」

ママがテーブル席に掛けるように促したと

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