見出し画像

多摩美術大学 TCL Day7 Day8

毎週のTCL講義ですが、いよいよ後半戦になります。

画像3


Day7 AM

7日目の午前は、Takram 田川欣哉さんのデザイン経営実践の講義。

画像1

もともとはソニーでインターンをしていたときに、エンジニアリングとデザインの分業が進んでいることにショックを受けて、入社をやめたのだとか・・!

エンジニア×デザインを模索しつつ、10年は回答を出さないようにしようとして、知らないところだからジャンプしてみようとしたりして、今現在に至っているのだとか(すごすぎますね)

田川さん率いるTakramは、世の中で証明されていないもの中心で、新しいことだけやることを軸にしているとのことです。

手掛けるプロジェクトは、ロゴやフォントが変わる変遷のビデオまで用意されているところなど、細部まで凝っていて素敵です。


▼メルカリ フルブランドのリニューアル

画像4

ロゴやフォントなど、たしかに以前と変わっていました!(かわいらしくなっていますね)


▼ISSEY MIYAKEホリデーシーズンプレゼント

小物を買うときに、手紙も一緒に書くよう設計されたギフト。


▼清水エスパルス ブランドリニューアル

ブランディングローンチのときに作成したHP

こちらは、田川さんがここ1,2年すごく注力されたプロジェクトらしく、ファンコミュニティを巻き込みながら、進めていったとのことです。
そうすることで、オーナーシップ→作り手になり、丁寧に会話をすることによってブランドのロイヤリティもあげることができるとのこと。

60人ぐらいにインタビューし、プロトタイプをHPにのせ、ファンたちの反応を見て、さらに修正を重ねて実際にリリースされたとのことでした。

様々なステークホルダーと対話するだけでなく、検討中の段階でのHPもつくり、サッカーを愛する人々が、この変更を受け入れやすいように徹底的に配慮されていると感じました。

ユーザーインタビューのポイントは、ユーザー中心より一歩深く。
人にとりつく、その人のきもちになりきる、憑依することを大切にしていて、そこに時間を使うらしいです。たくさんインタビューしていると50人ぐらい過ぎたあたりから、何を言うのかがわかるようになってくるのとのこと。

最近、コンテクストデザインのプロジェクトも行っているらしく、デザインしないデザインだったり、文脈によって変わるデザインを教えてもらいました。

▼一冊しか売らない銀座の森岡書店

森岡書店は、一冊だけの書店です。
一冊だからこそ、解釈はより深く。
森岡書店は、一室の小さな書店です。
一室だからこそ、対話はより密に。
一冊、一室。
森岡書店。


そして、UXの歴史は、モジュールで理解すると分かりやすいとのこと。
1850~機能・性能 便利 
1990~ユーザビリティ 使いやすい 
2000~ユーザー体験 使って楽しい、嬉しい軸 
ex)Apple スマホのUXだけでなく、店舗、箱すべてにおいて体験をコントロールしている 
2015~ 意義 使っていることに軸を感じる Visionへの共感が大事

現代は、Visionへの共感で人が動くようになってきているようですが、それには性能や、使い勝手、ユーザー体験やデザインが美しいことが前提であって、一からブランドを作っていく人にすると、全部網羅しないといけなくて大変だなあと感じました。

機能等では差別化できないから、最後はその会社の想い、というところが判断基準になっていく世の中なのですね。

Day7 PM

午後はKESIKI 石川俊祐さんのもと、美しいビジネスをデザインする、コンセプトを学ぶということでいろいろなワークを行いました。

画像2


まずはこれまでの講義での気づきの振り返りから。

●今までの自分に足りていなかったこと
→デザインへの理解、考え方、人間中心、ユーザー理解

●これからもっと掘り下げていきたいこと
→日本人的解釈・感性の磨き方、問いのたてかた(サイズ感)中身、未来日記自分の軸、世の中への気づき・違和感の言語化、消化、ビジネス化、マネタイズ方法など

その後、美しいビジネスとは何か ということを皆で考え、経済、社会、文化の3方良しの会社などが出てきました。 

美しいビジネスにはデザインそのものというよりも、様々なステークホルダーにとって良い、という文脈で考えた結果、わたしはメルカリがCtoCの循環型経済を確立していて、個人にも社会にも新しい文化の創造という意味でも、美しいと感じています。
(今は赤字ですが、Amazonみたいに先行投資フェーズであって、売上は年々伸びていますし、今後に期待!です)

次に、会社にも人格があるということで、自分の会社を人格化(動物化)してみるワークを行いました。
なぜ選んだのか?とキーワードの言語化までを行うことが大事とのこと。

①自分が働いている会社 ヒョウ?カメレオン?→すばしっこくいろんなことをするので。
②Nature & Beauty 三毛猫 →自由な存在 

としました。

他にも以下のワークを。

■ステークホルダーマップ
関係性の可視化をする 共感、共振、価値交換の軸で見ていく ex)EVERLANE

■カバーストーリー
10年後雑誌のカバーを飾ることになる どういう雑誌でどういうことを書かれたいのか。

①キャッチコピー、コピーの説明 
②二番目にブランドを表す象徴的な写真 
なぜその会社を始めたのか?成長の鍵は何だったのか?何を大切にしてきたのか?一番の失敗はなにか?それをどう乗り越えたのか?5年後、10年後この会社によって未来はどう変わっているか? 

