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一陽来復の娘 14


↑の続きとなります。


建物の灯りが全て消された暗闇の中、

東の空に昇ってきた月の明りに、

私達も、お宮の建物も、
皆、ふんわりと照らされて、

どこか、夢の中のような雰囲気です。


(不思議な世界に迷い込んだみたい…(⁠*⁠´⁠ω⁠`⁠*⁠)✨


そんな中、朗々と、祝詞を詠み上げる声が響きます。

「…かけまくも かしこき……」


祝詞以外には、咳ばらいひとつ聞こえない、
しん、とした空間に、

ただ、月の光がおちていて、

そこには、

清浄な気が、満ちています。


(なんて清らかなんだろう…)


そのあまりの心地よさに、私は、思考を放棄して、
自分を委ねると…

周り一帯の清々しい「気」と、まるでひとつになったかのような…

「心地よい」とすらも思わず、

「自分」というものを、綺麗に「忘れ」たかのような、そんな感覚に襲われました。


「……まをぉ---すうぅ------」

祝詞が終わりました。

次は、神職の方々が、
お浄めをして廻られます。

こつ、こつ、こつ…

沓の音を、奥ゆかしく鳴らされながら、

しゃっ、しゃっ、しゃっ…

決められた手順で、

こん、こん、

何百年以上も重ねられた「決まりごと」を行い、

ぱしゃっ…ぱしゃっ…

浄めの「形」が作られて行きます。



それらの「恩恵」を余すことなく「受け」、
怖い位に「静か」になった
自分の「内側」を感じながら、私は、

(お浄めの為に、導いて頂いた…)

と、改めて思いました。

そして、そのお浄めは、

(今、「この時」で、「ここ」でなければ、
ならなかったんだ…)

とも、「感じ」ました。


そうとでも思わなければ、あまりにもスムーズで、
きれいに「整い」すぎています。


(だから、祖母や友人を「使って」…でも、
「誰」なんだろう?(^.^;)

と、思った、その時です。

「ああーん!」

少し離れた参列者の方の中から、お子さんの泣き声が聞こえてきました。

こちらの祭事は真っ暗にして行う為、怖くなってしまったのかもしれません。


厳粛な神事中という事で、さすがにざわつき等はありませんでしたが、皆さん、息をのんで、全身で様子をうかがっていて、

(仕方ないけど、早く、何とかしてあげて…)

と、思っているのが、強く「伝わって」来ます。


ですが、

「…あーん、あーん、ママぁ、嫌だよぉ…帰りたいよお…」

と怖がって泣き続けているのに、連れて出る
様子がありません(;´Д`)


しばらくすると、流石に、少しずつ、周りがざわつきはじめました。


それと同時に、神事に合わせて、せっかく静かに、
鎮まっていた、参列者の皆さんの「お心」が、

どんどん、どんどん…

ちりちり、ちりちりと、

大きく、大きく、ざわめきはじめました。


(親は何をやっているんだ、可哀想に!)
(厳粛な神事を何だと思ってるんだ!)
(せっかくの思い出をめちゃくちゃにされた!誰よ!)
(どれだけみんなで頑張ってきたと思ってるんだよ!)
(一年に一度の事なのに…)
(台無しにしやがって!)


((((( ふざけるなぁぁ!!! )))))


「大切なもの」を踏みにじられた、「怒り」の「念」が、

浄められた周り一帯に、やむを得ない事とはいえ、
巻き散らかされてしまいます。


(ああ…神事が…神域が、「穢され」てしまう…)

私は、胸がきゅっと苦しくなりました。


ですが。

(…あれ?)

「浄め」の「御力」に、揺らぎがありません。

揺らがないどころか、

どんどん、どんどん…

皆さんが発する、「怒りの念」が、ものすごいスピードで「消され」て行きます(・・;)


(…え、こ、こんなことってあるの…?(゚д゚)


これは実は、この時の、あまりの「浄めの御力」の大きさ、すごさに、私には、あたかも「消えた」かのように感じられた、という事が後になってわかりました(^.^;



「尊い御方」の、大きな、大きな「気」‥

それは、それだけの、大きな…

私達を大切におもっていてくださる御心でしょうか。



(すご…爽快すぎる…✨
本当に、来てよかったなぁ…(⁠*⁠´⁠ω⁠`⁠*⁠)✨

私が感動✨していると、

「…楽になったようで、良かったな…」

と、笑っているような、嬉しそうな、

優しい「声」が、

「上」から聞こえて来た気がしました。


続きますm(_ _)m💦↓

後数話で終わります。長くなって本当に申し訳ございませんm(_ _)m



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