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法人税シリーズ

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地方税法〜償却資産申告〜無駄に払ってませんか??

  今日は、地方税法の中の固定資産税の中の償却資産申告についてご紹介します^ ^

 償却資産とは、ざっくりいうと土地建物以外の事業用資産といったところで、毎年1月1日現在にこれを所有していると、概ねその取得価額の1.4%の固定資産税が課税されます。

固定資産税なのですが、土地建物とは別個の償却資産申告という取り扱いをしているため、以下これを償却資産税と便宜的に呼んでいきます。
 この償却資産税

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会社を複数持つ節税が有効な2パターン

会社を複数持つ節税が有効な2パターン

 会社の経営をされている方なら一度は考えたことがあるかもしれませんが、今日は既存の事業を複数の会社で行うことによる節税についてご紹介したいと思います。

 そもそも何故会社を複数持つと節税になるのでしょうか??

会社を複数持つことで節税になる理由
①法人税軽減税率の適用可能額が広がる
⇨法人税の税率は原則23.2%ですが、中小企業は所得が800万円以下の部分については15%の軽減税率が適用される

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交際費となる飲食の相手方の範囲は?〜R5年の裁判例より〜

交際費となる飲食の相手方の範囲は?〜R5年の裁判例より〜

 法人税申告において交際費等とカウントされない少額飲食費の限度額が令和6年4月1日以後支出分からはこれまでの5,000円から10,000円と倍増したため、より支出の機会が増えた事業者の方も多いのではないかと思いますので、今回はこの交際費等の要件中、「支出の相手方の範囲」について争われた最近の裁判例をご紹介したいと思います。

 飲食費が交際費等と認められるその接待飲食相手の範囲としては、租税特別措

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身内へ不動産管理料を支払う際の3つの注意点

身内へ不動産管理料を支払う際の3つの注意点

 今日は個人所有の賃貸用不動産の管理料を親族個人や親族主宰法人へ支払う場合の留意点をご紹介します。

 この論点は昔から国税当局と納税者の間で数多く争われてきたところで、お客様からも「自分の会社に支払う不動産管理料は賃料の何%にしておけば良いでしょうか?」なんて相談を受けることもしばしばあります。

 この問いに対して「10%なら大丈夫!」というような明確な答えはありません。なぜなら、①日々どのよ

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従業員の奨学金返済支援をして会社も従業員もHAPPYに!

従業員の奨学金返済支援をして会社も従業員もHAPPYに!

 給料とは別に自社の従業員が負っている奨学金の返済を支援する制度を設けている会社があることをご存知でしょうか?

 これまでは会社が従業員に対して直接奨学金返済分として対象者に対して給与と合わせて支給する方法しかなかったものの、令和3年4月から日本学生支援機構に対して会社が直接従業員の奨学金を返済できる制度ができたことをうけ、年々この制度を利用して従業員の確保に努める会社が増えてきています。

 

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創立記念パーティー費用は福利厚生費?交際費?②

創立記念パーティー費用は福利厚生費?交際費?②

 今日は前回に引き続き、創立記念パーティーの費用について争われた裁判例をご紹介したいと思います。

 前回は、そもそも社外の専属とは言えない取引先も交えてのパーティーであったため、「社員と社外の人間に対するおもてなしの費用」とみられ交際費と認定され、福利厚生費だったとしても「一人当たり単価が1.2万円程で福利厚生費というには高い」と裁判所が判断した事案でした。
 今回は純粋に従業員と専属取引先だけ

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創立記念パーティー費用は福利厚生費?交際費?①

創立記念パーティー費用は福利厚生費?交際費?①

 今日は会社の創立記念パーティーに係る費用が福利厚生費となるか交際費となるかについて争われた事案を取り上げたいと思います。
 ちなみに先に結論を言うと、今回の費用は交際費等に当たるとして会社が国税に負けているのですが、その理由がそもそも今回の創立記念パーティーには社外の下請業者が含まれていたため、この時点で福利厚生費該当性が否定されてしまっているのですが、裁判所は福利厚生費と認められる場合であった

