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法人税シリーズ〜万博の入場券は販売促進費!?〜

 今日は非常にピンポイントな話ですが、来年開催される大阪万博に絡む税務処理についてご紹介したいと思います。

 まず、国税庁のHPに掲載された質疑応答事例の概略をご覧ください。


2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)」に係る費用の税務上の取扱いについて

1.万博出店・出展に係る建設・展示に要した費用
  万博開催期間(184日間)で期間按分で損金(費用)
2.建造物等の撤去費用
  撤去の日の属する事業年度の損金(費用)
3.協賛金や協賛としての物品の提供
  万博開催期間(184日間)で期間按分で損金(費用)
4.万博の入場券購入費用
  法人が販売促進等の目的で当該入場券のみを取引先等に交付する場合の当該入
  場券の購入費用は、交際費等に該当せず、販売促進費等として処理する。

5.企業が福利厚生目的で購入する入場券の費用
  企業等が従業員の慰安会、レクリェーション等として博覧会を見学させる場合
  の当該入場券の購入費用及びその見学のために通常要する交通費、宿泊費等に
  ついては、福利厚生費に該当する。なお、従業員の家族を含めて実施した場合
  も同様とする。


 まず、1〜3については、「184日間しか万博の開催期間がない中で、その万博のためにのみ支出した固定資産の取得費や各種費用はその期間内で按分して費用化する」という通常の法人税法の考え方そのままです。

 今回取り上げたいのは4で記した万博の入場券購入費用の取り扱いです。

取引先等への万博入場券の交付は販売促進費

 
 通常、販売促進費というと、自社製品のサンプルの配布だったりキャンペーンの実施等に係る費用の他、一定の基準に基づいた金銭の交付、売掛金の免除、相手方が事業用に使う固定資産や棚卸資産の交付、等が挙げられます。

 つまり、販売促進費は、特定の相手方に対して具体的な商品の販売を促すためにその商品サンプルの交付をしたり、キャンペーンで良さを知ってもらったりする他、その商品等から離れた性質のものであっても古くからの商慣習で認められている金銭での割引等がこれに当たるものと考えられ、基本的に商品や事業用資産の交付以外は販売促進目的であってもこれを交付することは「相手方の歓心を買うための支出」であり、交際費等と考えられます

 そこで、今回の”万博のチケットの交付”について考えてみると商品や棚卸資産、事業用資産に当てはまるとは言い難く、むしろ野球や遊園地のチケットと同じ部類のものと言え、本来これらを販売促進目的で取引先に対して交付した場合は交際費等と考えられるものです。

 にもかかわらず、国税庁は万博チケットを販売促進目的で交付した場合は”販売促進費で良い”と文書解答でわざわざ明示しているのは、やはり国にとっての一大イベントを盛り上げるため、なんとかチケットを売り切るため、に税分野の解釈を広げるという対応をしているのでしょう笑

 まあ、納税者有利の取り扱いであるため批判すべきことではないのですが、「通常の販売促進目的で野球や観劇のチケットを交付した場合は「交際費」とされていることとのバランスが悪いな〜」「しかも国都合だもんな〜」という点に引っ掛かり題材にしてみました笑

 とはいえ、せっかくこのような取り扱いがされるのですから、販売促進の手段の一つとして取り入れてみるのも面白いのではないでしょうか?


最後まで読んでいただきありがとうございました^ ^


 


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