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小説『私たちは何処へ往くのだろうか?』第四話

車の中。フロントガラスには雨粒がぽつぽつと打ち付けていた。液晶時計は12時30分を差している。レナとユウは、腹ごしらえをするために路地の路肩に車を止めて、崎陽軒のシウマイ弁当を食べていた。

「なんで逃げなきゃいけないのにわざわざ崎陽軒なんですか。その辺のコンビニの弁当でもよかったじゃないですか。あと車止める意味もわかんないんですけど」
「いいじゃない、私崎陽軒大好きなの。それに、走りながらごはんなんか食べられるわけないじゃないのよ」
「…でも今じゃないと思います」
「あらあら、命の恩人に対してずいぶんふてぶてしい態度ねえ」

ユウは少し不服そうな顔をした。
「すいません、サバサバ系なもので」

レナは、お茶を一口飲み、急にこう切り出した。
「…」

「ちょっとごめん、電話だわ」

「もしもし」
レナは手で口元を抑えて、小声で話す。
「はい、順調です。夕方には、成田で作戦決行できるかと。」
「ホシをおびき寄せるための作戦だ。必ず遂行させろ」

・・・・・・・・・

横浜から東京までで2時間、都心環状線を抜けるのに2時間半、渋滞に巻き込まれ1時間、東関東道に出るまでに常人とは思えない時間をかけてしまった。成田の管制塔が見えたころには空は真っ暗に染まっていた。

「あんたのナビがへたくそだから時間使っちゃったじゃないのよ!!」
「すいません…あと、具合が…」
「すぐ!トイレ行って!」

ユウはトイレに駆け込んだ。レナは、男勝りでガサツな性格なゆえに、運転も雑でこれまで同乗者を必ずひどい目に遭わせてきた。やはりスカイライナーで来た方がよかったかとも考えたが、高速を降りるにもかえって都内で混乱する危険性もあり、結果このざまになった。

「大丈夫?飛行機では吐かないでよ」
「喉が酸っぱい…」
「で、そのエリート野郎はどこにいるのよ」
「北ウィングのカウンターで待っている、ってだけ来てます」
「受付カウンターどんだけあると思ってんのよ。後でもっと詳しく書けって殴っといて」

結局、電話で男を呼び出した。

「すいません、こんな面倒な目に巻き込んでしまって…」
「もとはと言えばあんたが移動手段まで手配しておけばいい話だったのよ、その頭もっとちゃんと使いなさいよ、エリート野郎」
男は終始ぺこぺこして、レナに頭があがらないといった感じで恐縮しっぱなしだった。

ところが、そこに謎の集団が現れた。
「ユウ!見つけたぞ!」



-つづく-



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