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02 無垢の木で家を作りたい【木組み】

無垢の木で作る家とは、木組みの家。
木組みの家とは、天然乾燥材を手刻みで作る家の事です。


2012年頃、ある事がきっかけで木組みの家の存在を知った。

 

天然乾燥材と手刻みとは?

自然素材の家を設計していた時に、地元の大工さんが建てている家にお邪魔する機会がありました。お施主さんの裏山の木を伐採して、天然乾燥させた木を、手刻みで作る家でした。

現場では、大工さんがノミやカンナで、トントンカンカン仕事をしている。
今でも覚えていますが、家に入った時の木の香りが、衝撃的に気持ち良かった。

これが「無垢の木の香り」だと、すぐに理解できた。
誰でもすぐ理解できるぐらい空気が違います。

その違いは木の乾燥方法です。
機械乾燥か天然乾燥か。

レンジでチンのようにすぐ乾かす機械乾燥は、木の艶や香りがなく、木は死んでいる。
自然の陽や風でじっくり乾かす天然乾燥は、木の艶や香りがあり、木は生きている。

この生きている木を加工するには、職人が一本ごとに木の癖を見て適材適所に木配りし、手仕事で行う「手刻み」でしか加工できない。

 

柱材や梁材を天然乾燥している様子

一年以上、屋外に積んで天然乾燥させる。樹種によっては二年以上。


板材を天然乾燥している様子

板材は、天候・厚みによるが、半月以上は天然乾燥させる。

最近はこんな風景は、見かけなくなったと思います。
つまり、天然乾燥の木が使われることは、減ってきたからです。

なぜ、エネルギーも少なく、木の特性を生かした天然乾燥が減ったかというと、木が生きているがゆえに、反ったり割れたりするからです。

反ったり割れたりすると、クレームに繋がるかもしれないので、作り手は使いたくなくなる。
無垢の木を使いこなす為には、職人の技術が必要だが、技術のある職人が減っている。

だから今は、反ったり割れたりしない、合板や集成材や高温乾燥材などが増えてしまい、無垢の木を見たり触れたりする機会は減ってしまった。

 

 

手刻みの様子

一本一本違う木の癖を読んで、墨を付けて、手道具を使って刻む。


伝統的な仕口

手刻みの接合部は、金物やボルトに頼らず、伝統的な仕口で行うことができる。

生きている木は、季節によって伸び縮みを繰り返す。
ボルトで柱梁を固めても、乾燥すると木が縮んで、ボルトは緩んでしまう。

一方伝統的な仕口は、柱梁を木の楔で固める。
木同士は同じように伸び縮みするので問題はない。

 

地震時は、木より硬い金物やボルトは木を壊すかもしれない。
また木はめり込んでも復元するが、金物やボルトは変形したら、元に戻らない。

一方伝統的な仕口は、木同士なのでお互いにめり込み合って、復元する。

天然乾燥材と手刻みのおかげで、日本の伝統建築が永く生き続けて事を知った。

  

木組みの家の建前風景

木組みの家は、生きた天然乾燥の材木と、職人の手仕事で作る家。
死んだ機械乾燥の材木や、切り刻まれた合板や集成材はほぼ使わない。

 

木組みの家作りでやっていく

乾式の手刻みの木組みの家です。
手刻みが出来る職人さん出会い、天然乾燥の木を準備できて、やっと木の香りのする「木組みの家」が作れるようになった。

大工さんが刻んで手鉋をかけてくれた柱梁は、隠さないよう現しにしました。
何十年後かには、古民家のような味わいのある柱梁になるのが楽しみに。
フローリングや壁天井の板も、天然乾燥の無垢の板。
傷はつきやすいですが、呼吸をし、木の香りがする木です。

 

当時は、木の香りのする生きた木で「木組みの家」を作りたい。
職人の技術を守っていく為にも「天然乾燥の木」と「手刻み」で作りたい。

その思いが強くなり、プレカットでの家作りはもうやらない事に決めた。

次回は土壁。
大工さんに手刻みして頂いたら、構造は隠さず、現しの真壁しかない。

 

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