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映像構成術

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【映像を構成しよう⑦】 絵コンテと見比べてみる

【映像を構成しよう⑦】 絵コンテと見比べてみる

さて、実際に絵コンテからどのような映像になるのかを見てみたいと思います私のポーランド初の練習作(既に10年近く前の物!)を参考にご覧下さい。

まずは絵コンテから。

こちらは課題が『powrót/帰り』5ショットで制作という課題でした。

そして映像になったものがこちら。

最初期の練習作です。最低限の機材…家庭用カメラと三脚を使っただけの映像です。

どうでしょう?絵コンテ通りになっていたでし

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【映像を構成しよう⑥】 絵コンテの書き方

【映像を構成しよう⑥】 絵コンテの書き方

さて、前回で字コンテの決まったフォーマットが無いと言いましたが、実は絵コンテにも決まったフォーマットはありません。

大事なのは必要な情報が書かれている&分かりやすいです。

まずはこちらから。

この絵コンテは見にくい方に入ると思います。というのも、こちらは1分作品の絵コンテ。しかも、ワンシーンのみ。と、言う事で、色々省力しちゃっています。

ここで見て頂きたいのは青で囲まれた部分。これは全てワ

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【映像を構成しよう⑤】 字コンテの書き方

【映像を構成しよう⑤】 字コンテの書き方

まずはこちらをご覧下さい。

これはポーランド語の字コンテです。
実はコンテには決まったフォーマットがありません。
しかし、前回書いたように書かなければいけない情報があります。

さて、どのようにして書かれているか一例としてご覧下さい。
以下は上記の翻訳です。

①④シーン番号/場所/時間シーン番号以外はシナリオのト書きの部分と同じように書いていきます。

②③⑤⑥カット指示左から順にカット数、フ

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【映像を構成しよう④】コンテに必要な情報

【映像を構成しよう④】コンテに必要な情報

コンテと聞いて、みなさまはどんなものを思い浮かべられるでしょうか?

多くの場合は絵の描かれたストーリーボードではないでしょうか?

コンテには統一の概念がなく、人、撮影文化によって様々な形式がとられています。ただし、全てにおいて記しておくべき重要な情報があります。

*『パシフィック・リム』

コンテとは情報です。
その為、コンテには描かなければならない情報=指示が沢山あります。

①シーン、カ

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シーンを構成しよう:コンテって何?

シーンを構成しよう:コンテって何?



*マーティン・スコセッシ『タクシードライバー』

コンテとは何か?シナリオが映画全体の設計図だとすると、コンテは撮影時の具体的な設計図になります。
実はこの精度が高ければ高い程、撮影は上手く順調に進んで行きます。

そもそも、撮影とはその映画の良し悪しを左右する最も要の作業です。
それまでの準備の結果を全てぶつけて素材を作り出すのです。

まず、撮影までには何を準備しなければならないでしょうか

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【映像を構成しよう③】 リバースショットを深く知る

【映像を構成しよう③】 リバースショットを深く知る



さて、今日の記事はコンテ段階には全く関係ありません。

関係ありませんが、画面構成の基本として、画面上の変化を付けなければなりませんが、それで一番困るのがリバースショット。

そもそも、リバースショットは会話や行動が行われている状況で登場人物がそれぞれの言葉にどのように反応しているかを観客に伝える為のショットです。以前にも言ったように、この事が重要なのであり、映像の変化がそれらを邪魔すれば意味

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【映像を構成しよう②】 コンテを描く前に知っておくこと

【映像を構成しよう②】 コンテを描く前に知っておくこと

さて、前回は画面上の変化の重要性について書きました。

理論上では画面は変化に富み、3秒ごとに何らかの映像上の変化さえあれば観客は飽きずに映画を見てくれる!…訳ではないのは皆さんも映画を見ていたら分かると思います。

もちろん、観客を飽きさせない為に変化を与えるのはとても重要です。
しかし、映画でもっとも大事なのはストーリーテーリングである事を忘れないで下さい。
どんなに素晴らしい工夫を凝らしたシ

