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面白い本・好きな本

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本のジャンルは関係なく気になるものから手当たり次第に読むスタイル https://booklog.jp/users/miumichimia
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記事一覧

面白い本・好きな本|アジアの辺境 未知を楽しむ読書旅[イラク水滸伝+アジア発酵紀行]

人生最期に食べたいものは? お寿司、焼肉、ステーキ、ラーメン。よく見かける質問で、ランキング上位は人気の料理が占めている。あとは、炊きたての白いご飯とか、お味噌汁とか、家族の手料理とか、長く慣れ親しんだ味がランクイン。 じゃぁ自分はどうなんだ、と問われると 答えがない__ ないことはないんだけど、しっくりこない。ランキングの顔ぶれをみても、なにか違う気がする。長い間、ずっと模索中。そんな折、noteを徘徊していて不意に答えに出会ってしまう。 死ぬ最期まで、未知を楽しむ

面白い本・好きな本|読書で、酔って、迷って、彷徨って[本心、黄色い家、東京都同情塔]

読書で酔っ払う 本を読む。初めは本の内容が頭を巡り、本の世界に入り込む。ふと気づくと、本を読みながら別のことも考えている。気は散ってない。本の内容も頭に入ってきているのに、他のことも考えている。 脳がふたつに増えたみたい 何か考え事をしたいときに、一人静かなところで目を閉じても雑念が邪魔をする。そんなときは本を読む。本をきっかけに、思考の迷宮へ。読んで読んで酔っ払う。 酔って、迷って、彷徨って 外から見ればただ静かに読書をしている人なんだけど、頭の中は思考の旅人。ふ

面白い本・好きな本|日本文化はしなやかに[能と俳句と弓術と]

おのずから と みずから おのずと、ひとりでに、なりゆきで。「おのずから」はそんな意味。対して「みずから」は、自分で、自発的に。おのずからは漢字で「自ずから」、みずからは「自ら」。どちらも同じ「自」なのに、意味は正反対。 自然という言葉は 自(おの)ずから 然(しか)らしむ 山、川、海。人の手が加わっていない、あるがままの状態。意思はなく、あるがままに、なるように。みずから為す ではなく おのずから成る。 動植物のひとつひとつに意思があったとしても、水、緑、空気、生命、

面白い本・好きな本|芸術の歴史は繰り返す[暇と退屈の倫理学、アナロジア、old is new]

ローカル マテリアル クラフトマン これからの100年、デザインの潮流はこの3つのキーワードがポイントかも?というひとりごと。 仕事がひと区切りつき、ゆとりが生まれた機会に、長年のもやもやを思い切って整理する。捉えどころのないデザインの歴史を、200年の大きな波として考える。 ゴシック、ルネサンス、バロック、アーツアンドクラフツ、デザインの大きな変遷が、社会的インパクトの後に醸成されている。これからの時代は、グローバルからローカルへ、デジタルからアナログへ、合理性から手仕

面白い本・好きな本|発酵からみる経済・情報・文化人類学[風土に根ざす]

微生物にいい環境は、人間にもいい環境 発酵はとっても奥が深い。味噌、醤油、酢、納豆、ぬか漬け、パン、ヨーグルト、くさや、なれずし、鰹節、紅茶、、、海、山、川に離島、人口わずか数千人の小さな村に、世界にも類例のない特殊な発酵文化が継承されていたり。 なぜ旅の目的地が発酵なのか? 醤油や味噌の醸造元、酒蔵、ワイナリー、ブルワリー。旅の目的地に発酵を選んでしまうことが少なくない。その理由がうまく言語化できていなかってけど、『日本発酵紀行』にその答えを見つける。 発酵に必要な

面白い本・好きな本|魅惑のカフェインとアルコール[至高の嗜好と人類史]

暇と退屈は同じ? 哲学者 國分さんの著書にあった言葉。このふたつはしばしば混同して使われる。暇だなぁと言っても、退屈だなぁと言っても、なんとなく意味は伝わってしまう。でも、よくよく考えると同じではない。 暇は何もすることのない、何もする必要のない時間を指す。その時なにを思っているかは関係ない。客観的なこと。対して、退屈は何かしたいのにできない状態を指す。感情や気分の問題。主観的なこと。 暇 = 退屈 ではない 暇で退屈することもあれば、暇じゃないけど退屈することもある

面白い本・好きな本|10000000000年の深淵な物語[宇宙、恐竜、生命、環境、文明]

歴史は10でできている 1の後ろにゼロを10個並べる。10,000,000,000、10billion、10ギガ、100億。資産100億円と聞くと、途方もない金額でもう別世界。100億再生となると、YouTubeでは2022年に史上初めて達成した動画が誕生し、音楽のストリーミングでは昨年にYOASOBI『夜に駆ける』が日本初のビリオン達成だったので、100億再生はもう少し先の話。 10billion=10Gなので、10GBとなると急に親近感が湧いてきて、スマホの月のデータ

