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怪談水宮チャンネル②

お久で。怪談です。


①水宮のふるさと

私の生まれ育ったのは鎌倉時代の古跡で、東京某所のとある池である。畠山重忠の恋人、傾城「夙妻太夫(あさづまだゆう)」が身投げをした悲恋の心霊スポットだ。おじいちゃんそんな土地なんで買った。今は公園になっているが。

当然「出る」噂は常にあったが、私は見たことがない。ただ、「全身白い、髪も性器もない全裸の、真っ青な目の、笑顔が素敵な変なおじさん」に一度、夜中に会った。3歳くらいの頃。深夜一人でトイレに行った時だ。
いつも一人ぼっちだった私は「おじちゃんだれー抱っこー」と走って行って抱きついた。変なおじちゃん、はニコニコ両手を広げて迎えてくれ、そのあと私は記憶を失った。翌朝、きちんと自分のベッドで目覚めた。
その時、その人の後ろには女湯があり、その外は北側で光源がないはずなのに煌々と明るかったこと、おじちゃんの目がヤグルマギクのように美しい青色だったことをありありと覚えている。

後日、敷地内に巨大な青大将(ヘビ)が出た。
私の父はそれを棒で引っ掛けて野原に投げたが、よりによってそこにはたまたま私がおり、ヘビは私の首にぐるぐるぐるっと巻きついてしまった。(割と平気だった)
祖父がその後、青大将を八つ裂きにしたという。
私の生家はその後放火により全焼し、一族もほぼ離散した。


②カエルがなぜ

敷地内の小さな水場でザリガニ釣りをしていると、向こう岸の穴の中にカエルがいた。そして、私に向かってペコリと、頭を下げた。
意味が分からない。


③霊感中年

以前の友達の一人は霊感中年ボーイで、すごい一流IT企業に勤めてるのに社内でいじめに遭っているという、羨ましいんだか気の毒なんだかわからない子だった。
彼が勝手に私を「視」て、こんなことを言った。
「えーと、出口なお。弁天。白い蛇」
「蛇い?まー失礼ね。出口なおって出口応仁三郎の関係者?」
「あたり。まあ、シャーマンみたいな人。ねー、デートしてよう」
「やだよ」

ヘビ?弁天?
水場で生まれ、ヘビのことも当たっているが、彼は当然私の過去など知らない。


④しゃべる生き物

以前、夫と住んでたアパートの近くで、野良猫が春の猫げんかをしていた。
猫好きとしてはしゃがんで観戦。
すると、形成不利な猫が勝ち猫に向かって、言った。
「ばかやろうー。ばかやろうー。」
試合終了後、二匹は何事もなかったかのように去ったが、私はそこで固まっていた。
今あいつ日本語しゃべったよね?
このことを夫に言うと、長州力がアンドレのあり得ない話をしてるみたいな扱いをされるが、本当なのに。


⑤しゃべる生き物その2

カラスは鳴く回数にも意味があるが、7回鳴くのはリーダーだけである。
先日神社へ行ってペこりとしてたら、いきなり7回鳴かれた。私は上空を見た。
どうも、ヌシさん。


⑥人の色

私は人の霊はまるで見えないが人のカラーが見えてしまうので、外ではあまり人を見ないようにしている。疲れるから。
注意すべき人、トラブルを抱えててやばい人は、う○このような黄色っぽい色で、臭ってきそうだ。
うつの人や否定的な人はたいがい寒そうな色。
人を攻撃して喜ぶような人は、どす黒い血のような色で、不浄な感じがする。いずれもすぐに距離を置くようにしている。そんなにはいないけどね。
私自身は色の波長の合う人や憧れるようなカラーの人にゴロゴロしてしまうが、それでいいようである。ただ、調子を崩すと誰でも本来のカラーに異常をきたす。くも幕下出血で亡くなった上司は、直前に彼女本来の美しい赤色でなく、ピンクの膜のようなものが見えた。それすらも、彼女は美しかったが。
そしてどんな色であれ、美しく保ち、美しくしていくのは本人のみの責任だ。死ぬ瞬間まで。そういうひとの死に顔は、例外なく美しい。造りの美醜さえ超越して。



じゃまた次回、Alla prossima puntata。

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