miumichimia | 旅と本と映画、そして建築も。

旅と本と映画。 建築もいいけど、生業なのでほどほどに。 ただ淡々と津々浦々を転々と。 …

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旅と本と映画。 建築もいいけど、生業なのでほどほどに。 ただ淡々と津々浦々を転々と。 堺→出雲→大阪の北摂。 子×3、犬×2。

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記事一覧

3つの好きな映画|音楽が、心震わせ、脳裏に焼きつく[キリエのうた、裸足になって、君が生きた証]

一番大切なことは、言葉にするのが一番難しい The most important things are the hardest things to say 宇多田ヒカルがスティーヴン・キングの言葉を借りて言ったこと。…

小さな旅・思い立つ旅|自然と共鳴する建築旅[安藤忠雄で兵庫縦断]

米 と 風 の 音 がすき といっても、秋風になびく稲穂のことではない。もちろん黄金に染まる稲穂が揺れる様はとても風流ではあるけれど、今回はちょっと違う。 米津玄師…

小さな旅・思い立つ旅|記憶に残る郷愁の原風景[大社旋風で沸いた甲子園]

秋 の 心 で 「愁」 お盆も終わり、二十四節気の「処暑」へ。激しい暑さの峠を越えて、朝の暑苦しい蝉の声から、夜の涼しげな虫の声に変わる頃。空は澄み、心地よい風は木…

面白い本・好きな本|アジアの辺境 未知を楽しむ読書旅[イラク水滸伝+アジア発酵紀行]

人生最期に食べたいものは? お寿司、焼肉、ステーキ、ラーメン。よく見かける質問で、ランキング上位は人気の料理が占めている。あとは、炊きたての白いご飯とか、お味噌…

面白い本・好きな本|読書で、酔って、迷って、彷徨って[本心、黄色い家、東京都同情塔]

読書で酔っ払う 本を読む。初めは本の内容が頭を巡り、本の世界に入り込む。ふと気づくと、本を読みながら別のことも考えている。気は散ってない。本の内容も頭に入ってき…

3つの好きな映画|たまにはジャケットで選んでみる?[芳醇なパリを味わう]

映画にも“ジャケ買い”はある もともとはレコードやCDを購入するときに、内容を全く知らない状態で、パッケージデザインの印象だけで購入することを言うと思うんだけど、…

3つの好きな映画|フランスの奥深いローカルへ[ブルターニュの古城、バスクの街道、アルプスの修道院]

音がないから、聴こえてくる 言葉がないから、見えてくる フランス・アルプスに佇むグランド・シャルトルーズ修道院。俗世間とは隔絶したこの地で、修道士たちは1日の大半…

小さな旅・思い立つ旅|余白と装飾を纏うアール・デコ[東京都庭園美術館、丸福楼、自由学園明日館]

余白と装飾 100がちょうどピッタリだとすると、余白は50とか30とか100よりも少ない状態。反対に、装飾は120とか150とか、100より多く足されている状態。 いいデザインと…

小さな旅・思い立つ旅|野生的で理性的 巨匠F.L.ライトの建築旅[帝国ホテル、山邑邸、自由学園明日館]

野生的な部分と理性的な部分 そのふたつが感性を通して一貫しており 嫌味のない品のよさ 米津玄師がKing Gnuの常田大希に対して言ったことなんだけど、すごくいい表現だな…

面白い本・好きな本|日本文化はしなやかに[能と俳句と弓術と]

おのずから と みずから おのずと、ひとりでに、なりゆきで。「おのずから」はそんな意味。対して「みずから」は、自分で、自発的に。おのずからは漢字で「自ずから」、み…

面白い本・好きな本|芸術の歴史は繰り返す[暇と退屈の倫理学、アナロジア、old is new]

ローカル マテリアル クラフトマン これからの100年、デザインの潮流はこの3つのキーワードがポイントかも?というひとりごと。 仕事がひと区切りつき、ゆとりが生まれた…

3つの好きな映画|道を辿り、風景を紡ぐロードムービー[コンパートメントNo.6、SOMEWHERE、セントラルステーション]

言葉にすること、考えること 自分が気になっていること、ぼんやり思っていること、曖昧なこと。そんなことを、きちんと言葉にしていきたいなぁ、と。ネットで調べれば答え…

