菊池操 | アマヤドリ

一般社団法人アマヤドリ 代表理事 菊池操。 写真家やどかりみさお。 保健室の先生として…

菊池操 | アマヤドリ

一般社団法人アマヤドリ 代表理事 菊池操。 写真家やどかりみさお。 保健室の先生として小学校から高校まで。 18歳を超えた若者が対象となる支援制度がほとんどない「支援の空白」を通感し、若者のサポートをするためアマヤドリを設立。lit.link/yadokarimisao

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  • 「やどかり保健室」

    あなただけの保健室のように、好きな時に遊びにきてください。

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    日々、感じていること、思っていること、これからのことを徒然と。

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    「すべての人が生き方を自分で選択できる世界を」をビジョンに活動している「アマヤドリ」を立ち上げました。 なんらかの理由で家庭からのサポートや帰る家を失った18歳からの女性のための家、ステップハウス「アマヤドリ」をつくっています。 人生には雨も降る。そんな時は一緒に雨宿りをしよう。雨が上がったその時は、自分で決めた未来に歩き出せるよ。

  • 母と娘。子育て日記。

最近の記事

優しさじゃないよ。

とても好きな人がいる。 彼女は素敵な人で、憧れるところがたくさんある。 何より、彼女の優しさに、私は何度も救われている。 そう言えば、私は彼女と2人でお茶やランチをしたこともまだない。 そんな私にも、彼女はいつも、とても優しい。 彼女とは、子ども同士が同じ学校に通う、いわゆる「ママ友」だ。 初めて会ったのは、入学式の時。 保護会の時、私は、初対面の保護者の方々の輪に入るのに緊張して、まごまごしていた。 ちょっと離れたところにいた私に、話しかけてくれたのは彼女だった。

    • 今日 食べるものを選ぼう 今日 着たい服を選ぼう

      「誰かに、話を聞いてほしい。 誰かに、助けてほしい。 でも、誰にも言えない。 誰にも、相談できない。」 そんな気持ちで、孤独な夜を過ごすことはありますか? あなたが辛い気持ちの時や、孤独な気持ちの時にも、 触れてもらえるものを届けたい。 触れた後、未来を感じられるものを届けたい。 このnoteは、そんな思いでつくった、ある曲のお話です。 私は現在、若者のサポートをする団体の代表をしています。 若者からの相談にのり、これからのことについて一緒に考えたり、 住まいを

      • さようならのかわりに

        ここはちょっとめずらしい家。 名前は「アマヤドリ」 18歳から20代の若者の家。 家庭を頼ることができない、行き場がない子のための家。 私たちは、若者が、このお家に住んで、癒され、力をつけ、別の住む場所を見つけて引越していくまでのを期間を、「アマヤドリ」そう呼んでいます。 家庭を頼ることができない理由はそれぞれ。 暴力があったり、 無視や暴言で居場所がない家庭で我慢し続けたり、 我慢の限界がきて家出をして転々と彷徨ったり、 追い詰められて心を病んでしまったり。 人生

        • 死と同じように避けられないものがある

          喜劇王と呼ばれた映画監督、俳優であるチャーリーチャップリンの言葉です。 どんなに生きたいと願っても、避けられない死がある。 どんなに死にたいと願っても、どうか明日の朝は目覚めませんようにと願っても、続く生命がある。 一般社団法人アマヤドリに相談をくれる孤立している若者たちが感じているのは、圧倒的に後者です。 それほど、生きるということは若者にとってしんどく辛いことなのです。 しかし、生きることは、平等に与えられ避けられないものだとも、若者は通感しています。 だから

        優しさじゃないよ。

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        • 【a story of family】撮影日記
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        記事

