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藍眞澄
2023年11月28日 12:53
不器用なんだ落ち葉を履く箒で丁寧に集め袋にまとめるやっと地面が見えてくる風が吹く地面はまた金色に戻るこんなことをいつも繰り返しているそれでも落ち葉を履く集めた落ち葉を袋に詰める風が吹く時間が袋に溜まるいつもこんなことを繰り返している箒を持つ手の気怠い痛みが袋に溜まっていく落ち葉が絶え間なく落ちてくる不器用な生き方を嘲笑うように絶
2023年11月24日 06:20
何かが違う今見えているこの場所は私がいる場所ではない何だろう時間が飴細工のように歪んでいるのが分かるここは私がいる場所ではない私の時間が狂い始めたのはいったいいつだったのだろうあの日あの人はガードレールに座って私を待っていた睫毛の影が深い心の傷を頬に写していた隣でその傷みを癒してあげたいと一瞬思ったその一瞬が私の時間を狂わせ始めたのだ慎重に心を
2023年11月22日 13:04
鏡を思い切り床に叩きつける粉々になった破片がそれぞれの角度で空を写している腹が立った訳もなく散らばった破片を思いつく空間という空間に思い切り投げる上手くいかないことばかり一生懸命考えて一生懸命にやってきたことを思いもよらない角度から批判されるただ傷つけるだけの批判に何の意味もないはずだ腹が立った訳などない鏡の破片が刺さるのは自分自身だと知っている痛
2023年11月21日 04:04
年老いた今僅かばかりの収入のために働いているその収入で細々と生きているレジに立ち理屈に合わない事で客に怒鳴られた日泣きたい気持ちを抑えて家路につく月明かりが色のない道に長い自分の影を落としている踏もうとして足を伸ばすと伸ばした分影が前に伸びて踏めない影踏みの遊びを最後にしたのはいつだったろうか走るのが遅いわたしはいつもいつも鬼だった人影のない真っ直ぐに続く道の
2023年11月14日 15:23
夜明け前星のぶつかり合う響きが折れた翼をいたわるように暗闇に降り注いでいた天使は翼の痛みに耐えながらもっと酷い痛みに耐えている人々のために祈っていた一本の蝋燭にゆっくりと火を灯す身を削りながら辺りを照らす蝋燭がゆっくりと小さくなって消えてしまう前に辺りは明るくなるだろう朝の光の中に天使は消えていく翼が折れたまま祈りの途切れぬまま
2023年11月14日 06:16
背負ってるものが重すぎて何もかも捨ててしまおうと思った秋の清らかに澄んだ空気の中で疲れた身体を横たえるすぐに深い眠りについたらしいラジオから流れてくるフルートの音が聞こえてくるバッハだ暗闇が見えるその中に一筋の光が射している眩しくはないぼんやりした柔らかな明るさが重荷の紐を解きすっと中に入っていくのが分かった生まれ落ちたその瞬間から人は平等ではない生まれる
2023年11月13日 10:39
こんがらかっていたんじゃないジグソーパズルがほんのちょっとズレてしまったんだあの時ほんの一言かけていたらジグソーパズルは角と角がピッタリ合って描いた絵を完成していたかもしれないあの時ほんの一言答えていたらジグソーパズルの絵は次の物語を描いていたかもしれないあの日握手する手さえ差し出さず電車に乗っていくあなたを見送ったその時カチッと音がしてジグソーパズルはほんの少
2023年11月9日 17:31
タワーマンションのベランダに立って見ている星くずのような夜の光が消えると一日の始まりを祝福しているような朝日が街をゆっくりと彩り始めるここには千数百世帯が住んでいるんだよ。と住人である友が言った乗ってる車もさ、外国車がほとんどなんだ。国内車でもレクサスクラスかな。へえ、そんな生活をおくる人々が数千世帯もあるのねと少し驚く街は明るさを増していく道路の車の流れも増えて
2023年11月9日 09:08
遠い昔古い下宿の一部屋に集まって夜が明けるまで仲間たちと語り合ったたわいのない毎日の出来事これからやりたい事世の中の事本の事あの時未来は溢れる可能性に眩しい光のかたまりだった40年の月日が流れたもう一度会えた懐かしい友あの時描いた未来に今私たちは立っているきみは描いていた未来に立っていた私はというと相変わらず作品作りに悩み苦しんでいる一冊の詩集も残せず心
2023年11月5日 19:25
冬が巡ってくる前に渡さなければならないお手紙があるのです眠ってしまう前に伝えておかなければならない事があるのです春の間にたくさん貯めた雪解け音夏の間にたくさん集めた入道雲の影秋になってたわわに実った稲の重みそんなたわいのないいつもの話をいっぱい書いたお手紙を渡したい人がいるのです眠ってしまう前に眠ってすべての記憶が私から消えてしまう前に
2023年11月5日 00:37
一筋の光が射す方向を見ていたその方向に歩いていくにはたくさんのモノを捨てなけらばならないのが分かっていた世の中にある物差しを真っ先に捨てた雨露しのげる屋根と空腹を満たすだけの食物寒さをしのげる清潔な衣服それさえあれば他に欲しいモノなどなかった身を屈め重く汚い仕事をしその日の糧を得る見下されても気づかないふりをして笑顔で応える地位や財産やそんなものはどうでも良か