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列と雨と晴 新 蜘蛛の糸

その朝、クソ雨の中を早足で向かうともう列が出来ていたから冷や汗が出た。わたしが最後尾、最後の一人だったから。危なかった!
 
病院へ向かう送迎車に乗るための列なのだ。
かなり不便な場所にあるそこにここ2週間毎日通っていた・いる。
路線バスを使えばいい。送迎バスは陰気だ。そんなこと言ってはいけない。
でも滅入る。しかも暑い。ドライバーも感じが悪い。いやそれも仕方がない。
タダで送ってくれる。しかも早い。
でも8人しか乗れない。
9人居たら?
最後の一人は放っていかれる。
それが通院中の病人だろうと病人じゃない見舞人や荷物届人だろうとお構いなく。
そんな嫌な書き方をするな。ただ物理的に乗れないだけだ。定員なんだ。
8人。八犬士? 違う。使徒? それは12人。
エヴァじゃない。キリストが勝手に選んだお気にでイツメン。
って、あれ、キリストもちょっと感じ悪い?(笑)
 
護送車もとい送迎バスの発車時間まではまだ5分ある。
最後尾最後の一人として無事乗れるとわかっているのにまた冷や汗が出てきたのは、発車までにわたしの後ろに誰か来たら……と考えたからだ。
どうなるのだ。どうしたらいいのだ。
病人でもなければ通院中でもないわたしはやはり次来た人に席を譲るべきか。うん。そりゃせや。人間や。
せやけど雨。クソ雨。わたしは、いや、わたしも急いでる。
歩けないことはない。初期は歩いていた。歩けよ。嫌や。勝手やなあ。
とか思っていたら護送車が来てわたしはやはり最後の一人だった誰も並ばなかった。正直ほっとした。嫌なやつだ。ほっとしてごめん(笑)
 
ぎゅうぎゅうの送迎車が発車する。
車内のじいさんが突然つぶやいた。車の外を見て。
「あれ、何を並んではんねやろ?」
じいさんの隣に座っていた息子らしき中年のおっちゃんはじいさんの問いには答えなかった。
でもわたしは、いやわたしも同じ方向の同じそれを見ていたからドキリとした。黙ってたけど。
長蛇も長蛇。数にして何人。30人? もっと? 8人なんて話じゃない。
開店前のパチンコ屋に並ぶ人びとの列。皆、傘をさして並んでいる。
雨はしばらく降り続いていたが誰かが儲けただろう頃には晴れていた。わたしも歩いて帰った。
 
 

ぽちぽちとこんなことを書きながら
思い出した以前の記事。
思い出したからこんな記事?(笑)
このご時世こんな時に。

 *
あれ? ちょっと前にも似たような似てないような似たようなこと書いたと思ったらこれやった!


6月の連載コラム、読んで下さった方、本当にありがとうございます。
連載もnoteもいろいろ書きます。ふふふ。


◆◆
【略歴や自己紹介など】

構成作家/ライター/エッセイスト、
Momoこと中村桃子(桃花舞台)と申します。

旅芝居(大衆演劇)や、
今はストリップ🦋♥とストリップ劇場に魅了される物書きです。

普段はラジオ番組構成や資料やCM書き、
各種文章やキャッチコピーなど、やっています。

劇場が好き。人間に興味が尽きません。

舞台鑑賞(歌舞伎、ミュージカル、新感線、小劇場、演芸、プロレス)と、
学生時代の劇団活動(作・演出/制作/役者)、
本を読むことと書くことで生きてきました。

某劇団の音楽監督、
亡き関西の喜劇作家、
大阪を愛するエッセイストに師事し、
大阪の制作会社兼広告代理店勤務を経て、フリー。
lifeworkたる原稿企画(書籍化)2本を進め中。
その顔見世と筋トレを兼ねての1日1色々note「桃花舞台」を更新中。
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Webマガジン「Stay Salty」Vol.33巻頭に自己紹介エッセイを寄稿しました。

12月Vol.34からは不定期コラムコーナー「DAYS」も書かせていただいています。

東京・湯島の本屋「出発点」では2箱古本屋もやっています。
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読書にまつわるエッセイ集(ZINE)、
tabistorybooks『本と旅する』もお店と通販で取り扱い中。

旅と思索社様のWebマガジン「tabistory」では2種類の連載をしています。
酒場話「心はだか、ぴったんこ」(現在21話)と
大事な場所の話「Home」(現在、番外編を入れて4話)。

noteは「ほぼ1日1エッセイ」、6つのマガジンにわけてまとめています。

旅芝居・大衆演劇関係では各種ライティング業をずっとやってきました。
文、キャッチコピー、映像などの企画・構成、各種文、台本、
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