          ハタチを撮り続けて感じた、大人とは何か

          8年前の冬にはじまった「ハタチのポートレート 」プロジェクト。 その年に20歳になる人たちだけをただひたすら取り撮り続けました。 この8年の間に、成人年齢は20歳から18歳に引き下げられました。 かつて20歳だったあの子もあの子も歳を重ねました。 私は今もハタチを追いつづけて、子どもと大人の境界線のようなものを探し続けていて、今も変わらず答えを探しています。 変化するものと、変わらないもの。 大人ってなんだろう。 手探りの毎日の中で、少しだけわかったことは、「大人

          ハタチを撮り続けて感じた、大人とは何か

          私の中の8匹の猫 2022

          2022年最後の夕陽が沈み、今年最後の夜がやってきた。 と言っても、数時間後には先ほど沈んだ太陽がまた昇るのだけれど、少しだけ丁寧に今年を振り返りたくなる気持ちが良い夜だ。 緩やかに広大につながるご縁に感謝した年だった。 同時に、自分の感情がストレッチのように大きく動く年でもあった。まるで私の中に違う生き物が住んでいるみたいに。 それぞれが距離があるようでいて調和していて、猫みたいだなって思っていた。 私の中にいた8つの感情の猫を、順番に撫でながら、2022年を振り

          私の中の8匹の猫 2022

          苦手だったあの日にも、カーネーションを。

          母の日が苦手だった。 母に心からの感謝を伝えられない、自分への罪悪感。 母に心からの感謝を贈る友人への、うらやましさ。 欲しくない感情が入り混じる、そんな日だから。 母娘関係が劣悪だったと言えば嘘になるかもしれない。 私は母を好きだったし、母を悲しませたくはないし、喜ばせたいと思っていた。 一方で、 話がしたい。 受け止めてほしい。 受け入れてほしい。 無条件に愛されたい。 そんな気持ちで溢れていた。 叩かれたり、怒鳴られたりするたびに、 私が母にしてあげたいこ

          苦手だったあの日にも、カーネーションを。

          日本で一番贅沢な花束

          海と山の街、横須賀。 異国情緒漂う、その街の片隅で、女4人の共同生活。 「シェアハウス」というと、今風でおしゃれに聞こえるかもしれない。 でも、「駆け込み寺に住んでいる」と言ったほうが、私たちの生活には近いような気がする。 私たちは、それぞれ事情があり、どこにも行くところがなかった。 ここ、「アマヤドリ」以外には。 朝、窓を開けた。 廊下に吹き込んだ風は、金木犀の香りがした。 庭の木の葉が、ほのかに色づいている。 あ、柿がなっている。あれは渋いのかな。 今日は10月

          日本で一番贅沢な花束

          人生の雨にも、思い出を。

          あなたの人生で、雨が降っていたことはありますか? 人生の雨。 変えたくても変えられない辛い環境だった時。 もしかしたら過去にあったかもしれないし、もしかしたら今がそうなのかもしれません。 今日は、私の人生に雨が降っていた時の話をさせてください。 学校に行く。上履きが無い。今日も隠されてしまった。 来客用のスリッパを借りて、教室へ行く。 感情はない。 ただ、「大きいな。」と思っていたことを覚えている。 教室にいく。 ガヤガヤと騒がしいはずなのに。私の小さな「おはよう。

          人生の雨にも、思い出を。

          そのタスキをつなぐために、今日も私は。

          働くこと=稼ぐこと だと思っていた。 教員をやめて写真家を始めた時に、収入が一気に下がった。お金を稼ぐことが働くことだと思っていた私は、「働いているのではなくて好きなことをしているだけなのだ。写真は趣味みたいなものなのだ。」と自分を卑下していた。 2020年12月。 社会的養護の対象外で、国からの支援が乏しい18歳以上の女性をサポートする事業を行う非営利法人を立ち上げた。 6年間の公務員を経て、 6年間フリーランスをし、 このたび経営者となった。 働いている時間はきれ

