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怪談チャンネル水宮

令和怪談ブーム。人霊はあまり会わないが、それ以外のものなら視えるスキマ産業の水宮です。今回、ささやかな怪談の花束をあなたに(いらねえか)。


①通りすがり


昼寝をしていた。すると、枕の中から野太い男の声で思いっきり耳の中に(まあいやらしい)
「俺だよ、俺」

飛び起きるも何もなし。
通りすがり、と思うけどね。


②幽体離脱

夜、寝ているとふと、体から抜けている。寝ている自分が見える。すごく不安定でゾワゾワするが、ゆっくりでもじぶんの意志で浮いて飛び回れるのが愉快だ。
思い切って窓の外へ行こうとすると、窓の外にすごくイヤな存在があった。むかっとして
「やるならやってみろ❗️」と啖呵を切った幽体の私。
次の瞬間、窓ガラスをすり抜けて夜空をフライング。
お隣の家の屋根の上を飛び、アンテナってこうなってんだーなどと感心していたら、ふと背中にひどい衝撃を感じて目覚めた。
背中がすごく痛い。布団に寝てたのに、高い所から、背面落ちしたような痛みだった。


③ドッペルゲンガー/生霊

その日小学校で、私は急におなかが痛くなった。保健室へ行き、ベッドでうとうとした。
そして回復し、その後授業を受けて帰った。
ところが母が、帰るなり言う。
「あんた、帰ってきてなかったの?」
「?」

母は、玄関ドアが開き、私の声がただいまーと大声で言うのを聞き、
「あらあんた早く帰ってきたの?」と聞いた。
しかし、「私」はその呼びかけに応えず、そのまま階段を昇り自室に入ってしまったという。
心配した母が二階に上がって「どうしたの」とドアを開けてみると、私の部屋は無人。
その時刻を聞くと、ちょうど私が腹痛を起こした時刻だった。


④出られない

高校の時、免許を取った子たちがこぞってクラスメイトを誘い、夜の心霊スポット巡りドライブに繰り出した。
一度だけ同行したが、その時のドライバーの女の子は地元であり、道を熟知しているにもかかわらず、ほかの車とはぐれ、川沿いをぐるぐるめぐる。
「おかしい。出られない。こんなこと初めて」
道や車に詳しくない私がどうしたのか尋ねると、道は分かっているのにどうしても同じ道に戻ってしまうのだという。川沿いの一本道でそんな話はおかしいが、実はその辺りで迷ったことが、のちにまたあった。


⑤出られない その2

その後、当時付き合っていた彼氏とその辺りをドライブしていた時、また同じ事態に出くわした。
やはり運転慣れしていて道に迷ったことなどない彼が、次第に焦り始めた。
「ここ、さっきも通ったよな?」
「ウン…」
高校の時と同じように、迷いようのない道で、夜私たちはやはり数時間迷い続けた。どうしても同じ道に戻ってしまって抜け出せない。



⑥ここはいや

卒業後、その彼と同棲するために物件を探していた。彼は湘南の生まれ育ちで、神奈川県内で部屋を探していたが、その一帯に入った途端私は総毛立った。
「ねえ、ここは、いや。絶対にいや。ここだけはやめて、ここはいや」
私の必死の訴えに彼は戸惑ったが、ただならぬ感じだと思ったのか、そこでの物件探しは中止した。
そこは、神奈川でも有名な高級住宅街で、オシャレな地名がついている。街並みもキレイだが、私は瞬時に
「これはウソだ。まやかしだ。隠されてる」と感じて、恐ろしくていられなかったのだ。
後に土地を調べると、かなりよろしくない歴史があることを知った。地名も大幅に変えられていた。
しかも、高校時代の同級生と、その彼と、二人が迷った地域に近くもあった。


はい。ま、今回はジャブ程度に、こんなもんで。
では、また次回。


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