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小説『私たちは何処へ往くのだろうか?』第三話

「彼氏には、別行動をお願いして。どこか一か所で合流してから行くより成田で合流した方が追っ手の目くらましにもできるしちょうどいいわ。それと、私大阪から有給取って来てるの。土地勘ゼロだしこっちの道そんなに詳しくないから、ナビゲートよろしくね」

2人はホテルの玄関を出た。

「そういえば、名前まだ聞いてなかったわね。私はレナ。あなたは?」
「ユウって言います。やさしいって書いて優」
「蒼井優の優ね。覚えたわ」
レナとユウは、雨の中ダッシュでレンタカー屋へと向かった。


・・・・・・・・・


横浜の結婚式場は、ついさっき起こったドラマのような怒涛の展開に現在進行形でざわついていた。誰もがユウの行き先を噂し、男の正体を詮索した。そして、ユウに同乗した。なぜなら、列席者の誰もが「この結婚は大失敗である」ということを確信していたからである。

それはなぜか。

「ええ~~ん、僕のお嫁さん逃げちゃったよぉ~!!」
と泣き叫ぶ、白タキシードに身を包んだデブ。何を隠そう、このデブこそが他ならぬユウの結婚相手だったのだ。「政略結婚にしてはあまりにもハチャメチャすぎる」との同情票を買い、ユウは少なくとも結婚式場の中では支持を集めていた。

一方、親族専用の控室。
面目を丸潰しにされた父親は怒り狂っていた。
「何やっとるんだお前たち‼小娘ごときに巻かれて、お前らそれでも男か馬鹿たれぇ‼」
頭に白髪が目立つ初老の父親は、黒服たちに怒りをぶちまけていた。

「しょうがない、ワシが行く」
「いや、しかしそれは…」

「こんなことはしたくなかったがな。お前らが使いもんにならんから、頭のワシがやるしかあるめぇ」

とても20代の娘を持つ父親とは思えぬ貫禄たっぷりな言葉遣いに圧倒される読者も多いだろうが、彼が最も愛する酒は”ほろよい”のラムネサワー味である。グラスビール一杯で即刻酩酊するこの男。ウイスキーなどはもってのほかである。

話が逸れたが、ゴッドファーザーは黒服たちを連れて式場を後にした。ついでに、結婚相手のデブも市中引き回しの刑に処することにして。



-つづく-




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