やどかりみさお|菊池操

写真家やどかりみさお 一般社団法人アマヤドリ代表理事 菊池操 lit.link/yadokarimisao

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    写真家が、「家」はじめます。

    きっかけは、質問箱にもらった一通の手紙だった。 「何もをするにもやる気がおきません。」という書き出しの長い手紙。 私は、noteで返事を書いた。 それを読んでくれた彼女からDMをもらって、電話をするようになって、会って話をするようになった。 彼女にはたくさんの悩みがあったからだ。 体調のこと、心のこと、人間関係のこと、そして住まいのこと。 彼女は家出中だった。 そこからの私たちは、結構忙しかった。 電話での作戦会議。 ラインでの状況報告。 内科と精神科の受診。 関係

      • 私の中の8匹の猫 2022

        2022年最後の夕陽が沈み、今年最後の夜がやってきた。 と言っても、数時間後には先ほど沈んだ太陽がまた昇るのだけれど、少しだけ丁寧に今年を振り返りたくなる気持ちが良い夜だ。 緩やかに広大につながるご縁に感謝した年だった。 同時に、自分の感情がストレッチのように大きく動く年でもあった。まるで私の中に違う生き物が住んでいるみたいに。 それぞれが距離があるようでいて調和していて、猫みたいだなって思っていた。 私の中にいた8つの感情の猫を、順番に撫でながら、2022年を振り

        • 苦手だったあの日にも、カーネーションを。

          母の日が苦手だった。 母に心からの感謝を伝えられない、自分への罪悪感。 母に心からの感謝を贈る友人への、うらやましさ。 欲しくない感情が入り混じる、そんな日だから。 母娘関係が劣悪だったと言えば嘘になるかもしれない。 私は母を好きだったし、母を悲しませたくはないし、喜ばせたいと思っていた。 一方で、 話がしたい。 受け止めてほしい。 受け入れてほしい。 無条件に愛されたい。 そんな気持ちで溢れていた。 叩かれたり、怒鳴られたりするたびに、 私が母にしてあげたいこ

          • 日本で一番贅沢な花束

            海と山の街、横須賀。 異国情緒漂う、その街の片隅で、女4人の共同生活。 「シェアハウス」というと、今風でおしゃれに聞こえるかもしれない。 でも、「駆け込み寺に住んでいる」と言ったほうが、私たちの生活には近いような気がする。 私たちは、それぞれ事情があり、どこにも行くところがなかった。 ここ、「アマヤドリ」以外には。 朝、窓を開けた。 廊下に吹き込んだ風は、金木犀の香りがした。 庭の木の葉が、ほのかに色づいている。 あ、柿がなっている。あれは渋いのかな。 今日は10月

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          • 母と娘。子育て日記。
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          • 【a story of family】撮影日記
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            人生の雨にも、思い出を。

            あなたの人生で、雨が降っていたことはありますか? 人生の雨。 変えたくても変えられない辛い環境だった時。 もしかしたら過去にあったかもしれないし、もしかしたら今がそうなのかもしれません。 今日は、私の人生に雨が降っていた時の話をさせてください。 学校に行く。上履きが無い。今日も隠されてしまった。 来客用のスリッパを借りて、教室へ行く。 感情はない。 ただ、「大きいな。」と思っていたことを覚えている。 教室にいく。 ガヤガヤと騒がしいはずなのに。私の小さな「おはよう。

            そのタスキをつなぐために、今日も私は。

            働くこと=稼ぐこと だと思っていた。 教員をやめて写真家を始めた時に、収入が一気に下がった。お金を稼ぐことが働くことだと思っていた私は、「働いているのではなくて好きなことをしているだけなのだ。写真は趣味みたいなものなのだ。」と自分を卑下していた。 2020年12月。 社会的養護の対象外で、国からの支援が乏しい18歳以上の女性をサポートする事業を行う非営利法人を立ち上げた。 6年間の公務員を経て、 6年間フリーランスをし、 このたび経営者となった。 働いている時間はきれ

            精神疾患が我が子に遺伝するかもしれない心配について

            やどかり保健室、久しぶりのオープンです。 ぜひ、ゆっくりしていってくださいね。 すごく丁寧で、 優しくて、 繊細で、 心のこもったお手紙を、どうもありがとうございます。 お返事にずいぶん時間をいただいてしまいました。 待っていてくれましたよね。 こうやって返事を読んでくださり、ありがとうございます。 実は、同時期に、 精神疾患の遺伝的素因をもっているかもしれないので子どもをもつことに悩む「患者さんの子」である方からと、 精神疾患をもっていることで、二人目のこどもを持

            保健室の先生だった私がシャッターを切る理由

            私たちが出会ったのは、あの子がまだ10代のころ。 今から5年前。 私は6年勤めた保健室の先生という仕事を辞めて、写真をぽつりぽつりと撮りはじめていた。 そんな私に、あの子は写真を撮らせてくれた。 生まれて初めて開催した写真展にも、彼氏といっしょに来てくれた。 成人式の写真を頼まれた時は、すごく嬉しかった。 時が流れて。 私は写真家として独立して、お仕事をもらったり、賞をもらったりしながらも、まだどこかで保健室の先生という仕事に未練があった。 写真は大好きで、写