3つの好きな映画|ベルギー発 アートを纏うファッションシーン[マルジェラ ドリス ラフ・シモンズ]

日本を代表するファッションデザイナーは? これはあまりばらつきなく、誰に聞いてもほぼ同じ。三宅一生、山本耀司、川久保玲。90年代のUNDERCOVER、A BATHING APE、00年…

小さな旅・思い立つ旅|食がつくる風景は美しい[水と暮らす、茶原郷、海に浮かぶ舟屋]

自然のリズムに寄り添う 日本では四季折々に変化する気温や湿度、特定の季節に吹く風などを活かし、食の生産を行ってきた。雨の多い平野ではあたり一面に田んぼが広がり、…

小さな旅・思い立つ旅|京都情景 階段に魅せられて[京都駅、京都市美術館、伏見桃山陵]

めくるめく階段の世界へ 階段の魅力はその見た目、用途、そして見る角度によって実に多彩な表情を見せてくれること。なにより、床・壁・天井といった平面的な要素とは違い…

面白い本・好きな本|発酵からみる経済・情報・文化人類学[風土に根ざす]

微生物にいい環境は、人間にもいい環境 発酵はとっても奥が深い。味噌、醤油、酢、納豆、ぬか漬け、パン、ヨーグルト、くさや、なれずし、鰹節、紅茶、、、海、山、川に離…

3つの好きな映画|音楽が、心震わせ、脳裏に焼きつく[キリエのうた、裸足になって、君が生きた証]

一番大切なことは、言葉にするのが一番難しい The most important things are the hardest things to say 宇多田ヒカルがスティーヴン・キングの言葉を借りて言ったこと。一番重要だと思っていること、大切なことは、なかなか言葉にできない。言葉はとっても難しい、と。 スピッツは、リズムパターンもコード進行も極限まで削ぎ落としている。少ない言葉で詩的に落とし込んでいる。でも、シンプルなのに単純ではない。ストレートなのに軽くない。複雑

小さな旅・思い立つ旅|自然と共鳴する建築旅[安藤忠雄で兵庫縦断]

米 と 風 の 音 がすき といっても、秋風になびく稲穂のことではない。もちろん黄金に染まる稲穂が揺れる様はとても風流ではあるけれど、今回はちょっと違う。 米津玄師 と 藤井風 今、日本の音楽を代表する2人といっても過言ではない。昨年、アメリカ・レコード協会(RIAA)から米津玄師の「KICK BACK」が日本語詞の楽曲として史上初のゴールド認定を受ける。そして今年、藤井風の「死ぬのがいいわ」が史上2人目の日本人としてゴールド認定となる。 徳島の米 と 岡山の風 V

小さな旅・思い立つ旅|記憶に残る郷愁の原風景[大社旋風で沸いた甲子園]

秋 の 心 で 「愁」 お盆も終わり、二十四節気の「処暑」へ。激しい暑さの峠を越えて、朝の暑苦しい蝉の声から、夜の涼しげな虫の声に変わる頃。空は澄み、心地よい風は木の葉や秋草をそよがせ、もの寂しく感じる秋の心を「愁(うれい)」と表す。とてもいい漢字。 郷愁の原風景はどんなところ? 生まれは堺。でも3歳までしか過ごしてないので全く記憶に残ってない。記憶にあるのは、4歳から過ごした出雲の風景のみ。なので、地元はどこ?と聞かれれば、いつも「出雲」と答えている。 地元を離れて

面白い本・好きな本|アジアの辺境 未知を楽しむ読書旅[イラク水滸伝+アジア発酵紀行]

人生最期に食べたいものは? お寿司、焼肉、ステーキ、ラーメン。よく見かける質問で、ランキング上位は人気の料理が占めている。あとは、炊きたての白いご飯とか、お味噌汁とか、家族の手料理とか、長く慣れ親しんだ味がランクイン。 じゃぁ自分はどうなんだ、と問われると 答えがない__ ないことはないんだけど、しっくりこない。ランキングの顔ぶれをみても、なにか違う気がする。長い間、ずっと模索中。そんな折、noteを徘徊していて不意に答えに出会ってしまう。 死ぬ最期まで、未知を楽しむ

