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そのタスキをつなぐために、今日も私は。

働くこと=稼ぐこと だと思っていた。

教員をやめて写真家を始めた時に、収入が一気に下がった。お金を稼ぐことが働くことだと思っていた私は、「働いているのではなくて好きなことをしているだけなのだ。写真は趣味みたいなものなのだ。」と自分を卑下していた。

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2020年12月。
社会的養護の対象外で、国からの支援が乏しい18歳以上の女性をサポートする事業を行う非営利法人を立ち上げた。

6年間の公務員を経て、
6年間フリーランスをし、
このたび経営者となった。

働いている時間はきれいな放物線を描くように増えていく一方、収入は世にもきれいな放物線を描いて下がっていく不思議。

まだ、働く=稼ぐことだと思っていた私は、自分のことをどこかで否定していた。

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そんな中でも、昼夜問わず奔走し立ち上げた事業。最大の柱はステップハウス設立だ。

ステップハウスとは、聞きなれない言葉だと思う。何らかの理由で家庭からのサポートや帰る場所を失った18歳以上の女性の自立をサポートする家が、私たちがつくるステップハウスだ。

ステップハウスを立ち上げようと思った理由は、生きる希望を失っていた若者が、シェアハウスに入居したことをきっかけにみるみる輝きだす姿をみたことがきっかけだ。

そのシェアハウスの名はアオイエ。

私に相談をくれた女性と見学に行った際、代表の坂元裕星さん自ら足を運んでくれ、話を聞いてくれた。
帰りは駅まで私たちを送ってくれて、私の話まで聞いてくれた。

いつか「家」をつくりたいと、ずっと思っていた私は、坂元さんと話しているうちに、「いつがじゃなくて、今やろう!」と思うようになった。

駅までの10分の道のりが私の人生と、アマヤドリの未来を動かした。

そこからは物件を探し、
チームを法人化し、
あれよあれよと一般社団法人になり物件契約をした。

そのことを坂元さんに報告したら、返ってきた返信が、
「家電や家具送りますよ!」
だった。

え?
と思っていたらすかさず追加がきて、

「無償でお譲りしますよ!」
と書かれていた。

え?え?


こんなありがたいことってあるのだろうかと、目を疑った。

私たちは赤字スタートの事業だ。
坂元さんのお言葉が本当に、本当にありがたかった。

そして、冷蔵庫、洗濯機、ベッド、ソファ、電子レンジなどが、アオイエからアマヤドリにやってきた。

がらんとしたアマヤドリが、一気にここで安心して生活できる感であふれた。

冷蔵庫をなでながら、アオイエの歴史を感じていた。この冷蔵庫を何人もの人が使い、ご飯を食べて、それぞれの生活を送っていたんだなぁと思い、しばらくなでていた。

アマヤドリは、
女性たちからの相談を受け取り、
アオイエの歴史を受け継ぐことで、
はじまった。

そして、これからも多くの方々からの多大なご縁と御心を受け取り、受け継いでいく。

とても誇らしく、そして背負う責任で身が引き締まる思いだ。

いつしか、私の中から、稼いでいない自分を卑下する気持ちがなくなっていた。

もちろん、事業を継続させる上で、収益を得ることは不可欠だと承知だ。

ただ、私個人として考えると、生活できる最小限の収入を家族というチームで生み出せれば、それ以上求めてはいないのだ。

働く=稼ぐこと
という考えから、

働く=タスキをつなぐこと
という考えに、いつの間にか変わっていた。

昔の自分から受け取ったタスキ。
私に相談してくれた女性たちからのタスキ。
これまで女性たちをサポートしてきてくれた学校や機関からの支援のタスキ。
アマヤドリに同じ志を感じ支援してくたさる方々からのタスキ。
毎日のように届く女性たちからのSOSのタスキ。
全て、受け取り、アマヤドリの仲間とともに、つないでいきたい。

タスキをつないでいくことで、いただいた御恩を返していきたい。

働くとは、タスキをつなぐこと。
今日も私は、働いている。

いただいたサポートは、18歳からの女性のためのステップハウス「アマヤドリ」の運営資金にさせていただきます。