miumichimia | 旅と本と映画、そして建築も。

旅と本と映画。 建築もいいけど、生業なのでほどほどに。 ただ淡々と津々浦々を転々と。 …

miumichimia | 旅と本と映画、そして建築も。

旅と本と映画。 建築もいいけど、生業なのでほどほどに。 ただ淡々と津々浦々を転々と。 堺→出雲→大阪の北摂。 子×3、犬×2。

マガジン

最近の記事

3つの好きな映画|フランスの奥深いローカルへ[ブルターニュの古城、バスクの街道、アルプスの修道院]

音がないから、聴こえてくる 言葉がないから、見えてくる フランス・アルプスに佇むグランド・シャルトルーズ修道院。俗世間とは隔絶したこの地で、修道士たちは1日の大半をひとりで過ごす。仲間との会話が許されるのは、日曜日のたった数時間だけ。それ以外は一切の言葉を発することなく、沈黙を守る。 中世から現存する石造りの修道院で、ただ静かに黙々と祈りと学習に励む。聞こえてくるのは、人が動くときに発生するわずかな動作音。 山間に響き渡る鐘の音、風に揺れるカーテン 屋根から滴る雪解けの

    • 小さな旅・思い立つ旅|余白と装飾を纏うアール・デコ[東京都庭園美術館、丸福楼、自由学園明日館]

      余白と装飾 100がちょうどピッタリだとすると、余白は50とか30とか100よりも少ない状態。反対に、装飾は120とか150とか、100より多く足されている状態。 いいデザインとは何か? そんなことを考えると、ちょうど100はいいデザインになりえないのかなぁと。問題を解決するだけでは物足りない。合理的で不満をなくすだけでは味気ない。デザインは最適解ではないのかも。 余白が想像を掻き立てる 装飾が五感を魅了する 最適はつけ入る隙がない。正しいのかもしれないけど、楽しく

      • 小さな旅・思い立つ旅|野生的で理性的 巨匠F.L.ライトの建築旅[帝国ホテル、山邑邸、自由学園明日館]

        野生的な部分と理性的な部分 そのふたつが感性を通して一貫しており 嫌味のない品のよさ 米津玄師がKing Gnuの常田大希に対して言ったことなんだけど、すごくいい表現だなぁと。テレビでさらっと流れたときに、慌てて書き留めて、メモとして残していた言葉。 野生的と理性的、相反する意味を感性という表現で束ねて、最後に品で包み込む。コトバのチョイスも、テキスト化したときの語呂もよく、常田の魅力を一瞬で伝えながら、米津のコトバのセンスまで一瞬で伝わる凄さ。 フランク・ロイド・ライ

        • 面白い本・好きな本|日本文化はしなやかに[能と俳句と弓術と]

          おのずから と みずから おのずと、ひとりでに、なりゆきで。「おのずから」はそんな意味。対して「みずから」は、自分で、自発的に。おのずからは漢字で「自ずから」、みずからは「自ら」。どちらも同じ「自」なのに、意味は正反対。 自然という言葉は 自(おの)ずから 然(しか)らしむ 山、川、海。人の手が加わっていない、あるがままの状態。意思はなく、あるがままに、なるように。みずから為す ではなく おのずから成る。 動植物のひとつひとつに意思があったとしても、水、緑、空気、生命、

        3つの好きな映画|フランスの奥深いローカルへ[ブルターニュの古城、バスクの街道、アルプスの修道院]

        マガジン

        • 3つの好きな映画
          55本
        • 小さな旅・思い立つ旅
          59本
        • 面白い本・好きな本
          52本

        記事

          面白い本・好きな本|芸術の歴史は繰り返す[暇と退屈の倫理学、アナロジア、old is new]

          ローカル マテリアル クラフトマン これからの100年、デザインの潮流はこの3つのキーワードがポイントかも?というひとりごと。 仕事がひと区切りつき、ゆとりが生まれた機会に、長年のもやもやを思い切って整理する。捉えどころのないデザインの歴史を、200年の大きな波として考える。 ゴシック、ルネサンス、バロック、アーツアンドクラフツ、デザインの大きな変遷が、社会的インパクトの後に醸成されている。これからの時代は、グローバルからローカルへ、デジタルからアナログへ、合理性から手仕

          面白い本・好きな本|芸術の歴史は繰り返す[暇と退屈の倫理学、アナロジア、old is new]

          3つの好きな映画|道を辿り、風景を紡ぐロードムービー[コンパートメントNo.6、SOMEWHERE、セントラルステーション]

