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面白い本・好きな本

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本のジャンルは関係なく気になるものから手当たり次第に読むスタイル https://booklog.jp/users/miumichimia
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記事一覧

面白い本・好きな本|発酵からみる経済・情報・文化人類学[風土に根ざす]

微生物にいい環境は、人間にもいい環境 発酵はとっても奥が深い。味噌、醤油、酢、納豆、ぬか漬け、パン、ヨーグルト、くさや、なれずし、鰹節、紅茶、、、海、山、川に離島、人口わずか数千人の小さな村に、世界にも類例のない特殊な発酵文化が継承されていたり。 なぜ旅の目的地が発酵なのか? 醤油や味噌の醸造元、酒蔵、ワイナリー、ブルワリー。旅の目的地に発酵を選んでしまうことが少なくない。その理由がうまく言語化できていなかってけど、『日本発酵紀行』にその答えを見つける。 発酵に必要な

面白い本・好きな本|魅惑のカフェインとアルコール[至高の嗜好と人類史]

暇と退屈は同じ? 哲学者 國分さんの著書にあった言葉。このふたつはしばしば混同して使われる。暇だなぁと言っても、退屈だなぁと言っても、なんとなく意味は伝わってしまう。でも、よくよく考えると同じではない。 暇は何もすることのない、何もする必要のない時間を指す。その時なにを思っているかは関係ない。客観的なこと。対して、退屈は何かしたいのにできない状態を指す。感情や気分の問題。主観的なこと。 暇 = 退屈 ではない 暇で退屈することもあれば、暇じゃないけど退屈することもある

面白い本・好きな本|10000000000年の深淵な物語[宇宙、恐竜、生命、環境、文明]

歴史は10でできている 1の後ろにゼロを10個並べる。10,000,000,000、10billion、10ギガ、100億。資産100億円と聞くと、途方もない金額でもう別世界。100億再生となると、YouTubeでは2022年に史上初めて達成した動画が誕生し、音楽のストリーミングでは昨年にYOASOBI『夜に駆ける』が日本初のビリオン達成だったので、100億再生はもう少し先の話。 10billion=10Gなので、10GBとなると急に親近感が湧いてきて、スマホの月のデータ

面白い本・好きな本|考える、耳を澄ます、研ぎ澄ます[夜空と宇宙とアインシュタイン]

考えることは、耳を澄ますこと、研ぎ澄ますこと 「考える」とは、とにかく何かをすることだ、そう思っているかもしれない。でも、それはどうも違うみたい。『はじめて考えるときのように』という本で出会った、とてもいい例えがひとつ。 考えるとは「ずっとそのつもり」でいること 考えている と 考えていない「考える」っていうのは、ぜんぜん心の状態や心の動きなんかじゃない。頭の中で「思考」という作業をしているわけじゃない。じゃぁ、「考えていない」と何が違うか。 それは、耳を澄まして、研

面白い本・好きな本|トトロを観ちゃったときのような[ナウシカとエヴァンゲリオン]

“観たことない”は、時間という壁に守られている 観てないということは、これから観ることもできるし観ないこともできる。選ぶ権利が与えられている。観てしまうともうそれはない___ 知ってる人は知っている、かまいたちのトトロ漫才の一コマ。 かまいたち山内が生まれてから一度もトトロを観たことないと自慢するもの。レンタルも何回も繰り返される再放送の網も全部すり抜けてきたと力説する。観た後は、観る前には戻れない。初体験は人生で一度しかない。そんな哲学的めいたことを、とっても面白い漫才

面白い本・好きな本|美しき古代文明 コトバの旅[ヒエログリフ、オノマトペ、ホモ・サピエンス]

はじめにコトバありき。 どんなメッセージも情報も、伝えるべき中身が空疎であればヒトの心を動かすことはきでない。ヒトの呼吸に一定のリズムがあるように、「読む」という行為にも、その生理にふさわしいリズムがある。 ということで、「言葉」や「文字」について思考を巡らせ、美しき古代文明に思いを馳せるのもいいのでは?と言う話。 5千年前のヒエログリフが現代に蘇る 5万年前のオノマトペが言語をつくる 10万年前の共感への想いが言葉になる タッタッ→叩く フーフー→吹くもともとオノマ

面白い本・好きな本|その時、誰かに薦めたいマンガ[葬送のフリーレン、ブルーピリオド、BEASTARS]

すすめられたことは、ひとまず試す 自分のアンテナなんて、思っているほどいいわけない。自分のものさしだけでは計れない。そんなに簡単にものごとを決めるつけることはできない。 偏見をもたず、まず試す 「ここいいよ」「これすごくおいしかったよ」「これめちゃくちゃ面白い本だよ」と、人が熱心にすすめるものは、たとえ自分の趣味や好みと異なっていたとしても、できるだけ試す。 ときには失敗することもあるけれど、それでいい。実際に体験して、自分なりの答えを出すことに意義がある。 「人が