面白い本・好きな本|読書で、酔って、迷って、彷徨って[本心、黄色い家、東京都同情塔]

読書で酔っ払う 本を読む。初めは本の内容が頭を巡り、本の世界に入り込む。ふと気づくと、本を読みながら別のことも考えている。気は散ってない。本の内容も頭に入ってきているのに、他のことも考えている。 脳がふたつに増えたみたい 何か考え事をしたいときに、一人静かなところで目を閉じても雑念が邪魔をする。そんなときは本を読む。本をきっかけに、思考の迷宮へ。読んで読んで酔っ払う。 酔って、迷って、彷徨って 外から見ればただ静かに読書をしている人なんだけど、頭の中は思考の旅人。ふ

3つの好きな映画|たまにはジャケットで選んでみる?[芳醇なパリを味わう]

映画にも“ジャケ買い”はある もともとはレコードやCDを購入するときに、内容を全く知らない状態で、パッケージデザインの印象だけで購入することを言うと思うんだけど、映画を見つけるときにもあるよね?という話。 以前に『シルエット』をテーマに書いたので、今回はオリンピック期間中ということで『パリ』。 ジャケットに想いを込める映画の内容を伝えるために2時間程度の映像を数分の映像にギュッと凝縮したものが予告編。さらに凝縮してひとつのビジュアルにまとめたものがジャケット。 と、い

3つの好きな映画|フランスの奥深いローカルへ[ブルターニュの古城、バスクの街道、アルプスの修道院]

音がないから、聴こえてくる 言葉がないから、見えてくる フランス・アルプスに佇むグランド・シャルトルーズ修道院。俗世間とは隔絶したこの地で、修道士たちは1日の大半をひとりで過ごす。仲間との会話が許されるのは、日曜日のたった数時間だけ。それ以外は一切の言葉を発することなく、沈黙を守る。 中世から現存する石造りの修道院で、ただ静かに黙々と祈りと学習に励む。聞こえてくるのは、人が動くときに発生するわずかな動作音。 山間に響き渡る鐘の音、風に揺れるカーテン 屋根から滴る雪解けの

小さな旅・思い立つ旅|余白と装飾を纏うアール・デコ[東京都庭園美術館、丸福楼、自由学園明日館]

余白と装飾 100がちょうどピッタリだとすると、余白は50とか30とか100よりも少ない状態。反対に、装飾は120とか150とか、100より多く足されている状態。 いいデザインとは何か? そんなことを考えると、ちょうど100はいいデザインになりえないのかなぁと。問題を解決するだけでは物足りない。合理的で不満をなくすだけでは味気ない。デザインは最適解ではないのかも。 余白が想像を掻き立てる 装飾が五感を魅了する 最適はつけ入る隙がない。正しいのかもしれないけど、楽しく

小さな旅・思い立つ旅|野生的で理性的 巨匠F.L.ライトの建築旅[帝国ホテル、山邑邸、自由学園明日館]

野生的な部分と理性的な部分 そのふたつが感性を通して一貫しており 嫌味のない品のよさ 米津玄師がKing Gnuの常田大希に対して言ったことなんだけど、すごくいい表現だなぁと。テレビでさらっと流れたときに、慌てて書き留めて、メモとして残していた言葉。 野生的と理性的、相反する意味を感性という表現で束ねて、最後に品で包み込む。コトバのチョイスも、テキスト化したときの語呂もよく、常田の魅力を一瞬で伝えながら、米津のコトバのセンスまで一瞬で伝わる凄さ。 フランク・ロイド・ライ

面白い本・好きな本|日本文化はしなやかに[能と俳句と弓術と]

おのずから と みずから おのずと、ひとりでに、なりゆきで。「おのずから」はそんな意味。対して「みずから」は、自分で、自発的に。おのずからは漢字で「自ずから」、みずからは「自ら」。どちらも同じ「自」なのに、意味は正反対。 自然という言葉は 自(おの)ずから 然(しか)らしむ 山、川、海。人の手が加わっていない、あるがままの状態。意思はなく、あるがままに、なるように。みずから為す ではなく おのずから成る。 動植物のひとつひとつに意思があったとしても、水、緑、空気、生命、