          言葉にすること、考えること 自分が気になっていること、ぼんやり思っていること、曖昧なこと。そんなことを、きちんと言葉にしていきたいなぁ、と。ネットで調べれば答えが出てくることじゃなく、もっと捉えどころのない、ふわふわ漂っている、とっても感覚的なことを、見つけて、掴んで、言葉にする。 言葉にすることは、考えること 考えることは集中力もいるし、疲れるし、時間もいる。でも、その過程で生み出された言葉は、本やネットで見つけたものではなく、自分のもの。ひょっとしたら、何の役にも立

          3つの好きな映画|道を辿り、風景を紡ぐロードムービー[コンパートメントNo.6、SOMEWHERE、セントラルステーション]

          3つの好きな映画|ベルギー発 アートを纏うファッションシーン[マルジェラ ドリス ラフ・シモンズ]

          日本を代表するファッションデザイナーは? これはあまりばらつきなく、誰に聞いてもほぼ同じ。三宅一生、山本耀司、川久保玲。90年代のUNDERCOVER、A BATHING APE、00年代以降のsacaiやkolorなどなど、いくつものブランドが世に登場しても、やっぱり原点はこの御三名。 ISSEY MIYAKE|イッセイミヤケ Yohji Yamamoto|ヨウジヤマモト COMME des GARCONS|コムデギャルソン では、ベルギーを代表する三名は? Dri

          3つの好きな映画|ベルギー発 アートを纏うファッションシーン[マルジェラ ドリス ラフ・シモンズ]

          小さな旅・思い立つ旅|食がつくる風景は美しい[水と暮らす、茶原郷、海に浮かぶ舟屋]

          自然のリズムに寄り添う 日本では四季折々に変化する気温や湿度、特定の季節に吹く風などを活かし、食の生産を行ってきた。雨の多い平野ではあたり一面に田んぼが広がり、波の穏やかな湾では舟屋が建ち並び、寒暖差の大きな丘陵地には茶畑が広がる。 自然の中に人の営みが関わることで、暮らしに合わせて自然が改変されていく。食がつくる風景は自然のリズムに寄り添いながら、維持・更新が繰り返されていく。長い年月の経過とともに、風土に根付いた風景がかたちづくられていく。 食がつくる風景は美しい

          小さな旅・思い立つ旅|食がつくる風景は美しい[水と暮らす、茶原郷、海に浮かぶ舟屋]

          小さな旅・思い立つ旅|京都情景 階段に魅せられて[京都駅、京都市美術館、伏見桃山陵]

          めくるめく階段の世界へ 階段の魅力はその見た目、用途、そして見る角度によって実に多彩な表情を見せてくれること。なにより、床・壁・天井といった平面的な要素とは違い、階段だけが立体的な造形で、まるでアート作品のよう。 ゆったりとした階段は昇る人を優雅な気分にさせ、機能的にコンパクトな階段は自然とキビキビとした動きにさせられる。 非日常の世界へ誘う階段があったり、圧倒的な大空間を演出する階段があったり、登り降りする人の動きを美しくみせる階段があったり、 ということで、GWも終

          小さな旅・思い立つ旅|京都情景 階段に魅せられて[京都駅、京都市美術館、伏見桃山陵]

          面白い本・好きな本|発酵からみる経済・情報・文化人類学[風土に根ざす]

          微生物にいい環境は、人間にもいい環境 発酵はとっても奥が深い。味噌、醤油、酢、納豆、ぬか漬け、パン、ヨーグルト、くさや、なれずし、鰹節、紅茶、、、海、山、川に離島、人口わずか数千人の小さな村に、世界にも類例のない特殊な発酵文化が継承されていたり。 なぜ旅の目的地が発酵なのか? 醤油や味噌の醸造元、酒蔵、ワイナリー、ブルワリー。旅の目的地に発酵を選んでしまうことが少なくない。その理由がうまく言語化できていなかってけど、『日本発酵紀行』にその答えを見つける。 発酵に必要な

          面白い本・好きな本|発酵からみる経済・情報・文化人類学[風土に根ざす]

          面白い本・好きな本|魅惑のカフェインとアルコール[至高の嗜好と人類史]

          暇と退屈は同じ? 哲学者 國分さんの著書にあった言葉。このふたつはしばしば混同して使われる。暇だなぁと言っても、退屈だなぁと言っても、なんとなく意味は伝わってしまう。でも、よくよく考えると同じではない。 暇は何もすることのない、何もする必要のない時間を指す。その時なにを思っているかは関係ない。客観的なこと。対して、退屈は何かしたいのにできない状態を指す。感情や気分の問題。主観的なこと。 暇 = 退屈 ではない 暇で退屈することもあれば、暇じゃないけど退屈することもある

