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小さな旅・思い立つ旅

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どこでもいいかどこかへ行きたい衝動を、年間30回くらいの日帰り旅行で解消する日々
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小さな旅・思い立つ旅|かき と しらす の 口福な旅[旬を求めて海辺の町へ]

旬のリズム と 週のリズム noteを始めて約3年。これまで週1回の更新を目安にしてたけど、最近は少し間隔を開けて月3回にしたりしなかったり。 土日休みの一般的な働き方なので、週7日のサイクルはリズムも掴みやすくていいけれど、どこか事務的で機械的な感じもしてしまう。 旬を慈しむ 上旬、中旬、下旬。1ヶ月を3つに分けた10日を表す「旬」という言葉。旬の野菜、旬の時期というように、「もっとも美味しい時期」「物事を行うのに適した時期」と言う意味もある。 noteの更新頻度

小さな旅・思い立つ旅|美しい暮らしのある島、そして建築も[坐 茅 荘 園 窯 堂 舎]

建物は仮でも、暮らしに仮はない 大きな災害が起こるたびに、そこでの暮らしは破壊される。それでも日々の営みは続いていくので、仮説住宅に住まう状況に追い込まれる方々も少なくない。 仮設 の 住宅 何らかの理由で、住み慣れた住処を離れて応急的に準備された住宅に住む。そんな住宅を人々は仮設住宅という。あくまでも仮で、応急的に簡易的につくられた建築。でも、そこで生きる方の人生に仮はない。いつ何時も自分の“本当の”人生を生きている。 暮らしに 仮 はない 仮設住宅と気軽に言うけ

小さな旅・思い立つ旅|日本の建築文化と歴史を愛でる古寺巡礼[飛鳥から江戸まで、現代に息づく9つの足跡]

平安・江戸・令和 日本の人口が停滞・減少した時代はこの3つ 2024年、日本の人口は80万人くらい減少する予定。山梨県や佐賀県の全人口が1年でいなくなるほどのインパクト。毎年、一つの都道府県がなくなる時代って想像もできない。。 そんなときは歴史に学ぶ 日本の長い歴史の中で、人口が停滞した時代が2つ。一つは遣唐使を廃止した平安時代で、もうひとつが鎖国の江戸時代。外国に対して国を閉ざし、大きな経済成長と人口増加がない代わりに、日本の根幹を成す独自の文化が醸成される。 国風

小さな旅・思い立つ旅|死ぬまでに行きたい神社巡礼[神秘の絶景から世界遺産まで]

2日から4日までは3日間 2時から4時までは2時間 「年末は30日まで営業します」と言われれば、当然30日は営業してる。なので「○まで」は○を含む。 「営業時間は17時までです」と言われて17時59分まで営業するとは誰も思わない。ということは「○まで」は○を含まない。 これまで深く考えることなく使っていた表現だけど、よくよく考えるととても不思議な言葉。時間と日にちで答えが変わる。 死ぬまでに一度は行きたい神社巡礼 神秘の絶景から荘厳な世界遺産まで 「死ぬまで」は死を

小さな旅・思い立つ旅|高原の余白、何もないがある余韻[生石高原、蒜山高原、曽爾高原]

何もないがある暮らし ともすると、退屈で貧しいだけに見えてしまう何もない余白。でも、日本には「何もない」を慈しむ文化がしっとり深く根ざしている。枯山水、水墨画、俳句、短歌、茶道、、数え挙げればきりがない。 簡素なのに、複雑な味わい 自然の神秘を尊重する姿勢、独創的な感受性。数千年ひとつの国であり続けた圧倒的な文化の蓄積。 度の超えた贅沢ではなく 何もないがある暮らし 何もないがある、余白の高原「高原」はその名の通り、標高の高い原っぱ。涼しい気候や澄んだ空気が広がるだ

小さな旅・思い立つ旅|アートをめぐる秋の旅[六甲ミーツ・アート 芸術散歩]

秋の心、今が一番しあわせ、と思いたい 秋の心で「愁」 思い悩み、もの寂しい季節なのかもしれないけど、過去を振り返ってもしょうがない。この先は未来しかない。だったら昨日よりも今日、今日よりも明日、この瞬間瞬間を大切に。 「今が一番しあわせ」と思うほうがいいに決まってる。毎日を気持ちよく過ごすための合言葉。 六甲ミーツ・アート 芸術散歩神戸・六甲山上で毎年秋に開催される現代アートの芸術祭が始まると、秋になったなぁ、と感じるちょうどいいイベント。今年も11月23日まで開催され

小さな旅・思い立つ旅|美と神秘の漲溢した山里[白州正子のかくれ里を訪ねて]

何となく感じているフワッとした思いを ハッキリと言語化してくれる気持ちよさ いろんなところに旅して、この雰囲気とってもいいなぁと思うことは、それなりにある。いいと感じる共通項もなんとなくあるんだけど、フワフワしててうまく言語化することはできない。 そんなときに出会った「かくれ里」という言葉。能、絵画、陶器等に造詣深い白州正子が、名文で迫る紀行エッセイのタイトル。世を避けて隠れ忍ぶ村里。かくれ里。まさにこれ。 白州正子と紀行文文学、骨董、工藝、歴史、風土、文化の世界に浸か