会社の代表としてインタビューされたとしたらを考える。

Day8 AM

8日目の午前は佐宗邦威さんと山口周さんの対談による美意識の講義。

画像3

G7先進国のGDPのピークは1960年代ですよ、というショッキングな事実から始まります。我々はどこからきて、どこにいて、どこにいくのか?テクノロジーは経済成長に貢献していない。
1950~1990年代が人類史上のピークで、今我々は特異な環境、転換期に生きているのであって、ずっと伸びること前提の社会ではない。 

・ファクトで見ることが大事
・世界史的な文脈で考える癖をつけてほしい

とアドバイスをいただきました。

現代の課題は、課題の普遍性が高くて(市場規模が大きい、利益が取れる)難易度の低いものは解決されているので、残っているのは、難易度が高いか、普遍性が低いものが中心 
さらに、物質的な満足度が満たされるようになり、消費刺激には限界が来ている ではどうする?持っているものをダサいと思わせないと売れない。


今後については
人間本来の衝動(アニマル・スピリッツ)を回復できるかどうか、自分の心が動くものを大事にしてほしい 応援経済になってきている

・ありたい姿がないと問題を生み出すことができない 「敵のデザイン」をする 資本主義やビジネスの問い直しにきている 

・経営層には、アートをサイエンスの衣でくるんで提案することが大事 
ex)飲み会で味方につける いかに可愛がられるか ロマンに共感してもらう 株主に説明できるか?

・ESGの文脈、10年後の長期ビジョンなどに乗せる 社内のハブになる人(大抵は経営企画かR&D企画などにいる)とのネットワークと助け船出してもらう
ソーシャルイノベーション(社会課題)が伸びていくキー 
ex)スタディサプリ(教育格差、地理格差の解消) 

夢中になる事、考えている時間が多いかどうかで決まる 
難しい問題には、儲かるだけでなくいいアイディアが必要。 
リモートシフトになったことによって、旗をあげれば世界中から優秀な人達が集まることも可能になった
ex)LINUX OS 優秀な人が副業をし、大企業が搾取される時代になってきた?

など、様々なTipsを教えていただいたので、自分が楽しい!と思うことをより見つけていこうと思います。

Day8 PM

午後はKESIKIの石川俊祐さんから、効果的なストーリーテリングを学びます。

■ストーリーの3つの要素
1)理解させる What
2)共感させる Why
3)インスパイアする What/How が含まれている 

▼主張の違う人同士が仲良くなれるのか?というハイネケンのPV


■起承転結
つかむ→深める→揺さぶる→落とす 驚きが大事。

自分事としてとらえてもらって、主張の本質を理解させ、説得力を持たせ、意表をついて心を動かし、ストーリーを印象付けて行動にうつしてもらう。

そうだよね→なるほど→それがあったか!→やってみよう のループ

起承転結の型はしっていましたが、相手の心を動かすストーリーテリングにも型があるのか!と思いました。確かに、相手が納得してからでないと主張は受け入れてもらいにくいし、自分の主張を客観的にとらえることが大事ですよね。

アート思考の本で、自分なりの物語を語るにはナラティブ、客観的な物語を語るにはストーリーテリングとあったので、どっちの語り方も、練習してうまく相手に伝えれるようになりたいです。


その後、濱田教授と永井教授から、デザインの基礎や、学生の作品事例などをぎゅっと!絞って教えていただいた後、各チームの案のブラッシュアップでした。

画像6

■美意識のトレーニング事例
・形やフォントの錯視調整、視認性向上方法
・A3用紙を自分で折るか、ぐちゃぐちゃにするかで現れる美が違う
=身の回りの美しさを見つけるアンテナが立つ  

■技法・工夫のトレーニング事例
・針金ワーク どんな素材からでも魅力的でアーティスティックな作品はつくれる =身の回りの素材を表現材料としてみるアンテナが立つ 

デッサン力=モノを観る力+描写力→解像度につながる

■自然物からカタチや構造を学ぶ、複雑さを読み取り再現する
・スプーンの形のトレース
・様々な素材でなにかをつくる 
・先入観を取り除く
・絵で説明してみる、メモを取る=繰り返し描くことが大事
・存在するものを丁寧に描いて示す
・頭の中にしかないものも、描いたり作ったりして示す

■観察・思考力のトレーニング事例
・現場への潜り込み メモを取って資料化してまとめる
・フィールドワークの体験からデザイン提案をつくる
コツ 考察点を網羅するように調べる、感じた違和感を軸にして進める

こんなことを、日々美大生は学んでいるのか、だから柔軟な発想ができるのか!と感じました。

次回に向けて

1)プロトタイプテスト+リファイン 
2)アウトプットを完成させる 
3)ナラティブ/ストーリーテリング 
どう熱中させられる?


そして、Day8の夜には、多摩美術大学の庭でバーベキュー懇親会が行われました(中心になって企画いただいた丸橋先生に感謝!)

すごく美味しいバーベキューにお手製のオードブル、そして久々のオフラインでの懇親会のおかげで、いろんな方と楽しくお話でき、嬉しかったです☺

あと少し、楽しんでいきたいと思います!

▼前回までのnote


最後までお読みいただき、ありがとうございます!スキ💛コメント、とても嬉しいです💛