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快談水宮チャンネル

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実体験、実話怪談集。不思議なおはなし。
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#怪談

怪談チャンネル水宮

怪談チャンネル水宮

令和怪談ブーム。人霊はあまり会わないが、それ以外のものなら視えるスキマ産業の水宮です。今回、ささやかな怪談の花束をあなたに(いらねえか)。

①通りすがり

昼寝をしていた。すると、枕の中から野太い男の声で思いっきり耳の中に(まあいやらしい)
「俺だよ、俺」

飛び起きるも何もなし。
通りすがり、と思うけどね。

②幽体離脱

夜、寝ているとふと、体から抜けている。寝ている自分が見える。すごく不安

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怪談水宮チャンネル②

怪談水宮チャンネル②

お久で。怪談です。

①水宮のふるさと

私の生まれ育ったのは鎌倉時代の古跡で、東京某所のとある池である。畠山重忠の恋人、傾城「夙妻太夫(あさづまだゆう)」が身投げをした悲恋の心霊スポットだ。おじいちゃんそんな土地なんで買った。今は公園になっているが。

当然「出る」噂は常にあったが、私は見たことがない。ただ、「全身白い、髪も性器もない全裸の、真っ青な目の、笑顔が素敵な変なおじさん」に一度、夜中に

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怪談水宮チャンネル③

怪談水宮チャンネル③

夏ですもの。

①母方の祖父たち

この春のある日、突如ハンパなく具合が悪くなった。冗談抜きで救急車を呼びたいレベル。加えて、近年あまり出ていなかったひどいパニック。
その時、なぜかはまったく分からないが、母方の祖父と曽祖父に向かって「助けて❗️おじいちゃん助けて❗️」と何度も泣きながら叫び、普段触りもしない数珠を握って転げ回っていた。
翌日、珍しく東京の姉から電話があった。私が苦しんでいたちょう

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怪談水宮チャンネル④

怪談水宮チャンネル④

①浮いた話

生まれた池(泉)のあるその敷地の真横を電車が通っていた。いつもその周りの森の中で一人遊びをしていた私はその音が怖くてたまらず、電車の音を「怪獣の音」と思い込み、しゃがんで耐えた。
そうしてしゃがんではまた小川や草で遊んでいる時、ふっと自分の背中を見下ろしていた。
三歳の自分の後ろ姿。お下がりのレトロな柄のワンピースの背中の、ジッパー。
「ああ、ああなっているんだな。次に着替える時は自

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怪談水宮チャンネル⑤

怪談水宮チャンネル⑤

八月葉月もいよいよ終わりですね。

①タケコプター

数年前の話である。
住宅街を散歩していると、空中3メートルくらいの所に何か、ある。
小さな双葉がくるくる竹とんぼのように回転している。その場でずっと。
上には蜘蛛の巣が作れそうな木立も電線もなく、その葉っぱはずっと浮いて回転している。
観察していても、なぜそうなっているのかついに分からなかった。

②ドラマー泣かせ

中学生の頃。もう府中に越し

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怪談水宮チャンネル⑥

怪談水宮チャンネル⑥

①虹にさわる

生まれ育った「姿見の池」での話。
大人の足で3分ほどで周れる位の大きさの池は、鯉や蛙が多く棲み、岸辺には花菖蒲の茂みがあった。
ある日その池の小さな橋に、それこそ3メートルほどの長さの虹がかかったことが一度だけ、ある。

父系一族で住んでいたので皆出てきてわあわあと見ていた。
3つだった私は、虹が生えている池の岸辺を見ていた。どうやって生えているのだろう?

私はトコトコ歩いて行っ

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怪談水宮チャンネル ⑩

怪談水宮チャンネル ⑩

①ご神木

そういうものは神社のいちばん古い樹、と思われがちだ。
が私は十にもならぬうちから、そうではないと感じてきた。
近所の公園にはさほど大きくないが、挨拶をする友達の木があった。姿の佳いケヤキだった。

初めての家出?は八つで、何かのことでひどく叱責でもされたか。自転車に乗り、もう家には戻るまいと走った。着いたのは、時折行く地元の大きな神社だった。
参道は大きなケヤキの並木。夕間暮れ、鬱蒼と

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