面白い本・好きな本|美しい本を選ぶ[古今東西の叡智、森羅万象の教え]
コレクションよりセレクション
収集することが目的となると、身のまわりにモノで溢れてしまいがち。モノを集めることで、自分が満足してそこで止まってしまう気もする。
そういうときは、“集める”ではなく“選ぶ”
本当に自分に必要なものなのか、じっくり考えて“厳選”する。時には、いらないということを“選択”する。選ぶことが自分の美意識の尺度のひとつとなり、その結果がセンスや品として滲み出てくる、、、はず。
美しいものを選ぶ。自分をかたちづくる。
ということで、古今東西の叡智と森羅万象の教えが詰まった書物をセレクト。素・手・時・然、4つの言葉に共振する、美しい本を選んでみるのもいいのでは?という話。
美しい本を選ぶ
古今東西の叡智と森羅万象の教えの詰まった書物は美しい。歴史に残され伝えられ、思想や哲学が凝縮された本。道標となる言葉。
そんな大好きな美しい本を選ぶ。まったく系統立っていない。ジャンルも内容ももうバラバラ。
伊藤ていじの『日本デザイン論』と岡倉天心の『茶の本』で本を読むことが好きになり、鴨長明の『方丈記』と吉田兼好の『徒然草』で古典にも興味が出て、夏目漱石の『こころ』と宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』で小説ってやっぱりいいなぁと思い至る。
高浜虚子の『俳句への道』と世阿弥の『風姿花伝』で日本文化の奥深さを味わい、『柳宗悦』や『棟方志功』で民藝にはまり、宮本常一の『忘れられた日本人』と白川静の『常用字解』で日本の歴史に俄然興味が湧いてくる。
『北大路魯山人』と『松浦弥太郎』で暮らしについて考えてみたり、建築家の隈研吾の『負ける建築』と内藤廣の『環境デザイン講義』の現代的な切り口はさすがで、谷川俊太郎の『詩集』や五味太郎の『絵本』は大人になっても面白い。
佐々木正人の『アフォーダンス』と深澤直人の『デザインの輪郭』で認知科学の存在を知り、松岡正剛の『千夜千冊』と外山滋比古の『思考の整理学』で情報の編集について考えさせられ、川本三郎の『都市の風景学』と都築響一の『TOKYO STYLE』で都市論や社会学にも思いを馳せる。
『岡潔』から『森田真生』まで数学の興味は相変わらず尽きず、日高敏隆の『人間はどこまで動物か』と福岡伸一の『生物と無生物のあいだ』で生物学も好きになり、寺田寅彦の『随筆集』と中谷宇吉郎の『雪』で物理学ってこんなに奥深いものなのかと関心したり。
無印良品のコンセプトブック
そんななか、無印良品のコンセプトブック『素手時然』を図書館で見つける。無印良品がめざす世界像に共鳴する文章を、古今東西の書籍の中から
150冊を選出し、1冊の本としてまとめたアンソロジー。
驚いたことに、さきほど選んだ本の著者30人のすべてが『素手時然』に掲載されている。無印良品が厳選した150の中の30。世の中に数え切れない数の本が出版されていて、人の趣味思考は千差万別であるにもかかわらず、無印良品が選んだ本と、自分の選んだ本が、とことんかぶる。
本を選ぶ基準は、まったく系統立っていないと思っていたのに、『素・手・時・然』という共通項があるということがわかって、うれしいような、あっけないような。。
素手時然
素:ありのまま、飾らない、まっすぐ。
手:手触り、手作り、心。
時:過ぎた時間とこれからの時間。
然:自然、あるがまま、変わらない。
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