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足元に眠る生き物、生きる生き物


2024年3月9日(土)

感謝の日らしい。
「サンキュー」ということで。
これを書きながら思い返していたら、特に感謝を伝えられる場面も無かった気がして残念だ。

歩いていると、酔っぱらいが残したと思われる吐瀉物を食べているハトがいた。
都市の中では何度か見かけたことのある光景だ。
切なくなる。
鳥側を支持する立場なので、吐いたヤツに鳥が吐いたものを食わせたくなる。

ICCに「坂本龍一トリビュート展 音楽/アート/メディア」を見に行く。
案内役の女性に「当日券・・・」と告げると、「当日券、もちろんです!ご購入頂けます!」と、めちゃくちゃ明るく答えてくれた。
気持ちが良い。
やっぱその場で最初に会う人の印象って大事だよなぁと思う。

千葉県立現代産業科学館でやってる「いちかわ芸術祭」に行く。
渡辺志桜里さんの作品目当てで行ったけど、他の方の作品も面白かった。
あと、科学館って久しぶりに行ったけど、面白いなぁ。
常設の展示は全然見れなかったので、またゆっくり行きたい。

東京都現代美術館に「豊嶋康子 発生法──天地左右の裏表」を見に行く。
良いって話を聞いてたけど、マヂでスゴかった。
豊嶋ワールドが出来上がってたなぁ。

豊嶋さんが釣り雑誌に載ってた作り方を見て作った、へらぶな釣り用の浮きが展示されていた。
子どもの頃、毎日のように釣りをしていて、同じような浮きをいつも使ってたから、今こうしてそれを作品として美術館で見るのは、不思議で、面白かった。
人生は思いがけず、どこかとどこかが繋がるものだなぁ。
面白い。

あと、豊嶋さんの子ども時代の成績表を並べた作品があったんだけど、考えてみたら他人の成績表をちゃんと見たのって多分初めてで、面白くてガン見してしまった。
高校の美術の成績が5段階中2でも東京芸大の油画受かるんだなぁ。

作品の解説文も豊嶋さん自身が書いてるんだけども、豊嶋さんの文章は、作品と同じように伝えたいことがシンプルで明瞭で、とても分かりやすい。
好きだ。
歳が近くて、同じようにコンセプチュアルな立体作品を作り、ほぼ同じタイミングで個展をしていた白井美穂さん(府中市美術館での「白井美穂 森の空き地」)の解説文がめっちゃ難解だったのとは対照的だ。
作品も、白井さんの方が想像を膨らませて思考することが必要な気がする。

カップルが展示室のスイッチみたいなのを見ながら「これも作品?分かんなくなってきた」と言っていた。
現代美術の展示で、どこまでが作品なのか分からなくなる感じは好きだ。

チケットが1枚余ったから、研究室に来ている、美術に興味があるけれどもまだ2回した美術館に行ったことがないという1年生にあげたんだけども、彼は楽しめただろうか。
現代美術見たことないって言ってたから、刺激強過ぎだっただろうか。
感想が楽しみだ。

夜は無料プレゼントで頂いたチケットで、バスケの試合を観に行った。
東京ユナイテッドBCとさいたまブロンコスの試合だ。
会場は有明アリーナで、なんとなく響きが似ている気がするからアリアナ・グランデの歌を聞きながら向かった。

バスケの試合って初めて生で見たけど、面白いなぁ。
これ、チームを応援してて、勝つか負けるかギリギリの試合だったらめっちゃ興奮するんだろうな。
この前のワールドカップの日本代表の試合とか、現地はヤバかったことだろう。
また見に行きたい。

スラムダンクに合わせて、10-FEETの「第ゼロ感」とBAADの「君が好きだと叫びたい」を聞きながら帰った。
有明アリーナは見やすくて、建築もカッコ良くて、とても良かった。
周りは豊洲とか晴海とかの埋立地だ。
タワマンが建ち並んでいて、夜空高く、窓の明かりが輝く光景は綺麗だけども、どこか非人間的で奇妙だ。
スーパーには高いビールやワインが並んでいて、所得水準が高いんだろうなと想像する。

その埋立地の上を歩きながら、昔はここも東京湾の海で、色んな生き物がいたんだろうなぁと思いを馳せる。
この土地が作られるのにどれだけの生き物が死に、この足元に眠ってるんだろうかと思う。

なんか歩いてる時はそんなネガティブなことを考えていたけど、一方で、今もそこに生きる生き物は確かにいる訳で、その生き物たちにもちゃんと目を向けたいなと、書きながら思った。
次は悲観せず、その水面をしっかり見て、想像したい。

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