小さな旅・思い立つ旅|そこはブルーでホワイトで、ちょっとグレー[島、湖、森、海、街]

シンパシー(同情)とエンパシー(共感) 可哀想な人や、問題を抱えた人に対して抱く感情がシンパシー(同情)。自分が努力しなくても自然に出てくる感情。対して、自分と違う理念や信念を持つ人が、何を考えているのだろうと想像する力がエンパシー(共感)。わかろうと努力することがエンパシー。 感情的なシンパシー、理性的なエンパシー 同情と共感の違いは、『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』で出会ったもの。日本人の母と、アイルランド人の父を持つ息子さんが多様性のリアルにもまれて

小さな旅・思い立つ旅|映画のような写真を撮りたい[朝を迎える京都夏景]

映画のような写真を撮りたい 「映画風の色味にしたい」ということではない。静止画なのに、時が流れ、物語のある写真。情景が目に浮かぶ写真。撮りたいのはそんな写真。 水墨画では、自然の風景だけでなく、その中に旅人や、山道を歩くきこりなど、自然のなかで暮らす“人”を描く。人と自然の関わりを叙情的に表現することで、鑑賞者は絵の中の人物に乗り移って、風景を旅することができる。 人を描くことで物語が生まれる。 ということで、情緒的な夏をもとめて早朝の京都へ。叙情的に物語る写真を目指

小さな旅・思い立つ旅|淹れたての一杯、至福の京都[私設図書館・鈍考、ティールーム・冬夏]

「蝉が鳴き始めたようです          雨がやみましたね」 小雨の降る京都の朝。市中から少し離れた比叡山の麓にある私設図書館『鈍考』を目指す。1時間に1本のローカル線に乗り、駅から緑豊かな住宅地を歩くこと約10分。目的地につくころには雨がすっかりやんでいた。 建物に入ってもスタッフから案内や説明はとくにない。目の前の案内板を静かに読み、あぁそうか、もう“鈍考”は始まっているのか、と気づく。 荷物をロッカーに入れ、壁面いっぱいの本棚に沿って、奥へと進むと、ようやくカウ

小さな旅・思い立つ旅|青く澄んだ絶景カフェの水辺にて[川、海、舟屋、湖]

「いいね!」な写真 より 「いい」写心 似ているようで全然違う。「いいね!」な写真は見た瞬間にインパクトのある写真。大胆な構図と、鮮やかな色で、人目を引くもの。不特定多数に向けたもの。 それに対して、「いい」写真は、自分のもの。撮影した当時の記憶と、思い出と、情景が思い浮かび、家族や友達と共有できるもの。心通う写真。なので一文字変えて“写心”。 ということで、先週に引き続き絶景カフェの第2弾。前回は緑豊かなカフェだったので、今回は水辺のカフェでもどうでしょう、という話

小さな旅・思い立つ旅|めくるめく絶景カフェの窓辺にて[山頂、森林、茶畑、山居]

パフェはパルフェでパーフェクト 映画『窓辺にて』で初めて知ったパフェの語源。フランス語で“完璧”を意味する「パルフェ」が「パーフェクト」となり、「パフェ」になる。完璧なデザート=パフェ。 窓辺から差し込む繊細な光、そこに現れる影と完璧ではない人々の悲喜交々。映画『窓辺にて』で映し出される窓辺の風景は、とても美しくパーフェクト。パフェだけに。 ということで、完璧で美しい風景=「絶景」を目的に、カフェに行くのはどうでしょう、という話。めくるめく絶景カフェの窓辺にて。 パフ

小さな旅・思い立つ旅|美しき遺構の誘い 廃墟の島旅へ[軍艦島、犬島、友ヶ島]

衣 食 住 + 旅? 人が生きていく上で欠かせない要素は「衣 食 住」の3つ。では、それに次ぐ4番目の要素は何か? たぶん人によって答えはバラバラで、「遊」や「楽」といった言葉をあげる人もいれば、「知」や「教」をあげる人がいるかもしれない。人とのつながりが大切なら「友」や「愛」で、ものつくりが好きななら「創」や「美」もあり。 いずれにせよ、4番目の要素を聞くことで、その人の価値観や趣味嗜好が垣間見れておもしろい。 衣 食 住 + 旅 旅先で遊んだり、ゆっくり休んだり

小さな旅・思い立つ旅|ジブリのような建築を巡る旅[無国籍で懐かしい、土着的に緑を纏う]

見たことがないのに “懐かしい” 建築家 藤森照信の建築を、隈研吾はそう評する。いつの時代の、何の建物にも似ていないのに、なぜか “懐かしく” 感じる。大人も子供も、そこに行くと自然と笑顔になってしまう、究極のエンタメ建築。 藤森さんが、設計するときのポイントを4点あげている。でも、ご本人も「最終的になぜこうなったのか、よくわからない」とよく言っている。何度も考えているうちに、自然とそこに落ち着いた、と。 小田和正と東北大建築学科の同期であり、建築探偵団を結成し、路上観