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女子高生の私マガジン

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女子高生だった時の思い出を書いています
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#エッセイ

女子高生の私が先生と契約を交わした話

女子高生の私が先生と契約を交わした話

期末テストの勉強期間に差し掛かろうと言う時期。私はいつもの通り数学という学問に絶望していた。

「ホールケーキとハーゲンダッツが貰えるなら私だって頑張るのに!」

齢16になったというのに小学生のような文句としょうもない駄々を延々とこねくり回す私。冗談半分、本音半分の発言だったが、それを聞いていた数IIの先生がポロっと呟いた。

「エムコが本気なら考えてやらんこともないぞ。」

「本当ですか?!」

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女子高生の私の最も無駄で価値のある200円の使い方

女子高生の私の最も無駄で価値のある200円の使い方

今や誰もが高性能なスマホを持ち、高画質な写真や動画を思いのままに加工して楽しんでいるが、私の学生時代は携帯といえばガラケーだった。

カメラの機能はついているものの今のスマホと比べたら画質はバッスバス。更にインカメ(自撮りに適した内側のカメラ)はここぞという時に不調で起動すらしない事も珍しくなく、我々はガラケーの奔放っぷりに翻弄されたものである。
キラキラのスタンプをどれだけ押しても足りない煌めき

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女子高生の私が友達とケンカした話

女子高生の私が友達とケンカした話

心身共に子どもから大人へと変化するガラスのように繊細な思春期。喜怒哀楽の全てが嵐のように激しいその時、私は友人とケンカをした。今回は自戒の意味も込めてその時の話を書こうと思う。

高校では愉快な友達がたくさんできた。
中でもよいこという名のその友人はエンタメの起爆剤のような奴で、人の喜ぶ顔を見るのが大好きな子だった。勉強面のやる気はないものの非常に地頭の賢い子で、彼女の持つ文章力や発想の豊かさは筆

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数学の先生と甘えん棒の話

数学の先生と甘えん棒の話

もういい加減語るのも飽きてきたが私は数学が苦手だ。

小学生になってから6年間も私を苦しめてきた算数が、中学になると更に理解を超える「数学」という学問になり私に立ちはだかった。xだのyだのアルファベットが出現してくるわマイナスという概念が加わるわで数字の持つ限界値はまさに無限になった。今まで野生の勘に頼って数々の死線をくぐり抜いてきた私だが、答えを導き出すのがいよいよ困難になりテストの度に知恵熱を

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女子高生の私と最後の展覧会

私の所属していた芸術コースは3年生の冬に卒業展覧会、通称「卒展」を行っていた。

市の運営する美術館の小さなホールを貸し切り、3年間の集大成となった作品の数々を一般のお客さんにも見ていただける事からかなり力が入っていた。
卒展はほとんど生徒の手によって創り上げられていく。パンフレットやDM、ポスターのデザインはデザイン部が担当し、私は看板の製作とポスターやDMを地域のお店に持ち込んで掲示してもらえ

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女子高生の私に我が子が教えてくれたこと

女子高生の私に我が子が教えてくれたこと

人生は何が起こるか分からない。

私の合格した芸術コースは美術部への入部が絶対条件の一つだった。
ひとえに美術部といっても活動は絵を描くだけにとどまらない。部活は絵画部、デザイン部、立体部、工芸部の4部門もあり、自分の興味のある分野を自由に選択することができたのだ。
私は美大に進学するつもりがなかったのでここでしか出来ない事をやろうと思った。油絵やアクリル画は家でも描けるし、彫刻も小さい物なら出来

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女子中学生の私が女子高生になるまでの話

女子中学生の私が女子高生になるまでの話

進路を決めたのは急だった。

それまで偏差値50くらいの近所の公立高校を目指しやる気のない受験勉強に取り組む日々だったが、それさえも今の私の学力では合格は無謀だと告げられ完全に白旗を上げた。
そうか私は高校に行けないのか。中学3年生にして現実の厳しさを思い知る。

