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みしか
2018年5月11日 22:40
例えば、コーヒーを飲み終えたカップに緑茶を注ぐとか、二人しかいないのにポットにたっぷりのお湯を沸かして一気にお茶を淹れてみたりだとか。彼女にはそういう大雑把なところがある。 だけど、正直彼女のそういうところは嫌いになれないし、というかむしろ好きだし。 すっかり冷めた緑茶をすすりながら、ペラペラと資料をめくる彼女の姿を眺める。大雑把なくせに片付いている部屋とか、笑うときは口元に手を添えると
2018年7月16日 21:06
「架恵~準備は?」「オッケー。未幸は?」「こっちもオッケー。今日は蜂蜜の香り。昨日、うちの運送してくれているお兄さんがくれたやつ。そっちは?」「ハッピーの香り」「……なにそれ」「ん?ハッピーよ、ハッピー。知らないの?ハッピー」 薄く緑に色づいたお湯にそっと足を入れる。ちょうどいい湯加減に小さくガッツポーズを決めて身体を滑り込ませた。ふわっと甘ったるい香りが鼻をくすぐる。「知ってる
2018年8月27日 23:55
宮本先生はいつも優しい。身体は細いくせに、笑い声は大きくて、若い先生が珍しいうちの高校では女子に人気だ。「瀬戸、寝るな」 注意する声すらも優しい。数学は嫌いだけれど、宮本先生の授業は好き。分かりやすくて、点検されたノートには可愛いスタンプとコメントが添えられている。私のノートに押されるスタンプはいつも「がんばりましょう」。猫が旗を振っていて、私にエールを送ってくれている。『瀬戸ならもっと