            「僕は賢い人間じゃない。でも、愛が何かは知ってるよ。」

            不自由なことは増えたけれど、最近の方がゆたかさを感じるのはなぜだろうか。 今日は雨が降ったり止んだりしている。 どうせ外出自粛だし、子どもたちもスヤスヤ寝ているし、急ぐ用事は何もない。 寝ている赤ん坊の隣に、私もごろんと転がった。 額をかすめるひんやりとした風が、気持ちいい。 お腹がいっぱいで、かすかに眠たい。 赤ん坊の頭から、お日様のような匂いがする。 心地よさに包まれた午後。 なんてゆたかな時間だろうか。 私にとっての、ゆたかさ。 『フォレスト・ガン

            「忘れていいよ。」 5分間の記憶の旅

            アルツハイマー病の祖母と、物心つく前のひ孫。 違う方向へ向かう二つの曲線が交わる、ほんのひと時のこと。 二人が過ごした時間はどこに残るのだろう。 忘れる二人。 でも大丈夫、忘れていいよ。 私と写真が、覚えておくから。  この作品は、ごくごく個人的な思い出を題材としたものです。 しかし、観てくださった方の中にある大切な人との思い出にノックしてくれるような、そんな気がしています。 では、いってらっしゃい。 5分間の記憶の旅へ。 *今回、動画作品をつくるにあたり、作曲

            ツバメと娘が教えてくれた、生きるということ

            今年もツバメが巣を作った。 我が家の玄関を出ると、ツバメの夫婦に会うことができる。 卵はまだ孵っていないようだ。 可愛い雛に会えるのを、6歳の娘は楽しみにしている。 去年のことだ。 我が家の向かいのお家にツバメが巣を作ったことを、娘は、それはそれは喜んだ。 毎日ツバメに挨拶をし、 幼稚園では先生に自慢し、 雛が生まれたときなんて飛び上がっていた。 毎日せっせと餌を運ぶ親ツバメ。 毎日大きな口を開けて待つ雛。 毎日それをニコニコと見る娘。 そんな折、第二子妊娠中だった

            「メンヘラ」という言葉にモヤモヤする理由を考えてみたら愛だった話。

            あなたは、誰かに「メンヘラ」と呼ばれたことがあるだろうか。 私にはある。 はっきりと「メンヘラ」と言われた経験が。 何度かデートしていい感じになった男性に、ちょっとしたおもしろ話のつもりで自分の話をした時だった。 彼は明らかにドン引きした表情で、 「それってメンヘラじゃん。俺メンヘラ無理なんだよね。」と言ったのだ。 今振り返ると、確かに、私にメンヘラっぽさがあったことは否めない。 彼氏からメールが返ってこないと鬼電して着信履歴をいっぱいに埋め尽くしたし、 彼

            5歳の娘と「性」について学んだ日のこと。

            「3歳頃になったら娘に性教育をしよう。」 かねてからずっと、そう思っていたのには理由があります。 私はかつて養護教諭(保健室の先生)をしていました。子どもが直面している様々な性に関する問題が、保健室には集います。 思春期における体と心の変化  性自認・LGBTに関すること 性犯罪被害 望まない妊娠・中絶・性感染症 文部科学省が定めた学習指導要領では、性教育は小学校4年生の保健の授業ではじめに行われることになっています。 私は、性犯罪については低年齢の被害者が多

            「二度とその言葉を使うな!」と言った恩師の話。

            大学3年の春。   入ったばかりの研究室の指導教官に、初めに言われた言葉は、「二度とその言葉を使うんじゃない!」だった。 ****** 外には、冷たい雨が降っている。春の大雨。  こんな日には、私は決まって、彼のことを思い出す。 私が所属していた学科では、大学3年生の時に、研究室(いわゆるゼミ)に入ることになっていた。   研究室訪問では、大本命だった精神科医の教官のところへ行った。   そこで教官に、「君は、僕のところではなくて、違う研究室に行った方がいいと思います

            緊急事態から考える、「回復じかん」の過ごし方

            こんなに家の中に閉じ籠っていたのは、あの時以来だ。   そうだ。 ちょうど、10年前の、今と同じ季節だった。 ある朝目が覚めると、体が鉛のように重く、起き上がることができなかった。 夫に助けを求めようとすると、声が出なかった。 異変に気付いた夫に話しかけられても、ただただ涙を流すことで精一杯で、布団の中で泣いていた。 鬱だった。 こうして、約2年に及ぶ鬱期が幕を開けた。 もともと双極性障害と診断されていた私だったが、ここまで酷い鬱状態を経験するのは、初めて

            精神疾患もちの私が、親になる上で気をつけていること

            「精神疾患のあるものは親になるべきなのだろうか。」  「精神疾患をもつ親の元に生まれた子どもは壮絶な生活を送る。」 そんな言葉を耳にしたことはありますか? きっと、この言葉を耳にしたことがあったり、心に残っている方は、「精神疾患」や「精神疾患をもつ親」というワードに対してのアンテナが鋭くなっている方だと思います。 医療や福祉関係者の方もいらっしゃると思いますが、当事者の方が多いのではないでしょうか。 私も当事者です。精神疾患をもちながら、子育てをして