水野友洋

「石場建ての家」を設計しています。 I design japanese traditi…

水野友洋

「石場建ての家」を設計しています。 I design japanese traditional architecture. 水野設計室 https://mizunosekkei.jp/

マガジン

  • 「石場建ての小屋」の作り方

    「木組み・土壁・石場建て」の小屋作り。 図面も添付しています。

  • 「石場建ての家」の作り方

    日本の伝統的な家「石場建て」のお話です。

記事一覧

石場建ての小屋作りワークショップ 最終目【土壁編】

いよいよ最終日4日目です。 作業は、壁と屋根。 壁は、竹小舞を編んで、土を塗る。 屋根は、野地板を敷いて、波トタンを張る。 竹小舞早速、昨日割って長さをそろえた割…

水野友洋
3か月前
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石場建ての小屋作りワークショップ 3日目【建前編】

前回の続きワークショップ3日目は、いよいよメインの建前です。 引き続き、遠藤さんのレクチャーを聞きながら、進めます。 まず午前中は、前回の刻みの残り仕事と、垂木の…

水野友洋
3か月前
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石場建ての小屋作りワークショップ 2日目【刻み編】

墨付け2回目のWSは、墨付け・手刻みと、土練りです。 図面 こちらが図面です。 皆さんが参加できる仕事の内容・材料の都合・建物の規模用途・木組みを知って頂く事など…

水野友洋
8か月前
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石場建ての小屋作りワークショップ 1日目【基礎編】

はじめに 岐阜県の美濃加茂市にて、小屋作りのワークショップをしました。 やまのはたへ さん主催で、山の片隅に一坪の小屋作り。 今回はトシ建築の遠藤さんと講師として…

水野友洋
8か月前
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06 自然を壊さず家を作りたい【土中環境】

はじめに 石場建ての家を建てられるようになり、やっと昔の人たちの背中が見えた気になっていた。 しかし、築100年を超える民家の前に立つと、同じ土俵に立っている気が全…

水野友洋
10か月前
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05 永く生き続ける家を作りたい【真壁】

はじめに 2016年、私の中で大きな出来事が2つあった。 1.熊本地震 2.気候風土適応住宅 この2つをきっかけに、私が建築の仕事を通して、社会や未来の為にできる事を…

水野友洋
2年前
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04 伝統工法の家を作りたい【石場建て】

はじめに 天然乾燥の木と、手刻みと、土壁の家作りをするようになって、竹小舞の美しい姿を眺めたり、土壁のしっとりとした空気感を感じるのが、仕事の楽しみの一つになっ…

水野友洋
2年前
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03 本当の自然素材で家を作りたい【土壁】

はじめに 本当の自然素材とは、木や土や草などのように、呼吸する素材。 偽物の自然素材とは、表面だけ自然の素材が樹脂で貼ってある、呼吸しない素材。 2013年頃、身の…

水野友洋
2年前
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02 無垢の木で家を作りたい【木組み】

無垢の木で作る家とは、木組みの家。 木組みの家とは、天然乾燥材を手刻みで作る家の事です。 2012年頃、ある事がきっかけで木組みの家の存在を知った。   天然乾燥材…

水野友洋
2年前
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01 自然素材で家を作りたい

最初は私の家作りの紹介ということで、私の家作りの変遷をお話していこうと思います。 7回シリーズの予定です、どうぞお付き合いお願いします! 設計を始めた2010年頃、…

水野友洋
2年前
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自己紹介

はじめまして、水野友洋(ミズノトモヒロ)と言います。 1979年岐阜県生まれ、自営業で設計事務所で営んでいます。 高校までは岐阜の田舎で暮らす。 「沈黙の春」に影響を…

水野友洋
2年前
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石場建ての小屋作りワークショップ 最終目【土壁編】

石場建ての小屋作りワークショップ 最終目【土壁編】

いよいよ最終日4日目です。
作業は、壁と屋根。

壁は、竹小舞を編んで、土を塗る。
屋根は、野地板を敷いて、波トタンを張る。

竹小舞早速、昨日割って長さをそろえた割竹を編んでいきます。
まずは、皆さんに助けて頂きながら(笑、私のレクチャーです。

年に3回は竹小舞を編んでいるのですが、1枚目を編むのは久しぶりで、少々戸惑いました・・・。

今回の紐は、藁縄です。
竹は現地調達ですが、藁縄は準備で

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石場建ての小屋作りワークショップ 3日目【建前編】

石場建ての小屋作りワークショップ 3日目【建前編】

前回の続きワークショップ3日目は、いよいよメインの建前です。
引き続き、遠藤さんのレクチャーを聞きながら、進めます。
まず午前中は、前回の刻みの残り仕事と、垂木の加工をしました。

材料運搬一通り刻み忘れやミスがないかの確認をしたら、材料運搬です。
現場には、車では行けませんので、みんなで山の上まで手運びです!