面白い本・好きな本|考える、耳を澄ます、研ぎ澄ます[夜空と宇宙とアインシュタイン]

考えることは、耳を澄ますこと、研ぎ澄ますこと 「考える」とは、とにかく何かをすることだ、そう思っているかもしれない。でも、それはどうも違うみたい。『はじめて考えるときのように』という本で出会った、とてもいい例えがひとつ。 考えるとは「ずっとそのつもり」でいること 考えている と 考えていない「考える」っていうのは、ぜんぜん心の状態や心の動きなんかじゃない。頭の中で「思考」という作業をしているわけじゃない。じゃぁ、「考えていない」と何が違うか。 それは、耳を澄まして、研

面白い本・好きな本|トトロを観ちゃったときのような[ナウシカとエヴァンゲリオン]

“観たことない”は、時間という壁に守られている 観てないということは、これから観ることもできるし観ないこともできる。選ぶ権利が与えられている。観てしまうともうそれはない___ 知ってる人は知っている、かまいたちのトトロ漫才の一コマ。 かまいたち山内が生まれてから一度もトトロを観たことないと自慢するもの。レンタルも何回も繰り返される再放送の網も全部すり抜けてきたと力説する。観た後は、観る前には戻れない。初体験は人生で一度しかない。そんな哲学的めいたことを、とっても面白い漫才

面白い本・好きな本|美しき古代文明 コトバの旅[ヒエログリフ、オノマトペ、ホモ・サピエンス]

はじめにコトバありき。 どんなメッセージも情報も、伝えるべき中身が空疎であればヒトの心を動かすことはきでない。ヒトの呼吸に一定のリズムがあるように、「読む」という行為にも、その生理にふさわしいリズムがある。 ということで、「言葉」や「文字」について思考を巡らせ、美しき古代文明に思いを馳せるのもいいのでは?と言う話。 5千年前のヒエログリフが現代に蘇る 5万年前のオノマトペが言語をつくる 10万年前の共感への想いが言葉になる タッタッ→叩く フーフー→吹くもともとオノマ

面白い本・好きな本|その時、誰かに薦めたいマンガ[葬送のフリーレン、ブルーピリオド、BEASTARS]

すすめられたことは、ひとまず試す 自分のアンテナなんて、思っているほどいいわけない。自分のものさしだけでは計れない。そんなに簡単にものごとを決めるつけることはできない。 偏見をもたず、まず試す 「ここいいよ」「これすごくおいしかったよ」「これめちゃくちゃ面白い本だよ」と、人が熱心にすすめるものは、たとえ自分の趣味や好みと異なっていたとしても、できるだけ試す。 ときには失敗することもあるけれど、それでいい。実際に体験して、自分なりの答えを出すことに意義がある。 「人が

面白い本・好きな本|大切に心に刻む、子供心の宝箱[星の王子さま、アルケミスト、モモ]

この世は思った通りになる そんなわけない。思った通りになるわけない、と思うかもしれない。でも、思った通りにならないと“思っている”時点で、やっぱりそれは思った通りになっている。。 大人は知識を蓄え経験を積み、客観的で正しい判断を下している、、、と言いたいところだけど、そんなわけない。周りの人間の評価を気にして、日々の忙しさに追われて、現実と折り合いをつけながら懸命に生きている。 曇りのない目で生きる子どもから学んでみる? 子供心を忘れない子ども向けに書かれた児童書は、

面白い本・好きな本|ユーラシア大陸 雄大な大地が綴る、壮麗なる文明史[文明の生態史観+風土]

飽き飽きするほど、秋が好き もちろんいい意味で。夏になった瞬間から、秋はまだかと心待ちにしてしまう。そんな自分にうんざりしてしまうほど秋が好き、という意味で。 来週からいよいよ10月。紅葉狩りまで、あともう少し。日本の四季を慈しむ。 舞台はユーラシア大陸。 大陸の気候と風土と文明の歴史をまとめた良書として『サピエンス全史』や『銃・病原菌・鉄』がとても有名。 でも、梅棹忠夫の『文明の生態史観』と和辻哲郎の『風土』を併読すると、ユーラシアへの理解がさらに深まりおもしろい

面白い本・好きな本|アメリカ文学 薫り高く、風に吹かれて[湿地の少女、老人と海、森の生活]

点の読書から線の読書、そして星座の読書へ まずは1冊読む。書評や読書案内、もしくは誰かに勧められた本を1冊読む。これさえあれば足りる、自分にぴったりの1冊に、いきなり出会うことはそうそうない。1冊だけの読書は「点の読書」 あらゆる本は、1冊では存在できない。他の多くの本から影響を受けたり、参照されたりしながら、直接的、間接的につながっている。 1冊だけでは、ピンとこないことだってある。でも、2冊目を読んでみると共通点が見つかって、ふと線で繋がることがある。これは「線の読