面白い本・好きな本|大切に心に刻む、子供心の宝箱[星の王子さま、アルケミスト、モモ]

この世は思った通りになる そんなわけない。思った通りになるわけない、と思うかもしれない。でも、思った通りにならないと“思っている”時点で、やっぱりそれは思った通りになっている。。 大人は知識を蓄え経験を積み、客観的で正しい判断を下している、、、と言いたいところだけど、そんなわけない。周りの人間の評価を気にして、日々の忙しさに追われて、現実と折り合いをつけながら懸命に生きている。 曇りのない目で生きる子どもから学んでみる? 子供心を忘れない子ども向けに書かれた児童書は、

面白い本・好きな本|ユーラシア大陸 雄大な大地が綴る、壮麗なる文明史[文明の生態史観+風土]

飽き飽きするほど、秋が好き もちろんいい意味で。夏になった瞬間から、秋はまだかと心待ちにしてしまう。そんな自分にうんざりしてしまうほど秋が好き、という意味で。 来週からいよいよ10月。紅葉狩りまで、あともう少し。日本の四季を慈しむ。 舞台はユーラシア大陸。 大陸の気候と風土と文明の歴史をまとめた良書として『サピエンス全史』や『銃・病原菌・鉄』がとても有名。 でも、梅棹忠夫の『文明の生態史観』と和辻哲郎の『風土』を併読すると、ユーラシアへの理解がさらに深まりおもしろい

面白い本・好きな本|アメリカ文学 薫り高く、風に吹かれて[湿地の少女、老人と海、森の生活]

点の読書から線の読書、そして星座の読書へ まずは1冊読む。書評や読書案内、もしくは誰かに勧められた本を1冊読む。これさえあれば足りる、自分にぴったりの1冊に、いきなり出会うことはそうそうない。1冊だけの読書は「点の読書」 あらゆる本は、1冊では存在できない。他の多くの本から影響を受けたり、参照されたりしながら、直接的、間接的につながっている。 1冊だけでは、ピンとこないことだってある。でも、2冊目を読んでみると共通点が見つかって、ふと線で繋がることがある。これは「線の読

面白い本・好きな本|美しい本を選ぶ[古今東西の叡智、森羅万象の教え]

コレクションよりセレクション 収集することが目的となると、身のまわりにモノで溢れてしまいがち。モノを集めることで、自分が満足してそこで止まってしまう気もする。 そういうときは、“集める”ではなく“選ぶ” 本当に自分に必要なものなのか、じっくり考えて“厳選”する。時には、いらないということを“選択”する。選ぶことが自分の美意識の尺度のひとつとなり、その結果がセンスや品として滲み出てくる、、、はず。 美しいものを選ぶ。自分をかたちづくる。 ということで、古今東西の叡智と

面白い本・好きな本|感じのいいセンス、心地いい美意識[センス入門、美意識がつくる未来、センスは知識]

センスは表に現れ、美意識は内に潜む 「センスいいね」と言うことはあっても、「美意識高いね」と言うことはあまりない。センスは周囲から見えるもので、美意識は内に秘めたマインド。たまたま出会ったサイトで目にした、とても印象的な言葉。 結果がいいだけでなく、その過程に“美しさ”を内包している。センスの良さとして立ち現れる根底に、美意識が潜んでいる。強引さや無理のない“感じのよさ”と“心地よさ”。 表に現れる“感じのよさ”と、内に潜む“心地よさ” チカラを入れすぎない、心地いい

面白い本・好きな本|静かに、ゆっくり、聴く[Quiet,Slowdown,Listen]

ドリップコーヒーは茶道に通じる 世界的にはエスプレッソが主流なのに、なぜ日本ではドリップコーヒーが好まれるのか。ずっと疑問だったので、「茶道に通じる」と聞いて、ようやく長年のモヤモヤが晴れる。 ドリップコーヒーは、手作業で丁寧に淹れる。挽いた豆に、お湯を細く注ぐ。蒸らしながら、時間をかけて、抽出していく。 茶道も同様に、手作業で丁寧に点てる。碾茶を挽いた抹茶に、お湯を静かに注ぐ。茶筅でゆっくり混ぜて、お茶を点てる。 どちらも、飲むまでの動きに儀式的な要素を感じることが

面白い本・好きな本|生命と人生の深淵な物語[生命とは何か、なぜ生きるか、どう生きるか]

人の一生は、たったの4000週間 1年50週で、80年生きるとして4000週。簡単な計算なので、冷静に考えればすぐに答えは出てしまう。でも、「人の一生は何週間あると思う?」と聞かれて、パッと頭に思い浮かぶ数字は、1万とか10万とかもっと途方もない数字になってしまうはず、、 働く時間は人生のほんの12% こちらも体感として、まったく受け入れられない数字なんだけど、計算すると、やっぱりこうなってしまう。 仕事がうまくいかず悩んでいる人は、自分の人生のたった12%のことなの