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法人税シリーズ

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法人税シリーズ〜家族同伴海外渡航費は非課税!?〜

法人税シリーズ〜家族同伴海外渡航費は非課税!?〜

 今日は、従業員及びその家族の海外渡航費が給与課税されるか否かが争われた裁決事例をご紹介したいと思います。
 仕事の都合で海外出張する際の通常の旅費が全額給与課税されないということは常識的に考えてもお分かりのとおりですが、今回の事例は逆パターンです。
 
 すなわち、仕事の都合で家族同伴で日本に来ていた従業員が、休暇帰国をする際に会社から家族分も含めて航空券が支給されたというパターンです。

審判

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法人税シリーズ〜役員報酬の適性額③〜

法人税シリーズ〜役員報酬の適性額③〜

 今回は前回同様常勤役員に対する役員報酬の適性額が争われた事例をご紹介したいと思います

東京地裁令和2年1月30日 判決
1.事案の概要
  マレーシアに対する自動車の輸出販売を主たる業とする株式会社Xが、代表者
 Aに対して以下のとおり支給した役員報酬に不相当に高額な部分の金額が含まれ
 るとして税務署が更正したことに対して争われた事案。
     会社売上  会社営業利益  A役員報酬額  

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法人税シリーズ〜万博の入場券は販売促進費!?〜

法人税シリーズ〜万博の入場券は販売促進費!?〜

 今日は非常にピンポイントな話ですが、来年開催される大阪万博に絡む税務処理についてご紹介したいと思います。

 まず、国税庁のHPに掲載された質疑応答事例の概略をご覧ください。

2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)」に係る費用の税務上の取扱いについて1.万博出店・出展に係る建設・展示に要した費用
  万博開催期間(184日間)で期間按分で損金(費用)
2.建造物等の撤去費用
  撤去の日の

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法人税シリーズ〜役員報酬の適性額②〜

法人税シリーズ〜役員報酬の適性額②〜

前回は非常勤役員に対する報酬額について争われた事案をご紹介しましたが、今回は、常勤役員に対する役員報酬の適性額について争われた事例を取り上げてみます。

大分地裁平成20年12月1日 判決1.事案の概要
 コンクリート製品製造業等を営む同族会社Xの代表者Aへ支給した役員報酬の一部が不相当に高額であるとして更正処分された事案。
          H12.3期  H13.3期   H14.3期   

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法人税シリーズ〜自宅を社宅にして節税〜

法人税シリーズ〜自宅を社宅にして節税〜

 今日は法人を設立する利点の一つとしてよく挙げられる「社宅を利用した節税」をご紹介したいと思います。
 ネットや書籍でも溢れている内容なので今更感があるかと思いますが、せっかく法人を設立しているのにこの方法を利用していない事業者が非常に多く見受けられます。 
 これは、税務調査を行っていた時から思っていたことで、税理士業界にやってきてその理由がなんとなく分かってきましたが、今回はその点は割愛させて

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法人税シリーズ〜社員旅行は給与課税?②〜

法人税シリーズ〜社員旅行は給与課税?②〜

 今回も、前回ご紹介した社員旅行費用が給与課税されるか否かについて争われた類似の裁決事例をご紹介したいと思います。

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法人税シリーズ〜社員旅行は給与課税?①〜

法人税シリーズ〜社員旅行は給与課税?①〜

 今回は、判断基準が非常に曖昧で実務判断に困る福利厚生費と給与課税の区分けの論点の中の「社員旅行」部分の裁判例を取り上げていきたいと思います。
 
 その前にまず、福利厚生費と給与課税の関係について簡単に確認してみます。

給与とは?  まず給与所得の意義としては、「雇用契約又はこれに類する原因に基づき提供された非独立的ないし従属的な勤労の対価としての給付に係る所得」をいうのですが、今回この点を充

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法人税シリーズ〜修繕費と資本的支出②〜

法人税シリーズ〜修繕費と資本的支出②〜

 今日は前回から引き続き、建物に対する防水工事と外壁塗装が修繕費となるか、資本的支出となるかが争われた裁決事例をご紹介したいと思います。

 ちなみに、今回の事例は所得税法の事例ですが、考え方は基本的に同じなため法人税シリーズの続きとさせていただきます^ ^

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法人税シリーズ〜修繕費と資本的支出①

法人税シリーズ〜修繕費と資本的支出①

 賃貸マンションの外壁塗装や屋根の補修工事、車のタイヤ交換、自社ホームページの更新等、既存の資産に対する新たな支出をした場合にその支出が「修繕費」に当たるか「資本的支出(=資産計上)」に当たるかという点は、経理に携わっている方が日々直面する悩ましい事柄の一つかと思います。

 そして、この点については、相談を受ける税理士としても悩ましいことには変わりありません笑

 今回は、この論点についての裁決

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法人税シリーズ〜会社が全額負担した忘年会費用は福利厚生費!?①

法人税シリーズ〜会社が全額負担した忘年会費用は福利厚生費!?①

 今日から法人税シリーズも始めます^ ^
 記念すべき最初のお題は、福利厚生費と社内交際費の区別に関する論点です。この点は実務上非常に区別が曖昧になっていることが多く、私も先日新たに顧問を受け持つこととなった顧客の帳簿を見たところ、社内での飲み会が全て福利厚生費にあがっているのを目の当たりに、改めて実感したところです。

社内飲食は原則交際費等 会社の従業員のみで行う飲み会費用を会社が負担した場合

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法人税シリーズ〜会社が全額負担した忘年会費用は福利厚生費!?②

法人税シリーズ〜会社が全額負担した忘年会費用は福利厚生費!?②

 今日は前回取り上げた社内交際費と福利厚生費の判断基準の続きです。

 前回は、会社が全額負担した社内での従業員同士の飲み会費用が福利厚生費と認められた裁判例を基に福利厚生費該当性の要素を確認してみましたが、今回は逆に社内交際費と認められてしまった裁判例からその要素を確認してみたいと思います。
<iframe class="note-embed" src="https://note.com/emb

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法人税シリーズ〜少額減価償却資産の損金算入で注意すべき4つのポイント!①

法人税シリーズ〜少額減価償却資産の損金算入で注意すべき4つのポイント!①

 今日は、「法人が出来る手っ取り早い節税方法はなんでしょう??」という問いに対する答えの一つとして多くの税理士が挙げる「少額減価償却資産の損金算入」についての注意点をご紹介したいと思います。

少額減価償却資産の損金算入の概要 本特例は、従業員500人以下の中小企業者(原則資本金の額が1億円以下の法人)が1個当たり30万円未満の減価償却資産を取得した場合にその全額を取得した事業年度の費用(損金が正

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