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法人税シリーズ〜家族同伴海外渡航費は非課税!?〜

法人税シリーズ〜家族同伴海外渡航費は非課税!?〜

 今日は、従業員及びその家族の海外渡航費が給与課税されるか否かが争われた裁決事例をご紹介したいと思います。
 仕事の都合で海外出張する際の通常の旅費が全額給与課税されないということは常識的に考えてもお分かりのとおりですが、今回の事例は逆パターンです。
 
 すなわち、仕事の都合で家族同伴で日本に来ていた従業員が、休暇帰国をする際に会社から家族分も含めて航空券が支給されたというパターンです。

審判

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法人税シリーズ〜役員報酬の適性額③〜

法人税シリーズ〜役員報酬の適性額③〜

 今回は前回同様常勤役員に対する役員報酬の適性額が争われた事例をご紹介したいと思います

東京地裁令和2年1月30日 判決
1.事案の概要
  マレーシアに対する自動車の輸出販売を主たる業とする株式会社Xが、代表者
 Aに対して以下のとおり支給した役員報酬に不相当に高額な部分の金額が含まれ
 るとして税務署が更正したことに対して争われた事案。
     会社売上  会社営業利益  A役員報酬額  

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法人税シリーズ〜万博の入場券は販売促進費!?〜

法人税シリーズ〜万博の入場券は販売促進費!?〜

 今日は非常にピンポイントな話ですが、来年開催される大阪万博に絡む税務処理についてご紹介したいと思います。

 まず、国税庁のHPに掲載された質疑応答事例の概略をご覧ください。

2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)」に係る費用の税務上の取扱いについて1.万博出店・出展に係る建設・展示に要した費用
  万博開催期間(184日間)で期間按分で損金(費用)
2.建造物等の撤去費用
  撤去の日の

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法人税シリーズ〜役員報酬の適性額②〜

法人税シリーズ〜役員報酬の適性額②〜

前回は非常勤役員に対する報酬額について争われた事案をご紹介しましたが、今回は、常勤役員に対する役員報酬の適性額について争われた事例を取り上げてみます。

大分地裁平成20年12月1日 判決1.事案の概要
 コンクリート製品製造業等を営む同族会社Xの代表者Aへ支給した役員報酬の一部が不相当に高額であるとして更正処分された事案。
          H12.3期  H13.3期   H14.3期   

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法人税シリーズ〜自宅を社宅にして節税〜

法人税シリーズ〜自宅を社宅にして節税〜

 今日は法人を設立する利点の一つとしてよく挙げられる「社宅を利用した節税」をご紹介したいと思います。
 ネットや書籍でも溢れている内容なので今更感があるかと思いますが、せっかく法人を設立しているのにこの方法を利用していない事業者が非常に多く見受けられます。 
 これは、税務調査を行っていた時から思っていたことで、税理士業界にやってきてその理由がなんとなく分かってきましたが、今回はその点は割愛させて

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法人税シリーズ〜社員旅行は給与課税?②〜

法人税シリーズ〜社員旅行は給与課税?②〜

 今回も、前回ご紹介した社員旅行費用が給与課税されるか否かについて争われた類似の裁決事例をご紹介したいと思います。

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法人税シリーズ〜社員旅行は給与課税?①〜

法人税シリーズ〜社員旅行は給与課税?①〜

 今回は、判断基準が非常に曖昧で実務判断に困る福利厚生費と給与課税の区分けの論点の中の「社員旅行」部分の裁判例を取り上げていきたいと思います。
 
 その前にまず、福利厚生費と給与課税の関係について簡単に確認してみます。

給与とは?  まず給与所得の意義としては、「雇用契約又はこれに類する原因に基づき提供された非独立的ないし従属的な勤労の対価としての給付に係る所得」をいうのですが、今回この点を充

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