そんな中行われた担任との進路相談で私の運命が変わった。

「エムコさん、絵をかくことが好きなら芸術を学べる学校に行ってみたらどう?」

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女子高生の私が苦虫を噛み潰した話

女子高生の私が苦虫を噛み潰した話

人様に自慢できることなんてほとんど持ち合わせていないが、好き嫌いが極めて少ないことだけは我ながら良いところだと思っている。

そんな私が絶対に口にできない唯一のもの、それは牛乳だ。チーズやヨーグルトなどの加工物、またいちご牛乳やカフェオレなど別の味が加わった物は大好物だが、どうしても生乳だけは飲めない。
私の牛乳嫌いには色々と深い理由があるのだが、話が長くなるのでまた別の機会に記そう。

とにかく

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女子高生の私がクラスメイトを救った話

女子高生の私がクラスメイトを救った話

私の高校は校則がやけに厳しく、息苦しい日々を送っていた。

あれも禁止これも禁止。禁止禁止禁止。
もし背こうものなら、お世辞にも「教師に見えますね」とは言えないような猛々しい佇まいの生活指導教諭にみっちりこってりしぼられるのだ。
我々は無駄な争いはしたくなかった為割と大人しく言うことを聞いていたが、どうしても破らねばならない校則があった。

それは携帯電話の持ち込みだった。

私たちは抜き打ちの荷

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女子高生の私がとあるジジイと戦った話

女子高生の私がとあるジジイと戦った話

私の高校の周辺は変なやつの目撃情報が絶えず、常に迷惑な賑わいを起こしていた。

中でも一番印象的だったのは、朝高校へ行く途中のバス停に高確率で出没する1人のジイさん。
外見は白髪で細身、ダルダルの皺の寄った皮膚に曲がった背中という百点満点なジイさんなのだが、こいつがかなり迷惑だった。

何故ならこのジイさんは登校する学生に向かって

「女は黙って英数国!女は黙って英数国!」

と叫び散らかすのだ。

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女子高生の私が大好きな家庭科の先生に裏切られた話

女子高生の私が大好きな家庭科の先生に裏切られた話

家庭科の授業ではいつも先生に驚かされる。

その日も私たちは週に一度の楽しみとして家庭科室へやってきた。体験的な授業を多くされる先生だったため、座学は久々だった。今日は何をするんだろうと期待に胸を膨らませながら筆記用具を手に席に着くと、先生は言った。

「今から小テストを始めます。」

先生のその一言は、これから始まる楽しい時間の終わりを宣言したも同然だった。
テストという単語は我々学生にとって、

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女子高生の私がモデルデビューした話

女子高生の私がモデルデビューした話

モデルになりたい。

人間誰しも一度はあの華やかな仕事に憧れを持つだろう。カメラマンの熱っぽい指示に爽やかに応え、カメラのレンズを独占する事ができたなら。
かく言う私も例外では無かった。

しかしながら胴長短足、顔はご飯ですよの三木のり平に瓜二つという三重苦を背負った私に縁遠い世界である事は齢15の若さでもハッキリと理解できていた為、この思いは公言する事なく胸にしまっていた。

紅葉が美しい秋。高

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女子高生の私がサギと戦った話

高校の授業というものは時として全く興味をそそられない分野の時間が訪れるものだ。

その日は保健体育の保健の方の授業だった。体育なら体を動かす分気が紛れるが、座学の保健というものはタバコや麻薬は体に悪いといった「そうですね」としか言いようのない内容を先生がやけに難しい単語を使いながら進めていくので、たまらなく退屈で毎週睡魔との戦いであった。

いっそのこと眠ってしまえれば楽なのにその保健の担当教諭が

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女子高生の私が撃たれた話

女子高生の私が撃たれた話

ツイてない日はことごとく不運が重なる。

その日は午前中の体育で馬車馬のごとく走らされ、腹の虫が大合唱していたので学食のメニューの中でも1番ボリュームがあるとされる日替わり定食を注文しようと決めていた。限定20食でご飯に味噌汁、メインのおかずにデザートまでついてくる、それはそれは食べ盛りの学生に嬉しいメニューだった。

学食は我が母校の誇りと言っても過言ではない。まずなんと言っても安い。そしてほと

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