建前の前に、まずは地面を傷めないように大量の落ち葉で養生します。
次に、安全祈願のお

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石場建ての小屋作りワークショップ 2日目【刻み編】

石場建ての小屋作りワークショップ 2日目【刻み編】

墨付け2回目のWSは、墨付け・手刻みと、土練りです。

図面

こちらが図面です。
皆さんが参加できる仕事の内容・材料の都合・建物の規模用途・木組みを知って頂く事などを考えて、図面を描いてみました。

土台3本・梁桁4本・窓台2本・柱束8本、径17本。
とりあえず、一人一本墨付けをして、刻む事が目標です。

 

板図と間竿

まずは、遠藤さんが描いてきた板図を元に、流れを説明。

次は実際に、間

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石場建ての小屋作りワークショップ 1日目【基礎編】

石場建ての小屋作りワークショップ 1日目【基礎編】

はじめに
岐阜県の美濃加茂市にて、小屋作りのワークショップをしました。

やまのはたへ さん主催で、山の片隅に一坪の小屋作り。
今回はトシ建築の遠藤さんと講師として参加。
大工工事は遠藤さん、私は設計と土木と左官です。

こんな、素敵な山の中です。
車が入れる道が無く、手入れされた里山は美しい。

テーマ

今回の小屋作りの目標は、こんな感じです。
1.DIY好きのお父さん・お母さんが、小屋が作れ

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06 自然を壊さず家を作りたい【土中環境】

06 自然を壊さず家を作りたい【土中環境】

はじめに
石場建ての家を建てられるようになり、やっと昔の人たちの背中が見えた気になっていた。
しかし、築100年を超える民家の前に立つと、同じ土俵に立っている気が全くしなかった。
何が足りないのか分からず、モヤモヤと過ごしていたら、その時は突然やってきた。
ある1冊の本が教えてくれた。
私に足りなかったのは、「建築の石場建て」ではなく「土木の石場建て」だった。

「土中環境」

何がきっかけで買っ

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05 永く生き続ける家を作りたい【真壁】

05 永く生き続ける家を作りたい【真壁】

はじめに
2016年、私の中で大きな出来事が2つあった。

1.熊本地震
2.気候風土適応住宅

この2つをきっかけに、私が建築の仕事を通して、社会や未来の為にできる事を考えた。

建築するという行為は自然を壊して行われる。環境保護の観点からは、マイナスでしかない。
建築士である私に出来る事は、如何にそのマイナスを小さくできるか。
その為に出来る事は、建築に関わる全てのエネルギーを減らし、建築のゴ

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04 伝統工法の家を作りたい【石場建て】

04 伝統工法の家を作りたい【石場建て】

はじめに
天然乾燥の木と、手刻みと、土壁の家作りをするようになって、竹小舞の美しい姿を眺めたり、土壁のしっとりとした空気感を感じるのが、仕事の楽しみの一つになった。
竹小舞や土壁のワークショップも出来るようになり、家作りの楽しさが広がった。

土壁の家作りを始めて、本当に良かったと満足なんですが、出来ればとことんこだわりたい。
2014年頃から、石場建ての家を目指す事になった。

理由は二つ。筋交

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03 本当の自然素材で家を作りたい【土壁】

03 本当の自然素材で家を作りたい【土壁】

はじめに

本当の自然素材とは、木や土や草などのように、呼吸する素材。
偽物の自然素材とは、表面だけ自然の素材が樹脂で貼ってある、呼吸しない素材。

2013年頃、身の回りには、偽物の自然素材ばかりであることに気づいた。
本当の自然素材で家を作るには、下地まで自然素材である土壁が必要だと考えた。

1.呼吸する素材こそが自然素材

自然素材の家・無垢の木の家を設計を始めると、おかしいなと思う事が多

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02 無垢の木で家を作りたい【木組み】

02 無垢の木で家を作りたい【木組み】

無垢の木で作る家とは、木組みの家。
木組みの家とは、天然乾燥材を手刻みで作る家の事です。

2012年頃、ある事がきっかけで木組みの家の存在を知った。

 

天然乾燥材と手刻みとは?

自然素材の家を設計していた時に、地元の大工さんが建てている家にお邪魔する機会がありました。お施主さんの裏山の木を伐採して、天然乾燥させた木を、手刻みで作る家でした。

現場では、大工さんがノミやカンナで、トントン

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01 自然素材で家を作りたい

01 自然素材で家を作りたい

最初は私の家作りの紹介ということで、私の家作りの変遷をお話していこうと思います。
7回シリーズの予定です、どうぞお付き合いお願いします!

設計を始めた2010年頃、私が最初に取り組んだ家作りは「自然素材の家」でした。

 

流行りの「自然素材の家」

当時の私の自然素材の家作りは、床は木のフローリング、壁はプラスターボードに漆喰、天井も板または漆喰。
目に見える部分に自然素材を使う、白い大壁の

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自己紹介

自己紹介

はじめまして、水野友洋(ミズノトモヒロ)と言います。
1979年岐阜県生まれ、自営業で設計事務所で営んでいます。

高校までは岐阜の田舎で暮らす。
「沈黙の春」に影響を受けて環境問題に興味を持ち、京都の大学に進学し化学の道に進む。
大学卒業後は、環境破壊と資本主義の仕組みに興味を持ち、金融機関に就職し東京で暮らす。
2010年30歳の時に、3歳の長女の保育園を探した結果、自然の近くで子育てをしよう

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