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【映像を構成しよう①】映像変化の付け方

【映像を構成しよう①】映像変化の付け方

さて、ここまで【フレーミング】から始まり、コンテ制作の為の様々な基礎知識を学んできました。今回の【画面の組み立て方】が終われば次はいよいよ具体的な書き方の説明に入ります。

シーンの組み立て方には大原則があります。
それは各ショットに変化を付ける事です。

実は人間は3秒以上、何の変化のおきない映像を見ると飽きてしまいます。
これが、以前少し言及した3秒ルールです。なので、シネマトグラファーは常に

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ここまでのおさらい!有名監督のシネマルックを解析する

ここまでのおさらい!有名監督のシネマルックを解析する

さて、ここまでフレーミング、コンポジション、アングル、カメラムーブメント、レンズ表現と学んできました。

*詳しくはこちらの記事をお読みください。

これらは無限の組み合わせ、または応用方法があり、実際に実技を積んで経験値を上げないと、中々上手く撮影することはできません。

しかし、それでも映画を見ることで養われる能力もあります。

それは、製作者側の明確な "意図" を読み取る力です。

フレー

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魅力的な映画を作るためのレンズ使い

魅力的な映画を作るためのレンズ使い

今回もこちらの動画をベースに複数の動画を使って解説していきたいと思います。

この記事を読む前に、レンズの見え方の基礎を説明したこちらの記事もお読みください。

エクストリームワイド・ショット18mmや24mmレンズを使用したショットのことを指します。

基本的にはロングショット(LS)やエクストリーム・ロングショットなどの風景映像等に使われます。

こちらは奥から手前まではっきりと映る為、意図あ

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レンズによる見え方の違いを知ろう

レンズによる見え方の違いを知ろう

さて、レンズに関しては撮影監督(DOP)の領域と言いましたが、
DOPと監督が話し合って、レンズサイズを決めるということは珍しくありません。

これまで習ってきたフレーミングですが、実は同じフレーミングでもレンズによって全く印象が変わるのです。

まずはこちらをご覧ください。

レンズには基本として広角と望遠があります。mm数が小さいほど広角で、大きいほど望遠となります。見た目だと広角ほどレンズの

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ストーリーテーリングを豊かにするレンズ表現の基礎を知ろう!

ストーリーテーリングを豊かにするレンズ表現の基礎を知ろう!

さて残るはレンズ使いです。

これは正直に言うと、詳しくやり始めるとドツボにはまります。
というのは、何度も言うように、これはカメラマンの領域。
詳しくやり出したらそれはもう映画監督では無くカメラマンです。
彼らは様々なレンズを使用して映像を作り上げていきます。
映像を撮影するのは言ってみれば物理学。どんなに撮りたい映像があっても物理的に無理な映像は撮影する方法が無いのです。私たちが何気なく映画で

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各ショットの注意点 - より良いストーリーテーリングの為に

各ショットの注意点 - より良いストーリーテーリングの為に

さて、ここまでたくさんの事を学んできましたが、カメラワークの手法は大変多く、複雑に分類されて様々な名称がありますが…

基本は4つの表現で説明できるのです。

4つの表現とは

【フレーミング】【スタイル】【カメラの動き】    【レンズ使い】
 LS       手持ち  パンニング       ズーム
 FS       固定   トラッキング・ショット フォーカス
 M-LS
 MS
 M-

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カメラムーブメント

カメラムーブメント



さて、ここまでは【フレーミング】と【スタイル(固定、手持ち撮影)】【コンポジション】【アングル】と学んできました。

まずカメラムーブメントを説明する前に説明しておきたいのがこちら。

スタティック/固定ショット

いわゆる、カメラの動きがまったく無いショットです。通常、会話シーンに多用されます。また、カメラが動かないことで、美しいコンポジションによる視覚効果も得られます。

また、メインとな

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