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精神疾患伝説

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精神障害2級(双極性障害、ほか依存症。色々の玉手箱)の 戦ったこと、戦わないこと。苦しみはポイ🌈
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#短編小説

地続きのヘヴン トカゲシリーズ

地続きのヘヴン トカゲシリーズ

ボンジョルノ本日は、休日とします。
で、何しようかな?

BIGBANG賦活デーとします。つまみはゆっくり、コレ↓。
楽しみもおつまみチョイスも相変わらず、迷いゼロな俺。

とはいえ家事をダラダラやりながら。しかし聴いたり観たりたまにつまんで飲んだり、こんなしあわせな家事労働があるだろうか。てか労働じゃないじゃん遊んでるだけじゃんと言われればそうだが、おうちはちゃんと片付き洗濯物は気持ちよく干され

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めぐる夜桜

めぐる夜桜

たまに通る団地の公園に、一本の桜の木がある。
団地じたいが古いので、桜もなかなか立派な古樹だ。
季節にはわざと遠回りして寄る。

その四月、スーパーの帰りに通り掛かると、水銀燈に浮かび上がる夜桜の下で激しく泣いている子どもがいた。私は駆け寄りたい衝動にかられたが……

(急に知らない大人が走ってきたら怯えてしまう。何気なくゆっくり行くんだ。)

いかにものんきな買い物帰りに桜を見に寄った風でぶらぶ

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金色の魚

金色の魚

賢者は質素な麻の衣に手を隠して言った。
「いずれ恋など、子孫繁栄のための幻に過ぎぬ。考えねばならぬのは世の中全体のことだ」
彼の書物は遠き国まで知れ渡り尊いとされ、人々はそれを世の規範としてきた。

「いずれ恋など。相手は風か花か。どうすることもできぬもの」
物憂げに詩人は琴をかき鳴らして歌った。彼の美しい歌を聴いて皆がその通りだと涙するという。

「お可哀想に。私のところへおいでなさい。情念に傷

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夜長 (トカゲシリーズ 2)

夜長 (トカゲシリーズ 2)

「アンダルサイト。起きてたか?」
トカゲが赤いビーズのネックレスから現れてその辺にゆるりと座った。今夜は何故か正装している。ベースボールキャップは被っているが。

トカゲは私のアニムス兼教育係の男で、この世のものでも幽霊でもない。初見は8つの時。
アンダルサイトは私の名前の一つだ。

「なーんだシラフでガーランドなんかかけて。宵の口はKISSだのザック・ワイルドだのヌーノだのかけて踊って飲んでたく

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In and out   (トカゲシリーズ 1)

In and out (トカゲシリーズ 1)

赤いビーズの首飾りがふと、棚から落ちた。
キラリ。
そこから現れた男を知っていた。初めて現れたのは8歳の時だ。私は驚いて眉を吊り上げた。
「トカゲ❗️」
男は笑いながら、斜に被ったベースボールキャップを脱いだ。
「んだよごアイサツだなー」

彼は私のつくり出したものかもしれない。でも、そうならば、幼くして知る由もないことを私が知っていたことの説明をつけることは難しくなる。
彼は私の中のアニムスであ

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光る子ども

光る子ども

「おまえさんは、家にいるときは、なんといわれているんだね。」
「あたしは、家にいるときは、名もない、つまらないものなの。でも、家の外にいるときは、だれにも、好きな人になれるのよ。おばあちゃん、おうちにいるとき、あなたはいったいどんなかたなの?」
「ああ、わたしかね。わたしは、家にいれば、ちょっとした人物さ。だが、外に出れば、なんにでもなれるのさ。」
(E.ファージョン『ガラスのくつ』岩波書店)

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