          そのタスキをつなぐために、今日も私は。

          写真家が、「家」はじめます。

          きっかけは、質問箱にもらった一通の手紙だった。 「何もをするにもやる気がおきません。」という書き出しの長い手紙。 私は、noteで返事を書いた。 それを読んでくれた彼女からDMをもらって、電話をするようになって、会って話をするようになった。 彼女にはたくさんの悩みがあったからだ。 体調のこと、心のこと、人間関係のこと、そして住まいのこと。 彼女は家出中だった。 そこからの彼女と私は、結構忙しかった。 電話での作戦会議。 ラインでの状況報告。 内科と精神科の受診。 関

          写真家が、「家」はじめます。

          精神疾患が我が子に遺伝するかもしれない心配について

          やどかり保健室、久しぶりのオープンです。 ぜひ、ゆっくりしていってくださいね。 すごく丁寧で、 優しくて、 繊細で、 心のこもったお手紙を、どうもありがとうございます。 お返事にずいぶん時間をいただいてしまいました。 待っていてくれましたよね。 こうやって返事を読んでくださり、ありがとうございます。 実は、同時期に、 精神疾患の遺伝的素因をもっているかもしれないので子どもをもつことに悩む「患者さんの子」である方からと、 精神疾患をもっていることで、二人目のこどもを持

          精神疾患が我が子に遺伝するかもしれない心配について

          保健室の先生だった私がシャッターを切る理由

          私たちが出会ったのは、あの子がまだ10代のころ。 今から5年前。 私は6年勤めた保健室の先生という仕事を辞めて、写真をぽつりぽつりと撮りはじめていた。 そんな私に、あの子は写真を撮らせてくれた。 生まれて初めて開催した写真展にも、彼氏といっしょに来てくれた。 成人式の写真を頼まれた時は、すごく嬉しかった。 時が流れて。 私は写真家として独立して、お仕事をもらったり、賞をもらったりしながらも、まだどこかで保健室の先生という仕事に未練があった。 写真は大好きで、写

          保健室の先生だった私がシャッターを切る理由

          これからの日本が不安な、あなたへの返事。

          私のポストには、たまに手紙が届く。 それをじっくり読ませてもらうのが、私の、とっておきの時間だ。 今日は、そのうちの一通にお返事を書くつもりだ。 お手紙ありがとう。 都知事選を今週末に控えて、質問者さんは自分なりに政治について、東京の未来について考えていらっしゃるのですね。 私は都民ではないので投票権はありませんが、今回の都知事選を注意深く見ていきたい気持ちです。 しかし、学生の頃から政治に興味があったかどうか、友人と話したかどうかと問われれば、恥ずかしながら答えはNO

          これからの日本が不安な、あなたへの返事。

          短所はもしかしたら、あなたの素敵なところかもしれない。

          思わず目をそらす夏の眩しい光も、 優しくキラキラと光る木漏れ日も、 いつまでも見つめていたくなるような夕焼けも、 好きだ。 そして、 個々様々な光が映し出す、影が、好きだ。 光と影は常に一緒に現れる。 気がついていなくても、そこにある。 どちらかだけが、見えてしまうことがあっても。 よかったら、今日は一緒に、見つめてみませんか? 普段見ていない方を。 先日、質問箱にこんなお手紙をいただきました。 お手紙、ありがとうございます。 雑、ガサツ、めんどくさがりと言われる

          短所はもしかしたら、あなたの素敵なところかもしれない。

          いい文はいい人と共に

          キナリ杯、惨敗。   キナリ杯とは作家の岸田奈美さん主催の文章のコンテストだ。昨日が結果発表だった。 一夜明け、どうしようもなく書きたい気分になりパソコンを開いた。 書いては消し。書いては消し。 デリートした言葉は世界からは消えても、私の中からは消えない。 いくら書いて消しても、いじけたひがみの気持ちが残っている気がして、嫌になる。 私には、コンテストに落選した時、作品がなかなか届かなくて少し落ち込んだ時によく聴いている曲がある。 そう、ちょうどこんな気分の時に、いつも聴

          いい文はいい人と共に