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いしか
2024年6月2日 13:31
「心配いらない。投げられてるんだから大丈夫さ!」「……………」俺の同級生であり、野球部のマネージャーをしている雨粒 光留(あまつぶ みつる)彼の口ぐせは『投げられるんだから大丈夫』だ。何かにつけその言葉を言う。一投げられるんだから大丈夫一俺を含めた部員の殆どは、何故、光留がそんな風に言うのか知らなかったが、それが光留流の励ましであると自然と認識し、それ以上誰も踏み込もうとしなか
2024年5月26日 18:30
「まさ〜、今、達樹(たつき)の機嫌っていい方?悪い方?」まただ。「あっ?………………良いんじゃね?」「そっか!ありがと!」「〜〜〜っ!!!俺を介して達樹の事を聞くなーーーー!!」何でこうなんだ。「まあまあ、そんな怒らないで。これでいちいち目くじら立ててたら疲れるよ?」「疲れたとしてもっ、俺には死活問題なんだよっ!何で皆して達樹の事を俺に聞いてくんだよ!?!本人に聞けば
2024年5月21日 16:14
僕がしている仕事は、少し…嫌、だいぶ変わっている。一年中割と忙しい仕事ではあるが、1番忙しくなるのが夏だ。毎年夏になると、社員は皆大きい鞄を持参し、鞄いっぱいに試験管と危険ではない特殊な液体を詰める。そしてパソコンやスマホを取り出し、各々が担当する事になっている会場へと出発していく。今回の僕の担当は、野球場。甲子園をかけた戦いが行われている場所だ。「毎年のことながら、何だか複雑
2024年4月14日 20:49
今から大雨が降ってくれないだろうか。今から大雨が降れば、試合は一旦中止か、中止になって、やり直しになる。やり直しになるって言っても、試合は継続されているから、スコアは今日の今のままのスコアで、試合が再開される訳だけれど……。それでも、雨を願わずにはいられなかった。………けれど結局、祈りの雨は届かなくて、空はピーカン…。ピンチだ。非常にピンチだ。ノーアウト、ランナー1、3
2024年4月5日 13:11
変わる時は、一瞬だ。今までこちらに吹いていた向かい風が、ある一つのプレーによって追い風に変わったり、今まで吹いていた追い風が、相手の好プレーで一気に向かい風に変わったり…。流れ、という目に見えないものでありながら、確かに存在し、その後の勝敗を左右する…。俺達は、そんな流れを掴もうともがき、流れを流さないように抗う。肌で感じる流れだから、囚われ、従順になる。⚾⚾⚾「流れ変わっ
2024年3月29日 16:57
始まりは、君だった。⚾⚾⚾「灰崎(はいざき)〜!ランニング終わったか〜?」野球部キャプテンの大貴(だいき)が尋ねる。「うん。終わった〜」「俺、監督に呼ばれてるからさ、先に少し休憩して、その後バッティング練習に混ぜてもらってて〜!!」「わかった」俺は灰崎拓海(はいざき たくみ)この高校の野球部で、投手をしている。元々は野球部がなかったからこの高校を選んだものの、入学した
2024年3月24日 16:19
『手のひらの恋』というほど大袈裟なものではないけれど、俺はバッテリーを組んでいる灰崎(はいざき)の手に始めて触れた時の事を、今でもたまに思い出す。◈◈◈「大ー!灰崎がマウンドで待ってんぞー!」「はーいっ!すぐ行く!」俺は大崎大貴(おおさき だいき)高校の部活では、野球部に所属している。ここの野球部は俺達の代から復部された野球で今は2年目。ポジションはキャッチャーで一年生の頃から主