面白い本・好きな本|芸術の歴史は繰り返す[暇と退屈の倫理学、アナロジア、old is new]

ローカル マテリアル クラフトマン これからの100年、デザインの潮流はこの3つのキーワードがポイントかも?というひとりごと。 仕事がひと区切りつき、ゆとりが生まれた機会に、長年のもやもやを思い切って整理する。捉えどころのないデザインの歴史を、200年の大きな波として考える。 ゴシック、ルネサンス、バロック、アーツアンドクラフツ、デザインの大きな変遷が、社会的インパクトの後に醸成されている。これからの時代は、グローバルからローカルへ、デジタルからアナログへ、合理性から手仕

3つの好きな映画|道を辿り、風景を紡ぐロードムービー[コンパートメントNo.6、SOMEWHERE、セントラルステーション]

言葉にすること、考えること 自分が気になっていること、ぼんやり思っていること、曖昧なこと。そんなことを、きちんと言葉にしていきたいなぁ、と。ネットで調べれば答えが出てくることじゃなく、もっと捉えどころのない、ふわふわ漂っている、とっても感覚的なことを、見つけて、掴んで、言葉にする。 言葉にすることは、考えること 考えることは集中力もいるし、疲れるし、時間もいる。でも、その過程で生み出された言葉は、本やネットで見つけたものではなく、自分のもの。ひょっとしたら、何の役にも立

3つの好きな映画|ベルギー発 アートを纏うファッションシーン[マルジェラ ドリス ラフ・シモンズ]

日本を代表するファッションデザイナーは? これはあまりばらつきなく、誰に聞いてもほぼ同じ。三宅一生、山本耀司、川久保玲。90年代のUNDERCOVER、A BATHING APE、00年代以降のsacaiやkolorなどなど、いくつものブランドが世に登場しても、やっぱり原点はこの御三名。 ISSEY MIYAKE|イッセイミヤケ Yohji Yamamoto|ヨウジヤマモト COMME des GARCONS|コムデギャルソン では、ベルギーを代表する三名は? Dri

小さな旅・思い立つ旅|食がつくる風景は美しい[水と暮らす、茶原郷、海に浮かぶ舟屋]

自然のリズムに寄り添う 日本では四季折々に変化する気温や湿度、特定の季節に吹く風などを活かし、食の生産を行ってきた。雨の多い平野ではあたり一面に田んぼが広がり、波の穏やかな湾では舟屋が建ち並び、寒暖差の大きな丘陵地には茶畑が広がる。 自然の中に人の営みが関わることで、暮らしに合わせて自然が改変されていく。食がつくる風景は自然のリズムに寄り添いながら、維持・更新が繰り返されていく。長い年月の経過とともに、風土に根付いた風景がかたちづくられていく。 食がつくる風景は美しい

小さな旅・思い立つ旅|京都情景 階段に魅せられて[京都駅、京都市美術館、伏見桃山陵]

めくるめく階段の世界へ 階段の魅力はその見た目、用途、そして見る角度によって実に多彩な表情を見せてくれること。なにより、床・壁・天井といった平面的な要素とは違い、階段だけが立体的な造形で、まるでアート作品のよう。 ゆったりとした階段は昇る人を優雅な気分にさせ、機能的にコンパクトな階段は自然とキビキビとした動きにさせられる。 非日常の世界へ誘う階段があったり、圧倒的な大空間を演出する階段があったり、登り降りする人の動きを美しくみせる階段があったり、 ということで、GWも終

面白い本・好きな本|発酵からみる経済・情報・文化人類学[風土に根ざす]

微生物にいい環境は、人間にもいい環境 発酵はとっても奥が深い。味噌、醤油、酢、納豆、ぬか漬け、パン、ヨーグルト、くさや、なれずし、鰹節、紅茶、、、海、山、川に離島、人口わずか数千人の小さな村に、世界にも類例のない特殊な発酵文化が継承されていたり。 なぜ旅の目的地が発酵なのか? 醤油や味噌の醸造元、酒蔵、ワイナリー、ブルワリー。旅の目的地に発酵を選んでしまうことが少なくない。その理由がうまく言語化できていなかってけど、『日本発酵紀行』にその答えを見つける。 発酵に必要な