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面白い本・好きな本|10000000000年の深淵な物語[宇宙、恐竜、生命、環境、文明]

歴史は10でできている

1の後ろにゼロを10個並べる。10,000,000,000、10billion、10ギガ、100億。資産100億円と聞くと、途方もない金額でもう別世界。100億再生となると、YouTubeでは2022年に史上初めて達成した動画が誕生し、音楽のストリーミングでは昨年にYOASOBI『夜に駆ける』が日本初のビリオン達成だったので、100億再生はもう少し先の話。

10billion=10Gなので、10GBとなると急に親近感が湧いてきて、スマホの月のデータ通信の話になり、100億%大丈夫!と言われれば、もう小学生の約束のようで,おそらく守られることは一生ない__

宇宙が誕生したのは約100億年前

それより前はなにもない。歴史は100億年でできている。たった10個のゼロで歴史ができているなんて案外呆気ないけど、そんなもん。

10,000,000,000年の深淵な物語

ゼロの数で歴史をみる

ゼロがひとつ減るごとに、歴史も大きく変わる。学校で習う世界史や日本史の細かなイベントは覚えきれない。もっと大きなスケールで流れを掴む。

ゼロの数が大きい時は物理学化学の話。ゼロがもっと減ると、地学考古学から生物学文化人類学へと移り変わる。さらにゼロが減ってくると、哲学宗教学、そして政治・経済学へ。

Powers of Ten

10000000000|宇宙誕生

138億年前のビックバンで宇宙が誕生し、インフレーションで急激に膨張し、今に至る

1000000000|地球誕生

46億年前に地球が生まれ、45億年前にジャイアントインパクトで月が生まれる

100000000|恐竜誕生

2億年前に恐竜が出現し、6000万年前に絶滅する

10000000|猿人誕生

アフリカ大陸で出現した初期の人類。アウストラロピテクスなど。

1000000|原人誕生

ホモ属のホモ・エレクトゥスなど。かつての北京原人やジャワ原人

100000|ヒト誕生

10万年前にホモ・サピエンスがアフリカから世界へ

10000|文明の誕生

氷河期が終わり、農耕、石器が使われ、エジプト、メソポタミア文明が現れる

1000|文化の誕生

宗教が生まれ、経済が生まれ、文化が生まれる

100|現代へ

産業革命を経て、現代社会へ

10|21世紀へ

IT革命を経て、今世紀中には中国とインドがGDP世界TOP2へ

歴史は10でできている

宇宙の誕生から恐竜の絶滅、化石に生物進化に、気候変動に人類史。物理学、生物学、化学、地学、文化人類学などなど縦横無尽に駆け巡る面白い本4選。


100億~1億年前|ダークマターと恐竜絶滅

宇宙の新理論で謎に迫る

宇宙論の話題になると必ず登場するダークマター。別名「暗黒物質」。宇宙論はとても好きなので、数えきれないほどの本を読んできたけど、恐竜絶滅とつなげて論理を展開するものには出会ったことがない。

これだけ聞くと、とんでも本のように思ってしまうけど、全然違う。ダークマターは宇宙に均質に広がるのではなく、円盤状に集まっていて、周期的に天の川銀河と重なることになる。その重なる周期と、地球に降り注ぐ隕石の数が飛躍的に増加する周期が一致することを見つけ出す。

ダークマターと銀河系が重なる時に、大きな重力が銀河系の星に影響を及ぼし、地球に隕石が降り注ぐ。読み始めたら、読み終わるまでもう止まらない、、


1億~100万年前|あなたの中の宇宙

生物の体に記された宇宙全史

宇宙の始まり、星の誕生、生命の誕生、と時系列に並べて宇宙と生き物をつなげて考えていく。

ビッグバンから始まり、まず水素が、そしてヘリウムが生まれ、物質・反物質の不均衡から物質が生じ、超新星の爆発から周期律表の鉄以降の元素が出来て、それが幾多の銀河を形成して、我々の身体ですらそれら超新星爆発由来であるという。

生物学と地学・天文学の意外なつながりを示すポピュラー・サイエンス。とっても面白い本。


100万~1万年前|チェンジング・ブルー

地球温暖化懐疑論には、まずはこの本を

本当に日本の書籍だよね?と、何度も確認したくなるほど、面白く、かつ説得力のある本。日本の科学ノンフィクションも捨てたものではない。

数千メートルの海底にある堆積物の採取方法、そして堆積物の酸素同位体の計測。そして、同位体の状況から数万年前の温度を突き止める。

地球の自転や公転、太陽と地球との関係、二酸化炭素との関係、深層水循環との関係などなど、あらゆる角度から地球の気候変動の謎に迫る。

地球温暖化懐疑論に対して、何か言う前にまずはこの本を読む。もうそれで十分。


1万~100年前|銃・病原菌・鉄

なぜ人類は5つの大陸で異なる発展を遂げたか

もう何も言うことはないほど、とっても有名な本。なぜ人類は五つの大陸で異なる発展をとげたのか。分子生物学から言語学に至るまでの最新の知見を編み上げて人類史の壮大な謎に挑む。

ピュリッツァー賞受賞作。少し前だと「危機と人類」という書籍もあるし、ユヴァル・ノア・ハラリの著書「サピエンス全史」も類似本で大きな話題にはなったけど、それよりも断然こちらがオススメ。

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