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宇宙兄弟(著:小山宙哉)【初のマンガ感想で何を言いましたか?「ヒャッハー!」違うだろ。イェーイだろ!そこは原典守れよ】

ロシアが戦争を始めてしまったせいで目算が狂ってしまい、
パラレルワールド化した宇宙兄弟シリーズですが、
この物語の面白い部分は、
主人公が月へ行って冒険する現時点でのシーンではなく、
もっとずっと初期。

そう、宇宙飛行士を目指して、
選抜されるための試験を受けたりしているあたり。
ここらへんが抜群に面白かった。

これは宇宙飛行士モノにとっては非常に良いことだ。

そも宇宙飛行士モノって、
まず宇宙に行くまでの話が異常に長い。

長くならざるを得ない。実際にそうだから。
そこを全カットすると説得力がなさすぎる。
でもそこの部分を丁寧に描きすぎると、話が進まない。

オネアミスの翼とか、
単品映画だしオリジナル世界観だし、
ざっくり削った。

ガガーリンの映画もだいぶ削った。
しょっぱなのところなんか、観客は観たくないのだ。ざっとでいいのだ。

トムハンクス映画も二時間越えの長編だが、
まあ全部は書けない。
書けるはずがない。
これでも良心的に縮めた方だ。

中には、いつまでたっても初動が始まらないやつもある。

ふたつのスピカ。
まあ、これはこれでいいだろう。
実は青春ものカテゴリだったという。

そして最悪なのは途中で持たずに打ち切り。
そういう例もあるだろう。

宇宙飛行士モノは難しい。

しかし、そのいちばん難しい部分を、
ギャグ含めて逆にいちばんおもしろくしている。
雰囲気としては、ビジネスものに良くある展開。

発想の逆転で、ピンチを切り開く主人公。
本来かっこよくあるべき部分では全然かっこ悪いのに、
なにやってるかわかんない場面で無駄にかっこいい。
ここがいい。

逆に最近、月に行って冒険している主人公は、
私的にはあんまりおもしろくなくて、
物語の頂点を過ぎたなという感じがする。

そう。だから初期の退屈な部分こそが、
いちばんおもしろいという宇宙兄弟は、
宇宙飛行士モノの作品としてはとてもエポックメイキングで、
実に優れている構成なんだ。

発想の転換。コロンブスの卵。
主人公の行動以前に、作品自体がそういう構成だった。

そういえば営業畑だった父から「モノを売るにはどうしたらいい?」なんて教えてもらえそうな時があったが、
私は「人々にニーズに沿った商品を売ること」と言ったらはずれだったらしい。
そのあと、答え合わせを聞けないままだった。
父はもういない。

今ならこう答える。
「まだ人々が想像すらできないニーズを強引に作り出して必要とさせる」

ケータイもネットも、車も電気も、
それが恩恵をもたらしている時代から見れば、
それが手元から失われることは考えられない不便さだが。

元よりそんなものが存在しなかった時代には、
無くてもまったく困らなかった。
無いのが当たり前なのだ。
ニーズすらなかった。
だから欲しいなんて誰も思わない。

宇宙開発の必要性を、人々に説明するとき、どう話をするか。
主人公はこう答えた。

説明なんてしない。
説明したってわかってもらえない。
ただ結果だけを見せつける。
月の表面を無邪気そうに駆けまわっている人間を見せれば、
説明はいらない」

たくさんのライバルを蹴落とさないと夢を叶えられない。
あなたの敵は誰なんですか?
そう問われてこう答える。

俺の敵は、だいたい俺です。
いつも小さくまとまって低い目標で満足しようとしてしまう、
本当はそうじゃないのに大きな目標を目指したいはずなのに、
縮こまって妥協してしまう。
俺の足を引っ張ってきたのは、
いつも俺でした」

ええと、だいぶ脚色入ってるんで、
正しいセリフは、本作内でご確認ください。
確かこんなようなセリフでした。

というわけで、宇宙兄弟は前半部分がおもしろい!
こういうクライマックスを、さりげない場面で唐突にブッこんでくる。

なので、いつも最後まで読めないでドロップアウトしちゃうんだよなー・・・という人でも大丈夫、むしろそういう人に向いてるかも。
にしてもアニメ版が99話もあったんだーー
原作しか読んでなかった。

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