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看護が嫌いになる前に

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はじめて看護師を目指した日の気持ちを忘れないように。 未来のあなたにむけて手紙を届けるような想いで。 看護のよさだけでなく、一人間として感じているつらさも含めて、赤裸々に綴るエッ…
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#看護

祖母と看護の心

祖母と看護の心

新人看護師の時に先輩から教えてもらった言葉で、今も心に残っている言葉はいくつもある。

その中で、最近思い起こした言葉が「患者さんは自分の家族のように関わる」という言葉だった。

当時、その言葉を受け取ったわたしは、家族と同等程度に丁寧に関わるという意味で受け取っていた。

今わたしは、実の祖母の看護を通して、まさにそれの大切さを体感している。

職場で家族を看護するとは、なんとも言えない気持ちで

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使命感だけじゃ、やっていけない。

使命感だけじゃ、やっていけない。

使命感だけじゃ、やっていけない。
最近の医療業界で、よく聞くことば。

人を支援する仕事をしていると、
相手ファーストになりやすく
自分を満たすことがないがしろになる
傾向があると感じてる。

だけど、自分を満たすことは実は
最優先事項なんじゃないかな。

自分が心底疲れてるのに、自分の心に嘘をついて相手のために力を使うのって、それこそ自己犠牲なんじゃないかな。

最近のわたしは、そう思う。

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訴えに耳を傾ける

「おトイレ行きますか?」

食堂で手をあげる姿に対しての、なにげない一言だった。

ただ、目の前の車椅子に乗った80代女性から返ってきた言葉は、予想していなかったものだった。

「いつもトイレじゃないよ」

そう言って、わたしの腕をつかんだ。そして、あろうことかふにふにと気持ちよさそうに触ってきた。

どこか寂しそうな、愛らしいような相手の表情を見て、もしかしたらと思って訊いてみた。

「お話した

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気がつけば、看護師になっていた。

気がつけば、看護師になっていた。

気がつけばもう看護師4年目。

教えてもらうばかりのひよっこだったわたしが、いつの間にか病棟の運営に携わったり、後輩を指導する側になったりと、随分と仕事を任されるようになってきた。

「気がつけば看護師4年目」になれたのも、ここまで運んできてくれた周りの先輩や院内外で支えてくれた多彩な友達がいたから。

いつの間にか「看護師らしくなったね」と看護師の叔母にも言われるようになった。

看護師一年目の

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看護師一年目の夏の終わり

夜勤で早朝に挨拶に行った時、患者さんに言われたんだ。
「ああ、今日も目が覚めた。よかった。」って。
ガンを長く患っていると毎日が闘いで、明日目が覚めるかもわからない。
たくさん治療をしてきたけれど、これがなければもう死んでたね。

その言葉を聞いて、ふと涙が滲んできそうになったから、さりげなく一言置いて病室を出て、人の居ないところで一人で泣いた。

命と向き合う職業は、命の大切さや儚さ、強さに気づ

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涙あり笑いありの誕生日 AM9:00

涙あり笑いありの誕生日 AM9:00

※看護のこと書いたら、めっちゃ長なりました🙇‍♀️

2020/6/27 9:00 ピンポーンとインターホンが鳴った。
「ん…」前日はしご飲みをしていたことを、体の重さが思い出させてくれる。
「宅配便でーす」インターホンの受話器を置き、眠い目をこすりながら扉を開ける。
(注文してた商品が届いたのかな…!)部屋に入ってから包みを開けようとすると、思っていた宛名と違う。

午前中指定、と書かれた荷物

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看護でつながる深く大切な仲間

看護学生時代に学外の活動で出逢い、意気投合して看護コミュニティを創ってから
ことしで6年の付き合いになるみなこから

もえこは興味あることはやってると思うよ
好きなことをいろいろすることが
もえこにとって幸せなんじゃないかなあ。

仕事はひとつ、これだとおもうことを続けておいて
趣味やそれ以外で、いろいろやったらいいんじゃないかなあ。

というような言葉をもらって。

「看護」とい

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【夜眠れない患者さんに、寄り添う】

わたしの名札が手に取られ、ふわりと宙に浮かぶ。

「おぼえられへん」

微かな声でそうささやきながらも
わたしの名前をフルネームで何度もくり返す。

かすれる声で、わすれまいと
一音一音発声しようとするAさん。

夜眠れなくて、ナースコールを30分おきにおす。
その行為だけをみると、忙しい業務の中でなら
苛立ってしまうこともあるかもしれない。

ただわたしは、そういう時こそ蔑ろ

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