          面白い本・好きな本|魅惑のカフェインとアルコール[至高の嗜好と人類史]

          3つの好きな映画|階段の情景 癖と個性が滲み出す[ジョーカー パラサイト 千と千尋]

          癖 と 個性 同じようで、全然ちがう。無意識に滲み出る現象という点は同じなんだけど、その過程は正反対。癖は無意識の積み重ねでカタチづくられ、個性は意識的な心がけ。癖も個性も、愛すべき人間の魅力ではあるけれど。。 無意識の結果の癖 心がけの結果の個性 そんな癖と個性は階段に如実にあらわれる。颯爽と駆け上がる人、息を切らしてうつむきながら歩く人、無造作に座る人、スケボーで滑り降りる人、踊る人。階段を舞台に人びとが行き交えば、そこにドラマが生まれる。 姿勢、足取り、立ち振る

          3つの好きな映画|階段の情景 癖と個性が滲み出す[ジョーカー パラサイト 千と千尋]

          3つの好きな映画|未来の記憶を掘り起こす[マッドマックス ガタカ ブレードランナー 時計仕掛けのオレンジ]

          見えない未来を どう描いていくか レオナルド・ダ・ヴィンチは、数多くの発明を後世に伝えた。戦車、ヘリコプター、エンジン、水圧ポンプなどなど、膨大なアイデアを美しく描かれたスケッチで残している。 ダ・ヴィンチだけでなく、ミケランジェロ、ラファエロなど、ルネサンス時代の優れたエンジニアや建築家の多くは画家だったという。 その類まれなるスケッチで未来を描き、人々を魅了する。時代の権力者から職人まで、言葉を超えたコミュニケーションを可視化の力で成し遂げた。 可視化は 未来を

          3つの好きな映画|未来の記憶を掘り起こす[マッドマックス ガタカ ブレードランナー 時計仕掛けのオレンジ]

          小さな旅・思い立つ旅|かき と しらす の 口福な旅[旬を求めて海辺の町へ]

          旬のリズム と 週のリズム noteを始めて約3年。これまで週1回の更新を目安にしてたけど、最近は少し間隔を開けて月3回にしたりしなかったり。 土日休みの一般的な働き方なので、週7日のサイクルはリズムも掴みやすくていいけれど、どこか事務的で機械的な感じもしてしまう。 旬を慈しむ 上旬、中旬、下旬。1ヶ月を3つに分けた10日を表す「旬」という言葉。旬の野菜、旬の時期というように、「もっとも美味しい時期」「物事を行うのに適した時期」と言う意味もある。 noteの更新頻度

          小さな旅・思い立つ旅|かき と しらす の 口福な旅[旬を求めて海辺の町へ]

          小さな旅・思い立つ旅|美しい暮らしのある島、そして建築も[坐 茅 荘 園 窯 堂 舎]

          建物は仮でも、暮らしに仮はない 大きな災害が起こるたびに、そこでの暮らしは破壊される。それでも日々の営みは続いていくので、仮説住宅に住まう状況に追い込まれる方々も少なくない。 仮設 の 住宅 何らかの理由で、住み慣れた住処を離れて応急的に準備された住宅に住む。そんな住宅を人々は仮設住宅という。あくまでも仮で、応急的に簡易的につくられた建築。でも、そこで生きる方の人生に仮はない。いつ何時も自分の“本当の”人生を生きている。 暮らしに 仮 はない 仮設住宅と気軽に言うけ

          小さな旅・思い立つ旅|美しい暮らしのある島、そして建築も[坐 茅 荘 園 窯 堂 舎]

          面白い本・好きな本|10000000000年の深淵な物語[宇宙、恐竜、生命、環境、文明]

          歴史は10でできている 1の後ろにゼロを10個並べる。10,000,000,000、10billion、10ギガ、100億。資産100億円と聞くと、途方もない金額でもう別世界。100億再生となると、YouTubeでは2022年に史上初めて達成した動画が誕生し、音楽のストリーミングでは昨年にYOASOBI『夜に駆ける』が日本初のビリオン達成だったので、100億再生はもう少し先の話。 10billion=10Gなので、10GBとなると急に親近感が湧いてきて、スマホの月のデータ

          面白い本・好きな本|10000000000年の深淵な物語[宇宙、恐竜、生命、環境、文明]